【インタビュー】洋楽コンピ『ROCK STUDY』を監修した10-FEETって、こんなバンド

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ミュージック・ポートレイト第一弾として、アーティスト監修の洋楽コンピレーションアルバム『ROCK STUDY presented by 10-FEET』が10月3日にリリースとなった。サム41、MR.BIG、パンテラからマルーン5、リサ・ローブまで21曲もの洋楽作品が詰め込まれた、10-FEETが監修したロックコンピである。彼らが影響を受けたという21アーティストが目白押しだ。

◆10-FEETメッセージ映像

監修アーティストが人生の局面で影響を受けてきた、あるいは深く関係した洋楽を知ることで、そのアーティストの洋楽嗜好性のみならず、彼らの人生・価値観さえも垣間見えてくる。このシリーズが世界中の音楽と出会うきっかけに、そしてこれをきっかけに監修アーティストに興味をもつきっかけになればという思いから誕生したシリーズだ。

10-FEETは、TAKUMA(Vo、G)、NAOKI(B、Vo)、KOUICHI(Dr、Cho)というシンプルな3ピース形態をもちながら、ROCK、PUNK、HEAVY METAL、REGGAE、HIP HOP、GUITAR POP、BOSSA NOVAなど様々な音楽を10-FEET流に消化しながら、独自のサウンドに確立しているロックバンドだ。年間100本以上の精力的なライブ活動を礎に、人間味溢れる深いメッセージが込められた歌詞、笑顔を誘い出すキャラクターで、日本はもとより、アメリカツアー、韓国、台湾でもライブを行い、音楽の力で国境を越える数少ないバンドのひとつである。

そんな彼らが選び出した21アーティスト21作品が『ROCK STUDY presented by 10-FEET』という作品となった。こんなコンピを生み出す10-FEETとは、どんなアーティストなのか、ひとりひとりに話を聞いた。

――オリジナルを作ったのはいつくらいだったんですか?

TAKUMA:オリジナル作ったんは…20歳ですね。コピーが好きで、オリジナルは全く興味がなかったんです。ただのヘヴィメタル風なネタは遊びで作ったことがありましたけど、オリジナルソングを作ろうと思ったことはなくて、メロコア、パンク、グランジ、ヘヴィメタルっていうコピーばっかやってて、ある日、友達がライヴにたくさん来てたから、やってる楽曲の盛り上がり要素だけを自分で感じてサンプリングして作るような感じで、「パーティPARTY」と「アポンチュ」って曲を作ったんですけど、それが物凄く盛り上がって。存在せえへんかった音楽を作って、人がそれを聴いて喜んでくれて…遊び半分でやったわりに、これは大事件だと思ったんです。一番と二番があったら、二番でもう盛り上がれるみたいな簡単な作り方をしていて、お客さんはみんな友達やから盛り上がるとは思っていたんですけど、実際にそれが起こった時に電撃が走ったというか、形容しがたい感動があって。何だこりゃ!って。そっから病みつきになって。じゃあ、もっと面白いやつを作ってみようって思って。ギターもベースもドラムも、覚え始めのかじりかけだったから、素人なりに思い付くアイディアを出して、ワンフレーズだけでどんどん曲を作れたんですよね。今思えば、そういうふうに作ると、曲の聴きどころがサビやリフじゃなくなったりしてしまうんですけど、曲の中核がなくてもどんどん曲を作れた経験は、後々に活きたと思いますね。

――そこからは、走り出したら…。

TAKUMA:走りっ放しですね。オリジナルを増やしてコピーを減らしていきました。あとは、オリジナルだけになってライヴした感じはいわゆるプロの人と一緒やから、凄いなって思って。ほんまにコピーが好きやったから、オリジナルやってるバンドと対バンしても、あんまり興味がなくて、知らない曲だしなあって思っていたんですけど、まさか自分がそうなるとは。また、自分が作った曲が、最初は盛り上がらないけど、何回か聴いてもらえるうちに、あの曲は好きって言われるようになって、それが嬉しくて嬉しくて仕方なかったんです。自分が作った曲を、1曲でも好きって誰かに言われることが、本当にうれしかった。今でもですけど。

――コピーばっかりしていろんな音楽を聴いていた10代は、蓄積期間だったんですね。

TAKUMA:そうですね。それは活きていると思います。でも、高校生でオリジナルやってる奴ってほとんどいなかったし、ティーンズ(・ミュージック・フェスティバル)に出るような、学校でも一番有名な一バンドか二バンドだけが、一曲か二曲持っているっていうパターンだったんで。だから、自分がオリジナルやることはパッとこおへんかって。オリジナルって今言ってても、何かちょっと恥ずかしい(笑)。オリジナルなんですけど。

――尊敬しているアーティストっていますか?

