ブルース・スプリングスティーン、新作『ハイ・ホープス』を正式発表
ブルース・スプリングスティーンのニューアルバム『ハイ・ホープス』が、全米では2014年1月14日に、日本では米Columbiaレコードより2014年1月22日に発売されることが発表された。
◆ブルース・スプリングスティーン PV映像
前作『レッキング・ボール』以来2年ぶりの新作となる『ハイ・ホープス』は、スプリングスティーンが過去10年の間に書きためてきた最高峰の楽曲と、ライブのみでしか演奏されてこなかった最重要曲がついにスタジオ録音された18作目のオリジナル・アルバムだ。レコーディングはニュージャージー、ロサンゼルス、アトランタ、オーストラリア、そしてニューヨークで行われ、Eストリート・バンドのメンバーに加え、ギタリストにトム・モレロなどのプレイヤーが参加している。そして、本作品には、このアルバムの制作の進展を詳しく述べているスプリングスティーン自ら執筆したライナーノーツが収められ、日本盤にはこのライナーノーツほか、アルバムをひも解く詳細な解説と歌詞・対訳が同梱される。
◆ ◆ ◆
過去10年からの俺たちの最高の未発表作品の幾つかを集めたレコードに取り組んでいたとき、(オーストラリア・ツアーの間スティーヴの代役を務めた)トム・モレロがライブの演奏曲目に「ハイ・ホープス」を加えた方がいいと提案してくれた。「ハイ・ホープス」はLAを拠点にしていたバンド、ハヴァリナズのティム・スコット・マコネルズの曲で、俺は1990年代に一度録音していた。オーストラリア・ツアー中のリハーサルで練習して、トムはその曲で会場を熱狂させることになった。俺たちはツアーの途中でシドニーのスタジオ301でその曲を再録音した。同じセッションでお気に入りのオーストラリアの初期のパンク・バンドのひとつ、ザ・セインツの曲「ジャスト・ライク・ファイア・ウッド」も録音した(彼らの「アイム・ストランデッド」も聴いてみてほしい)。トムと彼のギターは俺の詩神になって、このプロジェクトの残りをもう一段高い水準にまで押し上げてくれた。インスピレーションをありがとう、トム。
アルバム収録曲の「アメリカン・スキン(41ショッツ)」と「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」はライブではお馴染の曲だろう。これらは、俺のキャリア史上最高の楽曲たちであり、それをついに正式に録音するときが来たんだ。「ザ・ウォール」はライブで数回演奏したことのある曲だけど、個人的にずっととても大事な曲だ。曲名と着想はジョー・グルシェキーのもので、その後パティと俺が首都ワシントンのベトナム戦争戦没者慰霊碑を訪れた後に曲が浮かんだ。インスピレーションになったのは、ウォルター・ショーンの思い出だ。ウォルターはジャージー沿岸地方の最初の素晴らしいロッカーのひとりで、(俺の若いときのギターの師匠のひとりだった)弟のレイと一緒に「モティーフス」を率いていた。モティーフスは地元のロック・バンドの中でどのバンドよりも頭ひとつ抜けた存在だった。荒々しく、セクシーで、反抗的で、彼らは自分もそうなりたいと強く願わせるヒーローたちだった。でも、彼らは実際に会って、話しかけ、音楽についての質問をできるヒーローたちだったんだ。クールなんだけど、いつだって近づきやすかった。彼らは俺にとってのインスピレーションだったし、1960年代にニュージャージー州中部で演奏活動していた多くの若いミュージシャンにとってそうだった。「ザ・ウォール」の主人公は海兵隊員だけど、現実のウォルターは陸軍の歩兵中隊、第3大隊第8歩兵隊にいた。俺がその面前に立った本物のロック・スターの神秘的な雰囲気で満ちた最初の男が彼だった。ウォルターは1968年3月にベトナムで戦闘中に行方不明になった。彼は今でも俺の頭の中で定期的のように演奏している。彼の立ち方、着こなし、タンバリンの持ち方、さりげないクールさ、その自由さ。その態度こそが彼なんだ。彼の歩き方が言っていた。「ここにあるものすべて、教えられてきたことすべて、恐れるように、愛するように教えられてきたこと、そういったことすべてを無視したっていい。それでも君は大丈夫さ」と。彼の死は俺たち、彼の家族や友人、地元の音楽界にとって、ひどく大きな損失だった。俺は今でも彼のことを思っている。
これは俺がずっと発表される必要のあると感じていた音楽なんだ。「ハリーズ・プレイス」のギャング、「フランキー・フェル・イン・ラヴ」の準備の下手なルームメイト(スティーヴと俺がアズベリー・パークのアパートで一緒にのらくらして暮らしていた頃を思い出させる)、「ハンターズ・オブ・インヴィジブル・ゲーム」の荒れ地の旅人から、「ザ・ウォール」の兵士と彼が訪ねる友人まで、彼ら全員に居場所が与えられ、その話を聞いてもらう価値があると感じた。みんなもこれを楽しんでほしいね。
ブルース・スプリングスティーン
(翻訳:五十嵐正)
◆ ◆ ◆
