森川欣信が語る、50年目に見た感動のザ・ビートルズ
1964年2月9日、ザ・ビートルズがアメリカの国民的バラエティー番組「エド・サリヴァン・ショー」に出演し、全米メジャー進出してから50年。今、アメリカでは、さまざまな場所でビートルズにちなんだイベントが催され、まさに“ザ・ビートルズ・ウィーク”といった盛り上がりを見せている。
◆ザ・ビートルズ画像
アメリカのエンターテインメントとTVの歴史を変えたともいえる、このビートルズが全米に上陸した記念すべき日に、当時「エド・サリヴァン・ショー」を放送していたCBSチャンネルで、ビートルズをトリビュートする番組が放送される。この番組は、2014年のグラミー賞授賞式の翌日にロサンゼルスのコンベンションセンターで行われたライブイベントを収録したものだ。
スティーヴィー・ワンダー、ジョー・ウォルシュ(イーグルス)、ユーリズミックス、デイヴ・グロール(フー・ファイターズ)、マルーン5、アリシア・キーズ、ジョン・メイヤー、キース・アーバン、ジョン・レジェンド、イマジン・ドラゴンズ、ケイティ・ペリー、ファレル・ウィリアムス、エド・シーランなど名だたるグラミーアーティストがビートルズの楽曲を演奏し、さらに、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターの共演が実現した。ラストを飾った曲は「Hey Jude」。この曲を2人が一緒に演奏するのはザ・ビートルズ解散以降初めてのことだった。
▲森川欣信 |
──このライブが開催されることを知ってどう思われましたか?
森川:僕がビートルズに出会ったのは1964年の1月でした。僕はその時11歳でした。ラジオから流れて来る「プリーズ・プリーズ・ミー」を聴いたのです。そう、まさにIt Was 50 Years Ago Todayです。50年という歳月、それは当のビートルズだけではなくファンにとっても感慨深い「50年」の歴史です。年末にグラミーで特別功労賞生涯業績賞がビートルズに贈られると発表になっていたので、ポールとリンゴは出席するのかなってぼんやり考えていました。今回のグラミー賞には弊社の元ちとせが参加したレゲエ・アルバムもノミネートされていましたから僕も招待を受けていました。残念ながら受賞はなりませんでしたが。開催の日が近づいたある日、グラミー賞にポールとリンゴ出席のニュースが流れ、同じ場所に参加出来るという喜びに沸き立つ僕に次なるニュースが飛込んで来ました。グラミー賞の翌日、「ビートルズ・トリビュート・コンサート」が行われる!え?トリビュートって事は、本人達は出ないのかな?あまりに突然過ぎてなんだか実感がありませんでした。
──印象に残っているパフォーマンス、パフォーマーはどれですか?
▲エド・シーラン |
──最後のパート、ポールのパフォーマンスから、リンゴがジョインして大団円までをどうご覧になりましたか?
森川:「SGT.Pepper's」~「With A Little Help From My Friends」の流れでBilly Shearsと紹介されたBilly役のリンゴが登場、ビートルズのオリジナルどおりにこのメドレーをポールとリンゴが共演したのには感動。そしてやはりリンゴがドラムを叩き、ポールがピアノで歌う「Hey Jude」のふたりの2ショットは「ハーフ・オブ・ザ・ビートルズ」として、もう観ているだけで身震いがしました。たぶん、リンゴが「Hey Jude」のドラム・プレイをするのって1968年のビートルズ以来じゃないかな?だから、エイブ・ラボリエル・ジュニアのドラム抜きで聴きたかったな。この曲はアーティストも観客もその場にいる全員が参加出来る曲です。ふと、ジョンやジョージの魂もこの場所に来ているような気がしました。
──客席には著名人の顔も多く見られましたが、パフォーマンス、お客さん、演出など全体を通してこのライブの印象はいかがでしたか?