TAKUMA:…レイジかなあ。マックス・カヴァレラもだけど。セパルトゥラの後にソウルフライをやって、それがカッコよかったことが、めちゃめちゃリスペクトというか。あんだけ凄いセパルトゥラをやっていて、普通は越えられないですけど、ソウルフライは、瞬間的に越えられるくらいのものは、持っていたと思うんですよね。あと、全然ジャンルが違いますけど、ドノヴァン。この人のラヴソングが凄くキュートで、チャーミングで。カッコよくドキッとする言葉を女性に言うんじゃなくて、長年寄り添っている嫁さんに言うんですよね。喋れへんくらい小さい子供がいて、ベンチで座ってて、僕らが好き合っていることを子供に見せようって、チュウしたり抱き合ったりするっていう。子供は何やってるかわからない時期ですけど、それだけに見せたい。そこにはもちろんいやらしさはなくて、お父さんとお母さんは愛し合っているんだよっていう形を見せたいっていう。子供って世界で一番愛している存在だから、言葉で説明するんじゃなく見せるんです。で、それを歌詞にしたりするっていう。そこにはセックスの表現もあるけれど、ジメっとしたことがなくて、この子が生まれる前と同じ愛し合い方を、この子の前でしなくちゃっていう。凄く動物的なんですよね。愛の姿を、理性や言葉なしに表現することに近くて、それを凄くカッコいい歌で表現しはるんです。奥さんに向けた歌って、ないわけじゃないけど、少ないじゃないですか。それを若いうちから、カッコいい人が歌っているところが、ほんまいいなって思って。そんな男になりたいなって。結婚しても、恋人みたいに…もちろんそんな時期ばかりじゃないけれど、たまに海に旅行に行った時くらい、そういうことしようねっていうところが素敵だなって。女性から見ても凄くカッコいいと思うし。

――そうですね。

TAKUMA:そう思われる男でありたいな。モテる男というよりは、ただただ素敵ですよね。そうありたい憧れはあります。

――ミュージシャンとして、男として、いろいろな姿で音楽に向き合っているんですね。

TAKUMA:そうですね。それで、自分が大好きな音楽で、自分が今一番思っていることを表現していきたいです。

――NAOKIさんは、ハードロックから洋楽に入ったんですよね。

NAOKI:多かったですね。ただ、何故か当時、俺、メタルっていうものは毛嫌いしていて。今はメタルも好きなんですけど、当時ハードロックとメタルは違うと思っていて、メタルっていうものに勝手なイメージを持っていて。メタルは汚いロン毛で、ハードロックの方がスマートでカッコいいっていう偏見があって。だけど、高校の時は、メタルのおかげで、嬉しい思いもしたんです(笑)。当時、公式テニス部やって、部室に勝手にラジカセ置いてて、用意している間も音楽をガンガン流したりしていたんやけど。高一か高二の時に、俺がハードロック好きなの知ってたから、友達がメタルも好きやろって、メガデスのCDを貸してくれて、カッコいいなって思って聴いていたら、先輩が部室に入ってきて。それが、テニス部に関係ないヤンキーの先輩で。で、部室にいたのは俺ひとりで、震え上がって、何で?俺締められるのかなって。そうしたら先輩が、「これメガデスやんけ!めっちゃいいの流れてると思って」って言って。俺は、はい、そうっす、そうっすってガチガチになりながら返事して(笑)。で、「メガデス好きなん?」って言われて、その時に借りたばっかで全然知らんけど、はい、めっちゃ好きですって言って(笑)。そうしたら、めっちゃ食いついて来てくれて「センスええなあ自分!」って。先輩に気に入られたエピソードがあったっていう。だから、メガデスは好きやったんです(笑)。

――そんな出来事でハードロックとメタルの…。

NAOKI:壁が崩れた、という(笑)。

――その後は、ファッションとかも含めてメロコア一直線ですか?

NAOKI:えっとね、ファッションは全然メロコアじゃなくて。凄く恥ずかしいねんけど、簡単に言うと、ただのヤンキーだったと思う。ダッボダボのパンツに、ジャラジャラ腕に付けて、頭はオールバックで、ただイキがってるだけっていう。当時、音楽とファッションの結び付きを全く知らんくて。CDばっか聴いてたから、映像を見たことがなくて。スケーターとかそっち系とリンクしてることも全然知らんくて。

――その後は、音源を聴いたりライヴを見て、影響を受けたところもありますか?