スプリングスティーンがそう語る本作品で、トム・モレロはギター演奏に加え、「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」をデュエットしており、スプリングスティーンはそんな彼を「俺の詩神になって、このプロジェクトの残りをもう一段高い水準にまで押し上げてくれた」と評している。2013年3月に行われたオーストラリア・ツアーでトム・モレロは(スティーヴ・ヴァン・ザントの代役として)スプリングスティーンとEストリート・バンドに加わっていた。また、2011年に亡くなったクラレンス・クレモンズと、2008年に亡くなったダニー・フェデリーシも、スプリングスティーンが呼ぶところの「過去10年からの俺たちの最高の未発表作品の幾つか」に登場している。
アルバムには“これぞE STREET BANDサウンド”的なロックン・ロールから、類まれな“ストーリーテラーとしての真骨頂”的な物語の数々まで様々なタイプの楽曲が収められている。その中でも「アメリカン・スキン(41ショッツ)」(※注釈)と「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」は、スプリングスティーン自身が「これらは、俺のキャリア史上最高の楽曲たち」と語る作品だ。「アメリカン・スキン」はライブのみで披露され、CDとして未発売にもかかわらず、その社会性あふれる切り口から米ローリング・ストーン誌が2000年のベスト・シングルの一つに選出し、またNAACP(全国有色人種地位向上協会)からも、ヒューマニタリアン・コミュニティ・サーヴィス・アワードが贈られている。
その「アメリカン・スキン」は、1999年2月4日にニューヨーク市でギニア人移民の男性が4人の警官によって41発もの弾丸を浴びて射殺された事件を題材としている。また、「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」は1995年発売同名アルバムにアコースティック・バージョンで発表されていたが、その後レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがカバーし、ブルースもそれに近いエレクトリック・ヴァージョンで2000年代のツアーでたびたび演奏しているが、そのレイジのトム・モレロとともにエレクトリック・バージョンで初めてレコーディングが行なわれた。スタインベックの「怒りの葡萄」にインスパイアを受け、アメリカ社会の下層で困難な生活を送っている人々への視点を語りかける傑作だ。
そして、アルバムのタイトル曲「ハイ・ホープス」のミュージックビデオがYouTube上に公開された。監督を務めたのはトム・ジムニーで、ダニー・クリンチ撮影の写真、クリス・ヒルソンによってオーストラリア・ツアーで撮影されたトム・モレロをフィーチャーした映像、古いドキュメンタリー映像、文字、図像などがコラージュされている。同じく、アルバム収録曲である「ドリーム・ベイビー・ドリーム」のミュージック・ビデオもすでに公開されている。この曲は「夢を持ち続けよう」というスプリングスティーンが40年間ずっと伝え続ける普遍的なメッセージをシンプルに、静かに、力強く歌い上げる名曲だ。この2曲は日本では11月27日にiTunes Store上にて販売開始され、同時にアルバムの予約注文が開始される予定になっている。
※注:「アメリカン・スキン(41ショッツ)」はこの10年間のツアーで繰り返し演奏されてきた、スプリングスティーンのソングライティングの中でも最高傑作のひとつとされる重要曲で、1999年2月4日にNY市ブロンクス区のアパートでアマドゥ・ディアロというギニア人移民の男性が4人の警官によって41発もの弾丸を浴びて射殺された事件を題材にしたもの(ディアロ氏は非武装だったが、懐の財布を探した行為が銃に手を伸ばしたと勘違いされて撃たれた。警官らは殺人容疑で起訴されたが、事件が起きた(黒人判事が裁判を担当する)ブロンクスから不可解にも(白人人口の多い)アルバニーに場所を移されて行われた裁判の結果、翌年2月に無罪評決が下された)。「アメリカの夢」を求めてギニアから移民してきた若者が肌の色への偏見ゆえに銃弾の犠牲となったアメリカ社会の現実を突き付けたこの歌は、2000年のツアーのアトランタで初めて演奏されるや、全米のプレスが取り上げ、NYの警官がブルースのMSG公演のボイコットを呼びかけたり、一方でアマドゥ氏の両親がブルースに対する感謝のコメントをしたりと社会問題的様相を呈して社会現象にまでなった。ローリング・ストーン誌はこの曲が一度も(当時コマーシャルシングルやプロモCDも作成しなかったため)ラジオでオンエアーされたりしていないにも関わらず2000年のベスト・シングルの一つに選出したほど。またNAACCP(全国有色人種地位向上協会)から、ヒューマニタリアン・コミュニティ・サーヴィス・アワードが贈られた。
『ハイ・ホープス』
