【ライヴレポート】10-FEET主催イベント<京都大作戦>、誰もが忘れることのできないパンクロックのミラクルが起きまくった2日間

ポスト

10-FEETが地元・京都を舞台に開催する「京都大作戦」が今年も開催。メインステージ「源氏ノ舞台」、関西を中心とした若手バンドが集まる「牛若ノ舞台」、そしてストリートボールチーム「大阪籠球会」が魅せる「鞍馬ノ間」、3つのステージで構成され、6回目を迎える2013年も2日間で計30組のアーティスト、パフォーマー、そして4万人を超えるオーディエンスが集まった。ステージに上がる誰もが愛や絆を叫び、オーディエンスに感謝の気持ちを伝える。そこに嘘偽りは一切ない、“本物”の思いを感じられる、他にはないロック・フェスがそこにあった。ひたすらに音楽を愛し、音楽に救われ、音楽で絆を築き上げてきた人間たちが作り上げる空間はなんとも言えぬ充実感に満たされていた。誰もが忘れることのできないパンクロックのミラクルが起きまくった2日間をメインステージを中心にレポート。この2日間でサークル、モッシュ、ダイブが起こった数は、数多あるロックフェスでもトップクラス!

■<京都大作戦>第一日目


▲dustbox

▲花団

▲The Birthday

▲MAN WITH A MISSION

▲MINMI

▲KEMURI

▲Dragon Ash
初日、「源氏ノ舞台」のトップバッターは大作戦の常連バンド、dustbox。1曲目「Hurdle Race」からぶっといサウンドをぶっ放し、オーディエンスを躍らせる。煌くメロと高速リズムが堪らない「Riot」ではタイトルのままに会場は自由奔放な大騒動を起こす。初っ端から会場中のテンションが頂点を迎えているのが伝わる。

続く出演者は京都は宇治の出身、4月に解散したばかりなのにこの日のためだけに再結成したコミックバンド・花団! 手作りダンボール衣装に身を包み、“2万人の大爆笑”を目指してスベリ知らずの楽曲をかましていく。広いステージを贅沢に使ってモノマネし、出演者をイジリまくり、「俺のブーメラン」でタオルを振り回してMINMIをイジるとまさかの本人登場! ステージ脇の出演者も大笑いで、まさかの2番手にしてアンコールが起きるほどの盛り上がりを見せた。The Birthdayは初出演の京都大作戦で圧倒的なロックンロールサウンドで暑い空気をピリっと締めてくれた。「涙がこぼれそう」「Buddy」に「なぜか今日は」などじわじわと攻めるギターのリフ、鋭く刺さるリズム。文句なしの痺れる楽曲陣に酔いしれた。

「牛若ノ舞台」でも、S.M.N.、KiM、四星球、MOTORS、SECRET 7 LINE、NUBO、BUZZ THE BEARSが大いに盛り上げてくれた。「源氏ノ舞台」から丘を越えて対面する形で広がるのがこのステージ。みな、この丘を越えてメインステージに上がることを目標にするバンドばかり。四星球もステージで「僕らは京都大作戦に出て売れたいんです!」と、正直すぎるほどの気持ちを叫んだ。The BirthdayとMAN WITH A MISSIONに挟まれる形での登場となった四星球は、コミックバンドらしく全力でバカをやりながら、次へのドデカイステージへ昇ることを約束した。

そして「源氏ノ舞台」には、その丘を越えて2度目のメインステージでの出演となったMAN WITH A MISSIONが登場。オーディエンスは後方までびっしり。「distance」や「Emotions」など文句なしのロックチューンにシンガロングで盛り上がる。「人間ノ皆様、楽シンデクレチャッテマスカー? 熱中症ニハ気ヲツケテ」なんて、黒づくめのオオカミからは説得力ゼロでしょ!と笑いも起きる。

「究極ノ生命体ハ5匹ダト思ッテオリマシタガ、先日モウ一匹見ツケマシター♪」と登場したのはDragon Ash・kj!マスクを被ってオオカミに仲間入りしてNIRVANAの「Smell Like Teen Spirit」を披露。サプライズの多さも京都大作戦の醍醐味。