NAOKI:多分、意識的にはしていないけれど、無意識でそうなっているところはあると思う。あのね、ライヴでのプレイスタイルは、今は自分がこうしたいっていうイメージで、自然に身体が動くように出来上がったけど、最初、ただ黙々とプレイするんじゃなく、何かパフォーマンスをって思い始めた時に、海外のバンドの映像を見たり、日本で共演した海外のバンドから、影響を受けたと思うし、自分がベーシストとして、アレンジを考えたりする時に、CDを聴いてても、常にベースに耳がいっているわけじゃなくても、カッコいい瞬間のベースラインは頭に残るんで、それが無意識で曲作りで出てきていると思う。せやから、今まで自分がやってなかったラインとかがパッと出てきた時には、これ絶対に何か情報が入ってきてできたんやろな、でもこれがめちゃめちゃカッコいいからこれがいいなって決める時もあるかな。

――じゃあ、影響を受けたベーシストを挙げるとしたら?

NAOKI:これがね、俺ね、影響を受けたベーシストってほんといなくて。その理由って、元々ギターからはじめたからかなって。ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュや、ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアとか、MR.BIGのポール・ギルバートとか、好きやったギタリストはいっぱいいて。それが高三からベースになって、俺の感覚では遅かったし、それまでギタリストばっか見てて、特にこれといって憧れのベーシストというのがいなかったんですよね。で、ベース始めてからも、影響を受けたという感覚は…ニッキー・シックスとかも、モトリーも聴いてた当時はギターを弾いてたから、ニッキーにどっぷりじゃなかったけど、ベースをはじめてから、やっぱカッコええなあって思ったりして。それがきっかけでサンダーバード買ったし。あと、ステージパフォーマンスでいいなって思ったのは、マイク・ダーント(グリーン・デイ)とか。10-FEETをはじめてからは、当然レッチリのフリーとかも凄いと思ったけど。

――誰かに憧れてはじめたわけじゃないから、ですよね。

NAOKI:そう、ほんとに最初、メンバーがいなくてイヤイヤやったところからはじまってるから(笑)。何で俺がベースやねん!っていう。そっから、やってみたら面白かったんやけど。

――さっきちょっと話が出ましたが、海外のバンドとも数多く共演されていますが。

NAOKI:僕ね、しかも共演のバンドが、ほーんと10代の頃に大好きやったバンドやから。ランシド、ラグワゴン、スーサイド・マシーンズ…特にランシドなんか、高校の時にほんと憧れまくってたし。で、<PUNK SPRING>にランシドが出た時に俺らも出たんやけど、その日はランシドのことで頭がいっぱいで(笑)。トリでランシドが出てきた時に、客席で見たかったけど、袖で見れるって情報を聞いて、これは貴重な経験だって一番前に座っていたら、その日に出ていたホルモンのメンバーとかも集まってきて。そんで俺、ライヴ中に興奮しまくって、一緒に歌いまくって、ほんで終わってナヲちゃんが横におったから、ヤバかったなあ!って言ったら、「っていうかおめえの声がうるさすぎて、全然ランシドの歌が聴こえてこねえんだよ!」って(笑)。あ、ゴメンって。

――袖だから爆音のはずなのに、相当うるさかったんだろうな(笑)。

NAOKI:しかも、その日はティムと写真を撮ることができて。亮君とナヲちゃんに「ティムと写真撮ろうよ」って言われたけど、絶対に無理やって言ってたら、二人が行ってもうて、ティムがOKって言ってるのが見えたから、ガーッて走って、俺も俺も!って(笑)。その流れでジャパンツアーがあって、大阪のオープニングアクトで出させてもらって。その時もライヴ終わった後に、急いで片付けてランシド見る!って焦ってたら、肩を叩かれて、スタッフかな、こんな時に何やねんって思って見たら、ティムやって。俺も、おー!って(笑)。そうしたら、グッジョブみたいに言われて、サンキューって。ユー、プレイ何々みたいなことを言われて、何かと思ったら、俺がベース弾きながら回っている真似をし出したんです。クール!って(笑)。え?見てたん?って気付いて、嬉し過ぎて頭が真っ白になって。で、何か言わな何か言わなって思って、アイ・ラヴ・ランシドって(笑)。

――(笑)。いやぁ、伝わったと思うなぁ。

NAOKI:そうしたら、オーイェーって(笑)。もっと言える英語あったよなあって、後から思ったんですけど。

――でも、凄い思い出だったんじゃないですか。

NAOKI:うん。高校生の頃の俺に、ティムが俺の真似をしたって言ったら失神するんじゃないかな。

――さて、最後にKOUICHIさんの洋楽のルーツを伺っていこうと思います。

KOUICHI:ほんまにね、僕、洋楽に関してはルーツが最近なんですよ。邦楽しか聴いてなかったから。

――特にハマっていた邦楽アーティストがいたんですか?