2014年1月14日全米発売(日本では1月22日発売予定)
SICP-4070 \2,520(税込)
※iTunes Storeでは11月27日予約注文開始予定
1.High Hopes/ハイ・ホープス - featuring Tom Morello(Tim Scott McConnell)
2.Harry's Place/ハリーズ・プレイズ * - featuring Tom Morello
3.American Skin (41 Shots)/アメリカン・スキン(41ショッツ) - featuring Tom Morello
4.Just Like Fire Would/ジャスト・ライク・ファイアー・ウッド - featuring Tom Morello (Chris J. Bailey)
5.Down In The Hole/ダウン・イン・ザ・ホール *
6.Heaven's Wall/ヘヴンズ・ウォール ** -featuring Tom Morello
7.Frankie Fell In Love/フランキー・フェル・イン・ラヴ
8.This Is Your Sword/ディス・イズ・ユア・スワード
9.Hunter Of Invisible Game/ハンター・オブ・インヴィジブル・ゲーム * -featuring Tom Morello
10.The Ghost of Tom Joad/ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード - duet with Tom Morello
11.The Wall/ザ・ウォール
12.Dream Baby Dream/ドリーム・ベイビー・ドリーム - featuring Tom Morello(Martin Rev and Alan Vega)
●All songs written by Bruce Springsteen except as noted
●Produced by Ron Aniello with Bruce Springsteen
*Produced by Brendan O'Brien
**Produced by Brendan O‘Brien, co-produced by Ron Aniello with Bruce Springsteen
◆ブルース・スプリングスティーン オフィシャルサイト(海外)
◆ブルース・スプリングスティーン 日本オフィシャルサイト
◆ブルース・スプリングスティーン 日本オフィシャルTwitter
◆ブルース・スプリングスティーン PV映像
前作『レッキング・ボール』以来2年ぶりの新作となる『ハイ・ホープス』は、スプリングスティーンが過去10年の間に書きためてきた最高峰の楽曲と、ライブのみでしか演奏されてこなかった最重要曲がついにスタジオ録音された18作目のオリジナル・アルバムだ。レコーディングはニュージャージー、ロサンゼルス、アトランタ、オーストラリア、そしてニューヨークで行われ、Eストリート・バンドのメンバーに加え、ギタリストにトム・モレロなどのプレイヤーが参加している。そして、本作品には、このアルバムの制作の進展を詳しく述べているスプリングスティーン自ら執筆したライナーノーツが収められ、日本盤にはこのライナーノーツほか、アルバムをひも解く詳細な解説と歌詞・対訳が同梱される。
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過去10年からの俺たちの最高の未発表作品の幾つかを集めたレコードに取り組んでいたとき、(オーストラリア・ツアーの間スティーヴの代役を務めた)トム・モレロがライブの演奏曲目に「ハイ・ホープス」を加えた方がいいと提案してくれた。「ハイ・ホープス」はLAを拠点にしていたバンド、ハヴァリナズのティム・スコット・マコネルズの曲で、俺は1990年代に一度録音していた。オーストラリア・ツアー中のリハーサルで練習して、トムはその曲で会場を熱狂させることになった。俺たちはツアーの途中でシドニーのスタジオ301でその曲を再録音した。同じセッションでお気に入りのオーストラリアの初期のパンク・バンドのひとつ、ザ・セインツの曲「ジャスト・ライク・ファイア・ウッド」も録音した(彼らの「アイム・ストランデッド」も聴いてみてほしい)。トムと彼のギターは俺の詩神になって、このプロジェクトの残りをもう一段高い水準にまで押し上げてくれた。インスピレーションをありがとう、トム。
