【インタビュー】河村隆一「星々が消滅しても光が残るように思いは残る、永久に人の思いは届くということを伝えたかった」

■人の命がなくなっても思いは永久に受け継がれていく
■それが世代を超えて「七色」で僕が伝えたかったこと

──この曲はヴォーカルアプローチがいつもと違ってましたよね。ソロ・河村隆一はシルキーな声を使うことが多いのに、「七色」はすごくエモーショナルな声を使っていて。

河村：じつは、この歌の仮歌を歌った日に喉を壊してまして。そのときは当然声がかすれていたので、シャウトをしないと自分の理想の歌に近づかない感じだったんです。ちょうどLUNA SEAのRYUICHIに河村隆一が近づいて、その間にいるぐらいの存在の歌い方になってたんです。それは仮歌だったんですが、後で聴いたらすごく歌詞と合ってるなと思って。後にシングル用のレコーディングでキレイに歌ってきっちり録ったんですが、全然違うと思ったんです。で、怪我の功名じゃないですけど、シャウトしたほうが歌詞がストレートに、リアルに伝わってくるなと思ったので、この歌は仮歌をメインに使っています。あのとき喉を痛めてなかったら、この歌もこうはなってなかったと思います。

──そうだったんですね。歌だけでいうとC/W（「the earth～未来の風～」）の歌い方のほうが、従来のソロの河村隆一に近かった。

河村：そうですね。じつは今回、この2曲がシングルのなかで対になってる部分がありまして。C/W曲は残された人々に向けた応援歌を書こうと思って書いたんですが。いま大人たちが壊してしまった社会に大学生、高校生たちが夢を描けないという時代が長く続いてますよね。僕らの子供の頃とは明らかに温度感が違うんです。子供たちが目標とする場所や所有したいものは、変わって当然だと思うんです。少なくとも僕らの時代は、ROCKで成功したら良い車を所有して良い女とデカい家に住んで、毎日がゴージャスな生活というものを夢見るイメージが80年代に植え付けられていた。でも、いまの子供たちは、そんなものは求めてない。

──そんなことを言うミュージシャンも本当にいなくなりましたからね。

河村：若者たちはみんな車もいらない、デカい家もいらないという。じゃあその代案として何か出てくるのかなと思ったら“こんな世の中なのにそんなこといっても暑苦しいだけ”、“だって就職も決まらないんだからバイトでいいし”って言うわけですよ。そういう子供達の夢を奪ったのは大人たちであって。気がついたら自分もいつの間にか大人じゃん、と。昔だったら“あのおっさんたちがダメなんだよ”って言ってたけれど、自分もいまの経済を回している一員だよなと。いまCDが売れないとか言ってるけど、自分らがもっと夢のある音楽業界を作れたんじゃないのかと。それで、この曲は残された若い人たちに、どんどん夢を見てくれって言ってるけど、じつは大人の覚悟も歌ってる。大人たちが政治家や会社のせいにするんじゃなくて、自分が何をやれるのかを考え、そして若いコたちに、こうやって頑張れば楽しいし、その先には豊かな未来があると。

──その覚悟を持てということなんですね。と考えると、歌詞のなかの“僕は諦めたり　決してしない…”というセンテンスは…。

河村：大人にも言ってる。もうダメでしょこの国はという風潮があると、そう思ってしまう自分もいる。だけど、そんなこと言ってるくらいなら、騙されたと思って“ダメなんかじゃない”って踏ん張ってたほうが、悪くはならないと思うんですよね。少なくとも大人が達成したいってものがあるだけで、周りがちょっとキラキラしてくるじゃない？　40歳になろうが50歳になろうが60歳になろうが、自分の明日をこういう風にしてやろうでも、この国をこういう風にしてやろうでもいいから、何か思ってたら、すべてが絶対動き出すはずだから。そのなかに若い人たちを生かしていきたい。大人が頑張ってると、子供達も“いいな”って思う。大人の責任として、そういう覚悟、意思を持とうということなんです。それが「七色」で、人の命がなくなっても思いや意思は永久に受け継がれていくんだってところに全部つながっていく。そういう、いま世代を超えて僕が伝えたかったことが、パッケージされたシングルになりました。

New Single「七色」
5月29日(水)発売
（CD+DVD）AVCD-48414/B　\1,890（tax in）
[CD]
1.七色
2.the earth～未来の風～
3.七色（for you）
[DVD]
1.七色（Music Video）
2.七色（Making Video）
（CD）AVCD-48415　\1,260（tax in）
[CD]
1.七色
2.the earth～未来の風～
3.七色（PIANO version）
4.七色（for you）

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