KOUICHI:はい。BOΦWYはほんまに別格です。

――でも、邦楽と洋楽で差別化していたわけではなく?

KOUICHI:そうですね。ほんま、いいもんはいいっていうか。邦楽洋楽問わず、取り敢えずいろんな音楽を聴こうと思っていました。

――じゃあ、自分で初めて買った洋楽のCDっていうと?

KOUICHI:何やろ…レッチリかな。聴きたいものは全部兄貴が持っていたから、買う必要はなかったんですよね。友達とかと話して、こういうのあるよって言われて、興味を示して、多分レッチリを買いに行ったんちゃうかなあ。『母乳』かなんか。多分、兄貴がいなかったら、音楽そのものも聴いてなかったっていうくらい、普通にテレビとかで流れてんのを聴いてるくらいの少年だったと思います。

――お兄さんに、これ聴きなよって勧められたりしたんですか?

KOUICHI:そういうのはなかったです。兄貴の部屋で流れてんのを、これ誰?あれ誰?って聞いて、覚えていくっていう。広く浅く聴いていたんですよね。ジャンルやアーティストを突き詰める感じではなく。音楽が好きな友達も多かったし情報量が多過ぎたんで、取り敢えず勧められたら聴いてみて、気に入ったら聴き続けるっていうスタンスでした。

――そんな中で、特に能動的に好きになったものというと?

KOUICHI:やっぱりメロコアですね。ああいう音楽があるのが衝撃的で。速いビートで、メロディアスで、テンションが上がるっていうか。いわゆるパンクはあんま通ってないんですよ。ピストルズとか、何曲かは知ってるんですけど。でも、ノーエフとか聴いて、映像を見て、すげぇイケイケやん何でもありなんやって思って(笑)。大学の時はハマっていましたね。

――確実に、今の土台になっていますよね。

KOUICHI:なってると思いますね。メロコアに出会わへんかったら、違う路線にいっていたっていうくらい、ゆっくりした音楽をやっていたかもしれない。

――そのあたりで一番好きなバンドは、やはりNOFX?

KOUICHI:そうなるかなあ。一番最初に聴いたメロコアなんで。それ以降も、いっぱいバンド出てますけどね。

――最近もそのへんは聴きますか?

KOUICHI:はい。ただ今聴くのと昔聴くのでは、全然違うんですよ、聴こえ方が。だから、(オムニバスのリストに)挙げた曲も、今聴いて音楽的に理解できた曲が多いと思います。

――10-FEETをはじめても、様々なアーティストに衝撃を受け続けていましたか?

KOUICHI:もちろん。今でもありますからね、衝撃は。

インタビュアー:高橋美穂
編集:BARKS編集部

『ROCK STUDY』
10月3日発売
1CD/3Pワイドケース仕様 \1,980(tax in)
写真入豪華インタビュー44P・歌詞・対訳・解説付
1.SUM 41 / ファット・リップ
2.フーバスタンク / クローリング・イン・ザ・ダーク
3.ホワイト・ゾンビ / スーパー・チャージャー・ヘヴン
4.パンテラ / ア・ニュー・レヴェル
5.ライズ・アゲインスト / ステイト・オブ・ザ・ユニオン
6.スキンドレッド / セレクター
7.MR.BIG / 60's マインド
8.フィンチ / レターズ・トゥー・ユー
9.スマッシュ・マウス / オール・スター
10.フェイス・トゥ・フェイス / ディスコネクティッド
11.ウィーゾー / ラウム・デア・ツァイト
12.エイジアン・ダブ・ファウンデイション / フライオーヴァー
13.ポア・ハビット / アゲインスト・ミー
14.スノット / テカト
15.リンプ・ビズキット / カウンターフィット
16.ダミアン“ジュニア・ゴング”マーリー feat. NAS / ロード・トゥ・ザイオン
17.ボックス・カ―・レイサー / アイ・フィール・ソー
18.マルーン5 / ディス・ラヴ
19.ウィーザー / マイ・ネーム・イズ・ジョナス
20.リサ・ローブ / ステイ
21.マクフライ / 5カラーズ~愛しのカラフル・ガール

◆10-FEETオフィシャルサイト
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