【ライブレポート】マーシャ・クレラの来日ツアー、スタート

ポスト

東ベルリンにて1990年代半ばより音楽活動を開始、MinaやContriva、NMFarnerといったベルリンのバンドで活動、ベルリンの音楽シーンに多大に貢献し、2012年に新アルバム『Analogies』をリリース、ドイツ文化を代表するレーベルのひとつ、Morr Musicを象徴するエレクトロニカ・フォークロックの礎を築いたマーシャ・クレラの来日ツアーが11月17日、原宿VACANTにていよいよスタート!

◆マーシャ・クレラ画像

マーシャ・クレラの初来日ライブは、やや激しい雨が降る東京・原宿VACANTにて11月17日(土)の夕刻、シンガポールから来日したAspidistrafly、ベルリンで活動する日本人音楽家、Masayoshi Fujitaと映像作家usaginingenの3部構成。Aspidistraflyはアンニュイかつややハスキーな女性ヴォーカルとツイン・ギターのサウンド・コラージュが織りなす、透明感満載のアンビエント・ポップ。なんとなく現代版Nico風な感じ。ビブラフォン奏者Masayoshi Fujitaの音楽はマイク・オールドフィールドの音楽からフォーキー&土着的な部分を抽象化して、映像とコラボレーションするような斬新な試み。

さて、1990年代からのContrivaやMinaのファン、2002年のソロデビューからのファンが待ち望んだマーシャ・クレラの初来日ライブ。初日公演は、アコースティックな音空間を尊重するライブハウスの主旨から、パーカッション奏者のRobert Kretschmar(同じくMorr MusicからアルバムをリリースしているIt's A Musicalのドラマー、ヴォーカル、作曲家)がドラムセットなしで、パーカッションに専念する構成のバンド編成。2012年の彼女のツアー・バンドをドイツで見たことがあるが、かなりパンク色というかオルタナ色というか、まあ所謂ロック色が強い編成である印象を持っていたため、その意味で新鮮な企画。基本的には2012年発売のアルバムのナンバーを中心に、ソロ・デビューアルバムから「I want to you to Know」、2009クルト・ワイルカヴァーアルバムから「I tald to the Trees」などが織り交って演奏は続く。

やや、マーシャの音楽が潜在的に持っているパンク感&グルーブ感は削がれた印象は拭えないものの、キーボード奏者Sebastian Nehenの綺麗な色とりどりのビー玉を転がしているが如き、繊細なプレイが際立っている。また、2011年ベルリンで公演された女優との詩の朗読デュオで演奏されたレナード・コーエン作曲で、ジョナサン・リッチマンもカヴァーしている「Here it is」のライブ演奏が嬉しかった。

続く11月18日(日)大阪雲州堂におけるライブは対照的に、現状のMasha Qrellaバンドのアグレッシブさを全面に押し出したワイルドな音空間を展開。2000年のContrivaのアルバム『Tell Me When』から彼女のリードヴォーカル曲「Next Time」を10年ぶりに演奏するなどして観客を喜ばせた。

引き続き20日京都、22日金沢、そして日本のポストロックを代表するバンドのひとつ、miaouとの23日名古屋、24日東京O-Nestライブと来日ツアーは続く。是非お見逃しなく!!

Photo:Ryo Mitamura
文:小塚昌隆

◆マーシャ・クレラ来日ツアー主催オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報