アルバム収録曲の「アメリカン・スキン(41ショッツ)」と「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」はライブではお馴染の曲だろう。これらは、俺のキャリア史上最高の楽曲たちであり、それをついに正式に録音するときが来たんだ。「ザ・ウォール」はライブで数回演奏したことのある曲だけど、個人的にずっととても大事な曲だ。曲名と着想はジョー・グルシェキーのもので、その後パティと俺が首都ワシントンのベトナム戦争戦没者慰霊碑を訪れた後に曲が浮かんだ。インスピレーションになったのは、ウォルター・ショーンの思い出だ。ウォルターはジャージー沿岸地方の最初の素晴らしいロッカーのひとりで、(俺の若いときのギターの師匠のひとりだった)弟のレイと一緒に「モティーフス」を率いていた。モティーフスは地元のロック・バンドの中でどのバンドよりも頭ひとつ抜けた存在だった。荒々しく、セクシーで、反抗的で、彼らは自分もそうなりたいと強く願わせるヒーローたちだった。でも、彼らは実際に会って、話しかけ、音楽についての質問をできるヒーローたちだったんだ。クールなんだけど、いつだって近づきやすかった。彼らは俺にとってのインスピレーションだったし、1960年代にニュージャージー州中部で演奏活動していた多くの若いミュージシャンにとってそうだった。「ザ・ウォール」の主人公は海兵隊員だけど、現実のウォルターは陸軍の歩兵中隊、第3大隊第8歩兵隊にいた。俺がその面前に立った本物のロック・スターの神秘的な雰囲気で満ちた最初の男が彼だった。ウォルターは1968年3月にベトナムで戦闘中に行方不明になった。彼は今でも俺の頭の中で定期的のように演奏している。彼の立ち方、着こなし、タンバリンの持ち方、さりげないクールさ、その自由さ。その態度こそが彼なんだ。彼の歩き方が言っていた。「ここにあるものすべて、教えられてきたことすべて、恐れるように、愛するように教えられてきたこと、そういったことすべてを無視したっていい。それでも君は大丈夫さ」と。彼の死は俺たち、彼の家族や友人、地元の音楽界にとって、ひどく大きな損失だった。俺は今でも彼のことを思っている。
これは俺がずっと発表される必要のあると感じていた音楽なんだ。「ハリーズ・プレイス」のギャング、「フランキー・フェル・イン・ラヴ」の準備の下手なルームメイト(スティーヴと俺がアズベリー・パークのアパートで一緒にのらくらして暮らしていた頃を思い出させる)、「ハンターズ・オブ・インヴィジブル・ゲーム」の荒れ地の旅人から、「ザ・ウォール」の兵士と彼が訪ねる友人まで、彼ら全員に居場所が与えられ、その話を聞いてもらう価値があると感じた。みんなもこれを楽しんでほしいね。
ブルース・スプリングスティーン
(翻訳:五十嵐正)
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スプリングスティーンがそう語る本作品で、トム・モレロはギター演奏に加え、「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」をデュエットしており、スプリングスティーンはそんな彼を「俺の詩神になって、このプロジェクトの残りをもう一段高い水準にまで押し上げてくれた」と評している。2013年3月に行われたオーストラリア・ツアーでトム・モレロは(スティーヴ・ヴァン・ザントの代役として)スプリングスティーンとEストリート・バンドに加わっていた。また、2011年に亡くなったクラレンス・クレモンズと、2008年に亡くなったダニー・フェデリーシも、スプリングスティーンが呼ぶところの「過去10年からの俺たちの最高の未発表作品の幾つか」に登場している。
アルバムには“これぞE STREET BANDサウンド”的なロックン・ロールから、類まれな“ストーリーテラーとしての真骨頂”的な物語の数々まで様々なタイプの楽曲が収められている。その中でも「アメリカン・スキン(41ショッツ)」(※注釈)と「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」は、スプリングスティーン自身が「これらは、俺のキャリア史上最高の楽曲たち」と語る作品だ。「アメリカン・スキン」はライブのみで披露され、CDとして未発売にもかかわらず、その社会性あふれる切り口から米ローリング・ストーン誌が2000年のベスト・シングルの一つに選出し、またNAACP(全国有色人種地位向上協会)からも、ヒューマニタリアン・コミュニティ・サーヴィス・アワードが贈られている。
その「アメリカン・スキン」は、1999年2月4日にニューヨーク市でギニア人移民の男性が4人の警官によって41発もの弾丸を浴びて射殺された事件を題材としている。また、「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」は1995年発売同名アルバムにアコースティック・バージョンで発表されていたが、その後レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがカバーし、ブルースもそれに近いエレクトリック・ヴァージョンで2000年代のツアーでたびたび演奏しているが、そのレイジのトム・モレロとともにエレクトリック・バージョンで初めてレコーディングが行なわれた。スタインベックの「怒りの葡萄」にインスパイアを受け、アメリカ社会の下層で困難な生活を送っている人々への視点を語りかける傑作だ。
