【インタビュー】河村隆一「星々が消滅しても光が残るように思いは残る、永久に人の思いは届くということを伝えたかった」
ニュー・シングル「七色」リリースに合わせて久々にソロでの音楽活動を再開する河村隆一。今回はシングルインタビューに加えて、タイトル曲に合わせて7つのキーワードから河村隆一を徹底分析。いままで知られていなかった河村隆一像に迫る。
■いかに今日1日を高温で燃え尽きて生きられるか
■僕はそうことばかり考えて生きてるタイプなんです
──新曲「七色」は、ドラマ『白衣のなみだ』のために書き下ろした曲とお伺いしましたが。
河村隆一(以下、河村):そうです。ドラマのエンディングテーマのお話をいただき、プロデューサーさんとお会いしたときに、震災もありましたから“日本中に元気を与えたい、命の大切さを伝えたい”とおっしゃったんですね。命のこととなると悲しみだけを歌いがちなんだけど光も欲しいということで、僕はそのテーマを“星空”に映して。すべての星々がそこに現存しているかはわからないけれども、光だけは残って届いてくる。星々が消滅しても光が残るように思いは残る、永久に人の思いは届くということを書きたいと思って書いたんです。
──命の大切さと言われて、河村さん自身どんなことを考えました?
河村:僕は命の尊さを自分に置き換えて考えるとわかんなくなるんですよ。何をもって命を全うしたというのかって、いつも自分の人生を考えるんですね。事故や病気、天災もあれば戦争もあって。どこで自分の人生が終わるのかはわからない。でも、一つだけ言えるのは、僕は歌を歌うということを人生に与えてもらったんで、仮に最高の歌を歌った後に死ねるなら、それが自分の一番の理想だなと思っています。だから、命の大切さや尊さよりも、僕の場合はいかに今日1日を高温で燃え尽きて生きられるかということばかり考えて生きてるタイプなんです。
──なるほど。
河村:それでも、震災のような天災が突然起こって何万人が死ぬようなことがあると、まず残された家族は納得がいかないだろうなと考えたんです。死んだ本人はそうじゃないかもしれないけど。僕、事故をしたときに“あそこで無理したからだな”って走馬灯のようにそれまでの人生を見たことがあって。
──それは幾つのときですか?
河村:17歳のときですね。交通事故をしまして。そのときに走馬灯を見て、やっちゃった本人は“あーやっちゃった”って。そんなことを思うんですよ。でも、家族にしたら、仮に僕がそのとき死んでたら、父も母も“どうして”“なぜ?”って、その瞬間から悲しみが始まっていた。それぐらい、死というのは残された側に負担があるものなじゃないのかと考えたんですよね。
──死んでしまった人よりも。
河村:ええ。だからお葬式も残された側がやるんですよ。本人はこのお花の並びを望んでたのかなとか不安になりながらも。それでも、本人のために精一杯やってあげたいという自分たちの思いは届くだろうと思って。それで、今回のドラマ『白衣のなみだ』のなかでは、滴という主人公が乳がんを患いながらも子供を宿し、産むためにがん治療せず死んでいくわけですけど。そこで生きて欲しいっていう気持ちと、せっかく授かった子供を殺してしまいたくないという気持ちと、どっちが正しいんだろうっていうことは、きっとドラマを見た方々もそこで悩まれたと思うんですね。
──ええ、ええ。
河村:そこで僕が伝えたいと思ったのは、滴が命がけで残そうとしたその子供が、その人が死んだ後もその人の光となって受け継がれて、語り継がれていくということなんです。それは夜空の星が消滅しても、その光だけは何光年も彼方から光を、思いを訴えかけてくるようなものなんじゃないかなと思って。人が亡くなっても、その光を受け継ぐ人が友人や家族、子供のなかにいて、思いは受け継がれていくんだというのが、この歌を通して伝えたかったことなんですよね。
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