【インタビュー】SOUL’d OUT、10周年スペシャルライブ映像を語る「過剰なエンタテイメント性を排除してきた10年だった」
SOUL’d OUTが「ウェカピポ」でメジャーデビューを果たして、ちょうど10年を迎えた2013年1月22日、新木場スタジオコーストにて<SOUL'd OUT Premium Live 2013 "Anniv122" >を開催した。このライブはタイトルが示す通り、1月22日の生誕を祝うプレミアムなものだった。全身にステージから発せられる音を感じながら、急き立てるようなビートに圧倒された。フロアが鼓動するように波打つほど、オールスタンディングの客席を狂暴にさせた。その記念すべき一夜を記録したライブ映像がリリースされる。SOUL'd OUTのすべてを高く掲げて闘う3人の今の勢いがそのままパッケージされた映像を基に、彼らの10年とこれからを語ってもらった。
■前へ進むベクトルというのを常に見てる――Diggy-MO’
■“祭り”ですよね。やれること自体楽しい――Bro.Hi
■自分が肉片というか細胞の一つとして成り立ってます――Shinnosuke
◆SOUL’d OUT 画像
──10周年のアニバーサリーライブはSOUL’d OUTとしてのライブ前にソロライブもあって。あの見せ方はどんな意図からだったんですか?
Diggy-MO’:タイトル通りアニバーサリーのライブだったんで、まぁ“感謝祭”と言ってしまうと安直な気もしますが、それでいろんな面が見てもらえるかなと思って、一堂に会したものになればいいかなと。普段、過剰なエンタテイメント性をわりかし排除しながらストレートに音楽とパフォーマンスとっていうところで10年やってきただけに、ああいうことが逆にうちらのユーザーたちにとっては刺激的かな、とも思ったんですよね。
──SOUL’d OUTのライブよりソロのほうが、演出も賑々しかったですからね。
Diggy-MO’:最後は3人でいつも通り、逆にいちばんタイトに見せるっていうのが筋かな、みたいな感じですよね。
──Hiさんはいかがでした?
Bro.Hi :“祭り”ですよね。やれること自体楽しいし。楽しんでいただけたら嬉しいな、と。
──10年の振り返りは既にベストアルバム『Decade』で一度されてると思うんですけど、今回のライブ映像も含め、改めてSOUL’d OUTというバンドはどの辺が面白いと感じましたか?
Shinnosuke:改めて幅が広いなというか、自画自賛じゃないですけど(笑)。でも、“らしさ”の芯みたいなのは確固たるものがやっぱりあって。それは10年前とあまり変わってないようような気がするんですよね。僕らの中の感覚としてだけあるものもそうなんだろうし、それがファンたちにも伝わって形成されるプロジェクトというか。
──Shinnosukeさんはプロデューサーやソングライターとしての仕事との違いを最も感じやすいのでは?
Shinnosuke:それは確実にありますね。SOUL’d OUTは自分が肉片というか細胞の一つとして成り立ってますね。どっちが重いとか軽いとかじゃなくて、外仕事はもっと離れた視点というか。
Diggy-MO’:いろんな音楽が好きなんでね。ジャンル感というのか表面的なところは、その時その時の流行とか自分たちのモードもあるんでいろいろ変えてはきてますけど、今はその頃に思ったことはいい意味で忘れてるというか、クリアされてるというか、フラットになってて。継続してきてむずかしさも楽しさもあるし、でも前へ進むベクトルというのを常に見てるというか。まぁ、デビュー当時は今に比べるとなんもわかってなかったというか。
──では、変わらないことは?
Diggy-MO’:音楽家として音楽をタイトにやっていきたいっていうのは、より深くなっていくのを実感できますけど、基本的には10年、SOUL’d OUTにものすごいこだわってきたんで。とにかく後にも先にも音楽鳴らすならSOUL’d OUTで。「どうなんですか?」って、そういうものを振り返らずにきたんで。こういうアニバーサリーの機会っていうのは、後を向くという意味ではなく、改めて自分がなぜSOUL’dOUTにこだわってきたのかが見えるというか。
──R&Bやヒップホップが根底にありつつ、常にポップミュージックとして面白いものにしたいっていう思いを強く感じるんですよ。
Diggy-MO’:そうっすね。音楽的なものっていうのがベースで、あんまりジャンルがベースになってないというか。ブラックミュージックを借り物にしたくないというか、ブラックミュージックをがっつり模写してるような形態をしてても逆にボーカルでブレイクしてたり。そこはロックをやるにしてもジャズをやるにしても何やるにしても、なんかそういうもんがないとね。
──アニバーサリーライブでのDiggyさんのソロはむしろロックだったなと思うんですけど、それは今後バンドにフィードバックされるんでしょうか。
Diggy-MO’:どうだろうな? 語弊を怖れずに言うとソロもSOUL’d OUTもそういう棲み分け方をしてないんので、その時に自分が感じて表現する、ロックをやりたいモードの時にロックをやってるってワケじゃないんですよ、俺。全然違うマイブームがきてたりするんだけど、割と違うアイデアをぶつけてミックスしていくのが好きで、面白かったりするので。どういうっぽいものが本当は根底の自分で、っていう感じじゃないんです、俺は。だから当然、SOUL’d OUTの中でそういうものをぶつけて行くこともあるだろうし、かつてあったし。『ALIVE』の頃なんてだいぶやってるし。俺はそういう意味で、SOUL’d OUTにこだわってるって感じですね。音楽的であればっていう以外、別に何もない、みたいな。
──Diggyさんにとっての“音楽的”って、どんなイメージですか?
Diggy-MO’:…難しいよね、確かに(笑)……なんかさ、わかりにくいかもしんないけど、カウントってあるじゃないですか。「シャンシャンシャンシャン!」って。あれも音楽的なほうがいいなっていう感じなんですよ。拍のアタマがいきなり始まる曲だからカウントを入れるんじゃなくて、「そのカウントが入ってるほうがカッコイイよね」っていうので初めて俺は音楽的なカウントになると思うんですよ。ただの拍子合わせじゃないっていう。そうすると、バチ(スティック)でいくのかハイハットをオープンでいくのか、閉じていくのか、最後に「ツツツ~」とかを入れるのか、そういうので変わってくると思うんですよ。ただのカウントじゃない。そういうのをいたるところでやり出すと俺は楽しくなってくるんですよ。
──Diggyさんのアタマの中で鳴ってる音に便宜的なものはないんでしょうね。
Diggy-MO’:そうですね。
──すごく腑に落ちました。
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