【インタビュー】世界を驚かす兄弟ロックデュオ、TarO&JirOがヘヴィーに鳴らす『OVNI』を紐解く

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◆俺は暗闇に入りやすいので、助けが必要なぐらいしんどくなると曲を作るんですね。
それをリピートして歌ったり聴いたりしてると、癒されて立ち直れたりするんですよ。(TarO)


――「影」はグランジとファンクが合わさった感じのモダンロック。アレンジにはどこまでロックバンドに近づけるかというようなアプローチを強く感じましたけど。

TarO:バンドっぽいっていうのはよく言われるんですけど、これも俺らのなかではTarO&JirOスタイルなんですよ。「大人の運動会」(『Brothers Fight』収録)の延長線上にある曲なんですけどね。

JirO:俺はこの曲に関しては唯一指弾きを一切してないんですよ。全編ピック弾き。他の曲はピックを使ったとしても(曲の)半分以上は指弾きで弾いてるんですけどね。

――ライブもそうやってプレイしてるんですか?

JirO:そうですね。だから、曲間で指とピックを頻繁に持ち替えてるんです。例えば「Silent Siren」なんかは、サビまではピックでサビは指で弾いてます。

――ではアルバムラストの「Too dark to live」。これ、今回一番驚きました。こういうバラードもやるんですね。

TarO:TarO&JirOスタイルじゃない曲をTarO&JirOスタイルにした感じですね。他にもピアノで作ったような静かな曲もあったりするんですけど、これはギターのフレーズがあった上でメロディーが成り立っているので、俺らのスタイルでできるだろうということで今回チャレンジしてみました。

――これも洋楽っぽいんですよ。

TarO:これは、俺らがフランスの地方に住んでいる知人の家に下宿してたころに作った曲なんで、そのせいなのかもしれないです。

――この歌詞を見ると、深い暗闇を持ってる人なんだなというのがわかりますよね。

TarO:俺は暗闇に入りやすいので、助けが必要なぐらいしんどくなると曲を作るんですね。ロックで叫ぶのもいいんですけど、そういうときはこんなバラードを作って。それをリピートして歌ったり聴いたりしてると、癒されて立ち直れたりするんですよ。だから、薬みたいなもの。それが、いい楽曲だったりするとこういう風にTarO&JirOでやったりするんです。

――なるほど。でね、この曲がくせ者なのはバラードの顔をしながら終わり方が異様でしょ?

TarO:不協和音のハーモニクスを入れてるころですよね? この曲自体はマイナーな曲なんですけど、最後にメジャーなコードがジャーンって入る。でもそこで終わらず、その後に不協和音を入れて。

JirO:映画でいうと、これで終わりじゃなくて2作目があるなって予感させるような感じで終わらせたんです。

TarO:俺、『ジェラシックパーク』という映画が好きなんですけど。その映画の主題歌って、最後にプテラノドンが空を飛んでるような奇麗な音でこのまま終わるのかなと思いきや、いきなり不思議なダークな音が入ってくるんです。あ、また危険な肉食恐竜・ヴェロキラプトルが出てくるのか? って予感させる不思議な終わり方なんです。

JirO:ただ単にハッピーでは終わらせない。

TarO:アルバムを作った後に、この最後の部分を聴いて『ジェラシックパーク』の影響だなと思いましたね。次を予感させられる、期待感を持ってもらえるような最後にしました。

◆曲を始める前にキックを鳴らしたら“ポン、ポン”って木魚みたいな音しか出なくて(笑)。
こんなときにジョークやってる場合じゃねぇんだよ”って(笑)(JirO)


――なるほど、わかりました。では、海外経験豊富なお2人に聞きたいことがあるんですが、海外で経験したライブ会場での“ありえへん世界”を教えてください。

TarO:衝撃を受けたのはマルセイユ(スペイン)でワンマンライブをやったとき。リハーサルのときにアンプ使ったら音が途切れ途切れでしか出ないんですよ!それを現地のスタッフPAの人に言ったら、「あー、そんなもんだよ」って言うんです。「違う違う、こんなもんじゃないでしょ。これじゃライブできないから」って言い返したんですけどね……。

JirO:フランスのギターロックの大会に出たときもスゴかったですよ。決勝の前に練習していたスタジオに信号をキックの音に変えるエフェクターのアダプターを俺が忘れてきちゃったんですね。大会当日にそれに気づいて。キックを踏んでもポン、ポンって音しか出ないんですよ。そのポンっていう音をイコライザーをマックスに使ってローを上げるしかないと思ったから、PAの方のところに行って指示をしたんです。するとリハで何とかそれなりの音が作れたんですね。でも「じゃあこれでお願いします」って言った後の本番が……。決勝だから緊張しているなか、ステージに出て。曲を始める前にキックを鳴らしたら“ポン、ポン”って木魚みたいな音しか出なくて(笑)。こんなときにジョークやってる場合じゃねぇんだよ”って(笑)。「さっきの音と違うだろ?」って言っても「いや、こんなもんだよ」って言い張るから、半ばキレ気味に俺はステージ降りてPAのところまで行って。再び音を作った後、仕切り直して始めたという。

TarO:決勝大会でこれですから。

JirO:海外はそういうところが、緩いんですよね。

――日本はやりやすいですか?