森川:ステージ転換の間にずっとビートルズの映像が流れているんですが、これまで幾度となく観ているはずの映像なのに観客の誰もが見入っていました。耳を傾けていました。それはビートルズが時代を超え、年代や国境を越え、いかに人を魅きつけてやまない存在なのかと言う証でもあります。アーティストたちはこの場所でビートルズの曲をパフォーマンスする事に至福の喜びを感じているように見えました。誰もが声をかけられればこのコンサートに出演を希望したはずです。コンサートを演出している方々、出演者、そして観客すべての人たちがいかにビートルズを敬い、愛しているかがヒシヒシと伝わって来ました。
──読者の方へメッセージをお願いします。
森川:僕は最初、このトリビュート・コンサートが発表された時は観ないで帰るつもりでした。なぜなら、グラミー賞でのポールとリンゴの共演はあり得るけど、トリビュートなのだから当の本人達がこのコンサートに出演するのって実際は無いのではと半信半疑でした。ポールもリンゴもかつてその世界一のバンドのメンバーでした。しかし、ビートルズはジョン、ジョージを欠いては有り得ない。言い換えればこの4人がビートルズというユニットなんです。もうそのユニットは存在しません。でも、誰しもの心にビートルズは生き続けています。きっとポールにもリンゴにもビートルズは心の中で生き続けているのでしょう。ポールはポールとして、リンゴはリンゴとしてこのジョン、ポール、ジョージ &リンゴのいた「THE BEATLES」をトリビュートしているのだと僕はこのコンサートを観て思いました。それが確認出来て大変嬉しく思いました。
ネタバレになりますが、開演前ずっとビートルズの映像が流れていました。そして、記念すべき1964年2月9日「エド・サリヴァン・ショー」初出演時の1曲目「オール・マイ・ラヴィング」、その映像が流れていると、突然ビートルズの演奏に生音がシンクロ、マルーン5の「オール・マイ~」が始まりました。もう、一気に気持ちが沸点に達しました。この突然のオープニング演出に油断していた観客は弾けるように大熱狂です。このトリビュート・コンサートに相応しいオープニングに我を忘れました。じっとしてなんていられませんから。ところで、このエド・サリヴァン・ショーのビートルズの演奏って、実はレコード・ヴァージョンよりも半音下げのチューニングなんです。と言う事はマルーン5も半音下げで演奏したのかな?って、後々思いました。だからずっとそれが気になっています。WOWOWの放送で確かめたいと思っています。
森川 欣信(もりかわ よしのぶ)
1952年8月22日 高知県高知市生まれ。
ワーナー・パイオニアを経てキティエンタープライズに入社、13年間制作部に在籍後1992年音楽制作プロダクションとして(有)オフィスオーガスタを設立(2000年3月株式会社に変更)。1997年音楽出版社として(有)オーガスタパブリッシングを設立。
「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ ~グラミー・スペシャル~」
2月11日(火・祝)夜9:00[WOWOWライブ]
ポー ル・マッカートニーとリンゴ・スターが、ザ・ビートルズ解散以降初となる「ヘイ・ジュード」で共演!スティーヴィー・ワンダー、ユーリズミックス、マルーン5、アリシア・キーズ、ケイティ・ペリーをはじめ豪華グラミーアーティストがザ・ビートルズの名曲をパフォーマンス!その模様をWOWOWで2月11日独占放送!
http://www.wowow.co.jp/beatles/
「ビートルズと私」
2月11日(火・祝)夜7:30[WOWOWライブ]
ビートルズの大ファンであるシンガー・ソングライター、セス・スワースキーが8年かけて制作。50人以上の関係者へのインタビューを通して、ザ・ビートルズをひもとく。
http://www.wowow.co.jp/beatles/
「サウンド・シティ -リアル・トゥ・リール ポール・マッカートニー、ニール・ヤング、カート・コバーンが愛した伝説のスタジオ」
2月9日(日)夜11:00[WOWOWライブ]
伝説のスタジオ「サウンド・シティ」の隆盛と衰退を追う。ロックのアイコン、デイヴ・グロールが映画初監督を務めるドキュメンタリー映画。この作品から、「Cut Me Some Slack」が第56回グラミー賞の最優秀ロック・ソング、そしてサウンドトラックが同賞最優秀サウンドトラック・アルバムを受賞した。
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/104785/
「第56回グラミー賞授賞式」
3月16日(日)午後3:00[WOWOWライブ]
9 部門にノミネートされたJAY-Zとビヨンセの夫婦共演という豪華なオープニングアクトからスタートした第56回グラミー賞授賞式。AKB48とのコラボ で日本でも人気のロビン・シックとシカゴの共演や、ダフト・パンクとスティーヴィー・ワンダーとの共演、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターによる共 演など普段は見る事が出来ない蒼々たるメンバーによるライブ・パフォーマンスに富んだ音楽の祭典に相応しい豪華な内容を再び。
http://www.wowow.co.jp/grammy/
株式会社オフィスオーガスタ
http://www.office-augusta.com/
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