そして、アルバムのタイトル曲「ハイ・ホープス」のミュージックビデオがYouTube上に公開された。監督を務めたのはトム・ジムニーで、ダニー・クリンチ撮影の写真、クリス・ヒルソンによってオーストラリア・ツアーで撮影されたトム・モレロをフィーチャーした映像、古いドキュメンタリー映像、文字、図像などがコラージュされている。同じく、アルバム収録曲である「ドリーム・ベイビー・ドリーム」のミュージック・ビデオもすでに公開されている。この曲は「夢を持ち続けよう」というスプリングスティーンが40年間ずっと伝え続ける普遍的なメッセージをシンプルに、静かに、力強く歌い上げる名曲だ。この2曲は日本では11月27日にiTunes Store上にて販売開始され、同時にアルバムの予約注文が開始される予定になっている。
※注:「アメリカン・スキン(41ショッツ)」はこの10年間のツアーで繰り返し演奏されてきた、スプリングスティーンのソングライティングの中でも最高傑作のひとつとされる重要曲で、1999年2月4日にNY市ブロンクス区のアパートでアマドゥ・ディアロというギニア人移民の男性が4人の警官によって41発もの弾丸を浴びて射殺された事件を題材にしたもの(ディアロ氏は非武装だったが、懐の財布を探した行為が銃に手を伸ばしたと勘違いされて撃たれた。警官らは殺人容疑で起訴されたが、事件が起きた(黒人判事が裁判を担当する)ブロンクスから不可解にも(白人人口の多い)アルバニーに場所を移されて行われた裁判の結果、翌年2月に無罪評決が下された)。「アメリカの夢」を求めてギニアから移民してきた若者が肌の色への偏見ゆえに銃弾の犠牲となったアメリカ社会の現実を突き付けたこの歌は、2000年のツアーのアトランタで初めて演奏されるや、全米のプレスが取り上げ、NYの警官がブルースのMSG公演のボイコットを呼びかけたり、一方でアマドゥ氏の両親がブルースに対する感謝のコメントをしたりと社会問題的様相を呈して社会現象にまでなった。ローリング・ストーン誌はこの曲が一度も(当時コマーシャルシングルやプロモCDも作成しなかったため)ラジオでオンエアーされたりしていないにも関わらず2000年のベスト・シングルの一つに選出したほど。またNAACCP(全国有色人種地位向上協会)から、ヒューマニタリアン・コミュニティ・サーヴィス・アワードが贈られた。
『ハイ・ホープス』
2014年1月14日全米発売(日本では1月22日発売予定)
SICP-4070 \2,520(税込)
※iTunes Storeでは11月27日予約注文開始予定
1.High Hopes/ハイ・ホープス - featuring Tom Morello(Tim Scott McConnell)
2.Harry's Place/ハリーズ・プレイズ * - featuring Tom Morello
3.American Skin (41 Shots)/アメリカン・スキン(41ショッツ) - featuring Tom Morello
4.Just Like Fire Would/ジャスト・ライク・ファイアー・ウッド - featuring Tom Morello (Chris J. Bailey)
5.Down In The Hole/ダウン・イン・ザ・ホール *
6.Heaven's Wall/ヘヴンズ・ウォール ** -featuring Tom Morello
7.Frankie Fell In Love/フランキー・フェル・イン・ラヴ
8.This Is Your Sword/ディス・イズ・ユア・スワード
9.Hunter Of Invisible Game/ハンター・オブ・インヴィジブル・ゲーム * -featuring Tom Morello
10.The Ghost of Tom Joad/ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード - duet with Tom Morello
11.The Wall/ザ・ウォール
12.Dream Baby Dream/ドリーム・ベイビー・ドリーム - featuring Tom Morello(Martin Rev and Alan Vega)
●All songs written by Bruce Springsteen except as noted
●Produced by Ron Aniello with Bruce Springsteen
*Produced by Brendan O'Brien
**Produced by Brendan O‘Brien, co-produced by Ron Aniello with Bruce Springsteen
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