そんなサプライズは続くMINMIでも。「音楽で繋がろう レゲエのロックはイケますか?」と「シャナナ☆」を含むメドレーで会場を熱く揺らす。サプライズ返しで花団も登場し“煮玉子”コールでまさかのモッシュも発生! 「同じアホなら踊らにゃ損!」と「ポジティブ音頭」で豪快なオカンパワーで夏フェス会場を盆踊り会場に変えてしまう。温かさと包容力、そして自由奔放なレゲエで魅せてくれた。

レゲエの次はスカパンク! 昨年復活したKEMURIの登場で会場は一気にスカパーティーに♪ とことんハッピーで爽快なスカのリズムにダイバー続出で、スクリーンに伊藤ふみおの満面の笑顔が写る。6年ぶりにアルバムを出したばかりの彼ら、新旧の楽曲を彩り鮮やかに打ち鳴らしていき、突き抜けるホーンの音色が夕焼けの空へ高く鳴り響く。「白いばら」では会場から喜びの声が大きく上がったと思えば、「Ato-Ichinen」でオーディエンスの拳が一気に突き上がる。もちろん、テンションが上がったのは10-FEETの3人も同じだ。ギターで参加したり、ステージでスカダンスしまくったり、会場にいるキッズと同じうれしそうな顔をして楽しむ3人の姿にKEMURIの面々もより速度を増した楽曲で応戦し、あっという間にステージは終了。

トリの前は毎年欠かさず出演し、もはや影の京都大作戦のボスと言ってもいいくらいのDragon Ash! kjが「死ぬほど楽しみにしてたヤツ、手を挙げろ~!」と叫びを上げると丘の上まで一斉にオーディエンスが跳ね上がる。HIROKIのギターが歌うように響き、ダンサー2人がしなやかで力強く舞い、リズムも踊る。夕暮れの涼しさを吹き飛ばすように、ラウドな楽曲やアレンジ効かせまくりの「La Bamba」、10-FEETカバーの「SHOES」で会場を沸かしていく。スクリーンに映る、飛び入り参加したTAKUMAらの悪がきみたいな顔で笑う姿がとても愛しく感じる。10-FEETへの友情、京都大作戦、そして音楽への愛を込め、kjの声はより遠くへ遠くと染み渡り、kenkenのベースのリズムが鼓動を刻む。「ミクスチャーロックは好きですかー?」とラスト「Fantasista」では、待ってました!と言わんばかりに飛び跳ねるオーディエンスたち。体力を温存する者を張っ倒すようにメンバーが渾身のロックでラストの10-FEETへ繋いだ。


▲10-FEET
初日の大トリである10-FEET。すべての出演者、集まったオーディエンスに気持ちを返すべく、ステージ中央で円陣を組み気合を入れる。「振り落とされんなよ」、TAKUMAが笑うと容赦ないスピードの「JUNGLES」でスタートダッシュをキメる。「Freedom」、NAOKIは2日目のことを考えてないんじゃないかってくらいの全力の高音ボーカルで叫びを上げ、KOICHIのドラムが轟きを上げる。会場の盛り上がりを見てご機嫌になったTAKUMAが「思っくそいったろかな~」と遊び心を全開に、2万人の舌打ち(結構な音量で聞こえて会場全員大笑い)で笑いを取る場面も。

「RIVER」ではDragon Ash・kjが登場し、ステージの照明を全て消し、携帯やライターの光で今回のイベントタイトル“天の川”を作り出す。美しい2万粒の光、一切の音もなくオーディエンスとシンガロングして作り上げる楽曲。kjが叫んだ「これがロックンロールの力!」、その言葉のままに限られた時間にすべての気持ちを込めて「4REST」で本編を占める。アンコールでは開演から今まで晴れていたのにまさかの大雨が! TAKUMAが「神様のヨダレやで!」、なんてちょけてみるも、よほどこの空間が楽しそうに見えたのか雨足は酷くなる一方、でもそんな空気をも楽しませるのが10-FEET! 「SHOES」「2%」でこの日一番の巨大サークルが生まれ、会場にいる全員が最高潮の気分で1日目が終了した。TAKUMAが最後に伝えた「気持ちひとつで世界は変わるよ」、この言葉は次の日にもミラクルを起こすことになる。

◆第二日目レポートへ続く
この記事をポスト

この記事の関連情報