JirO:そうですね。

TarO:でも海外は親しみやすいんですよ。誰とでも仲良くなれる。さっきみたいなトラブルがあってもPAのところに行って普通に言える。そういう意味では日本だと少し気を使っちゃいますね。

JirO:お互い真面目過ぎるというか。かっちり仕事をしてくれるのは日本なんですよ。でも、ちゃんとやってくれるからこそ気軽に言えない部分もあるかも。別に言ってもいいんだろうけど、無意識のうちにそういう雰囲気を感じちゃうんですよね。

TarO:音響とかはすごい整ってていいんですけど、人として関わるとき、ものすごくかしこまってて硬いなと思うのも事実です。だから、自分らが(海外でやるときのように)フレンドリーに接しちゃいけないのかなと思ったりしますよね。それは……俺らの感じ方かもしれないけど。

JirO:海外の方は初対面でもあまり壁を感じないんです。

TarO:海外のフェスでは、会場の設営しているスタッフも普通に“休憩だ”っていいながらビール飲んだりしてますから。仕事中に。それで俺らのところによってきて「俺、お前らのことYouTubeで見たんだけど、好きだよ」って言ってくれたり。

JirO:仕事としての自分というよりは、まず個人として話かけてくるのが海外ならではですね。

TarO:まさに“音楽は楽しむもの”という感じ。日本のように音楽をとても真面目にやってる人たちはあまり見ないですね。だから、俺らがお酒飲まなかったり(喉をケアを考えて)マスクをしてたりすると、「なんでそんなに緊張しちゃってるの?」って感じで変に思われるんですよ。

TarO:ほんのちょっとしたことが日本と違うんですよね。あと、向こうからすると日本人男性は超キレイ好きみたいですよ。

――どんなところが?

TarO:シャワーに15分入ってるだけで「なんでそんなに長いの?」ってびっくりされます。頭にワックスつけてエアリーなヘアスタイルにセットしたりしてると「なんでパーティに行くようなオシャレするの?」って驚かれるし。

JirO:フランスでは男の人が髪を細かくセットするような人がいないんですよね。

――面白いですね~。ちなみに、日本人ってヨーロッパではモテるんですか?

TarO:大切なのはそういうことではなくて“マインド”です。僕らが初めてイギリス行ったとき、最初は見た目をすごく気にしていたんですね。行く前には、張り切って髪の毛染めてから行ったんですけど。そんな外見よりも、強いマインドをしっかりもって、“YES”、“NO”をしっかり言えることのほうが大事だなと感じたんです。向こうの人は目をそらさないで話しをしますから。こっちも目をそらさないではっきり自分の意見を伝える。そういうマインドのほうが大事だったりするんですよね。

インタビュー&文◎東條祥恵

  ◆  ◆  ◆

孤高のギターロック兄弟、TarO&JirO。BARKS2回目のインタビューをお届けしました。今回も兄弟ならではの空気感で、赤裸々にインタビューに応えてくれたのですが、そんななか、2人が身につけていた“ロックアイテム”がついつい気になったので、後日アイテムの写真をいただいちゃいました。兄のTarOは斬新なデザインが目を惹くダメージジーンズ。そして弟、JirOは奇抜なネイルです。また、今回は動画コメントも撮影したので、ぜひご覧いただきたいです。





2nd Mini Album
『OVNI』
2014年4月23日発売
TECI-1400 ¥1,429(税抜)
1.涸れない水たまり
2.Once in a while
3.Brain soap
4.襲来-Landing-(instrumental)
5.煙
6.影
7.Too dark to live

■ライブ情報
<Niigata Rainbow ROCK Market 2014>
5月4日(日) 新潟
12:00/12:30
<MJ ROCK Vol.3>
5月5日(月) 長野CLUB JUNK BOX
16:30/17:00
<JAPAN RISING showcase at THE Great Escape>
5月10日(土) イギリス・Queens Hotel
13:00~
<TOKYO METOROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014>
5月25日(日) 東京・新木場若洲公園
10:00/12:00
※TarO&JirOは、14:10~NEW BEAT SQUAREにて
<ヘブンズロックVJ-3 series>
5月28日(水) 埼玉・HEAVENS’ROCKさいたま新都心
18:00/18:30
<SAKAE SP-RING2014>
6月7日(土)~8日(日) 名古屋
※ZIP-FMイベントサーキット/会場・日程未定
<第9回 東京うたの日コンサート>
6月22日(日) SHIBUYA CLUB QUATTRO
17:00/18:00
<MORNING RIVER SUMMIT 2014>
7月26日(土) 大阪城野外音楽堂
13:00/14:00
<TarO&JirO ワンマンライブ“東京襲来~Landing in the city of Tokyo~”>
9月27日(土) 東京下北沢GARDEN
16:00/17:00
一般お問合せ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
http://sogotokyo.com/


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