三宅洋平大いに語る、「バンドって社会を象徴してるんだよ」

2012年6月18日月曜日、SHIBUYA LOOP annexにて開催された三宅洋平のライブ<唄 -UTA- ~三宅洋平 弾き語りワンマンライブ~>は満員御礼のもと、バンド(仮)ALBATRUSのメンバーである越野竜太(G)、小林眞樹(B)、元晴(Sax)の飛び入り参加もあり、(仮)ALBATRUSの1stアルバム『ALBATRUS』にも収録されている曲も披露される豪華な一夜となった。
◆三宅洋平画像

高橋マシ:改めて、今日ありがとうございます。
三宅洋平:こちらこそ。
高橋マシ:予想通りというか(笑)、予想以上に素晴らしいライブでした。最高でした。
三宅洋平:いい雰囲気だったね。1970年代ウッドストック世代っぽかったね(笑)。

──本日のライブはいかがでしたか?
三宅洋平:皆お客さんがいい顔してたし、前売り券も売り切れたし。震災以降、皆の音楽を聴く目つきが変わったのと、人も来るようになった。それが、わかりやすい意味でいい現象だなと。
高橋マシ:確かにそれはすごい思いますね。
三宅洋平:そういう意味でライブの熱量があがってるし。まあ、あるべき所に戻ったと。本来俺たちが憧れて聞いていた1970年代の黒人の音楽とかって、これぐらい切羽詰まった社会的な意識の中で作っていたんで、それにやっと俺たちもあるべきこの宇宙で生きていくシビアさの中にやっと立ち戻ったというか。平和ボケ日本、占領国家日本を卒業したんだなと。

三宅洋平:変えられたというか、後押ししてくれったって感じかな。
高橋マシ:ですよね。「お前そっちでいいんだよ」って勇気づけてくれる音楽を好きになってきたし。
──ライブ中のMCで町議会議員に立候補するとおっしゃっていましたが、本当ですか?
三宅洋平:まず、本気で検討することは誰にでもできるよね。じゃあ、どれぐらい年間拘束されるのか?選挙に出るのにいくらかかるのか?当選したらどうなるか?を友達とかと本気で検討するまではタダだよね。そういうことをみんなしたらいいと思うし。LOOPとかをやってる人が区議会の議員になって、そこの代表としてものを言ったりするのは、もっとカジュアルで全然敷居の低い話でいいと思うんだよね。

三宅洋平:じゃないとやれないじゃん。そういうところで制限してきちゃったんだよね。専門政治家みたいな。でも、政治家しかやってない人に、世の中の何がわかるの?
高橋マシ:そうですよね。一般の人たちと同じ目線でやっているところがあるうえで、活動するっていう。
三宅洋平:同じ目線どころか、そこそのものでやれる就労条件じゃないと、不平等だよね。色んなアクションおこすよ。それは、ある種のメディアアートだと思うし。地元の沖縄の仲間を立てるかもしれないし。政治を政(まつりごと)にするっていう。俺らがやってるパーティーとかイベントとかオーガナイズっていうのは、実はまったく同じことをやってるんだよね。意識を政治に向けたときに、実は俺らが手慣れたあれやこれやっていうのが使えるわけですよ。1ヶ所にこういう(LOOPみたいな)場所に若者が何百人も集まるっていうのも、ちょっとした区議会議員や町会議員からしたら、脅威なわけですよ。それを僕らはもっとうまく使っていいんじゃないかな。なぜならもっと望む社会の形にしたいから。

三宅洋平:僕がアコースティックギター1本でいろんなセッションしてて、Peace-K(Dr)とやったり、竜太(G)とはらぞく時代から20歳のころから対バンしてたから。色んな人と対バンしてくなかで、だんだん定まってきたんだよね。で、できたのが(仮)ALBATRUS。
高橋マシ:なるほど。メンバーもスペシャリストばかりですけど。洋平君のなかで選定していたんですか?
三宅洋平:いや、俺はそんな選んでない。もともとそんな選ばないし。編成も歪な構成じゃない?俺はパーソナリティ重視・キャラ重視なんだよね。バンドってそうじゃん。
高橋マシ:確かに。キャラ濃すぎですよね(笑)。

高橋マシ:本当キャラ濃いメンバーですよね。それぞれが主役になれるというか。
三宅洋平:そう、音楽のブラジルサッカーをやりたい。
高橋マシ:なるほど、わかりやすい(笑)
三宅洋平:自分で考えて自分で決められる人達同士でジャムを構築するのが楽しいし、それってインフォメーションより先に自分できめるっていう。実はこの時代、放射能のこともしかり、必要な態度だと思うんだよね。自分で決めるっていう。自分自身がインフォメーションになるっていう。

三宅洋平:そうなんだよ。意外と影響してんだよ。100人とかのフォロアーもってさあ。友達に自分が何言うかって、実は思っている以上に影響力あるんだよね。
高橋マシ:レコーディングとかはどんな感じなんですか?
三宅洋平:レコーディングは摩擦係数0。
高橋マシ:へえー!

高橋マシ:確かに。そうですね。

高橋マシ:ですよね。
三宅洋平:そういうバンドです(笑)(仮)ALBATRUS。
──一生音楽をやっていきたい、音楽で食っていきたいって思っているアーティスト、そんな夢見る未来のアーティスト達へメッセージを。

高橋マシ:僕もやぱり店に立ってて、さっきも言いましたけど、音楽の力って恐ろしくて、それで仕事やめてやります、みたいな。それぐらいのきかっけを与えるパワーもってるので、中途半端が一番よくないなと。

──半生を振り返ると?
三宅洋平:勝手に半生にしないでよ(笑)まだ3分の1生(笑)。
高橋マシ:そうですよね(笑)。
三宅洋平:まあ、自分ていうものの態度は貫いてきたよね。なんか、たった一人の人間がこんなに頑張って自分を貫くだけで、社会ってちょっと変わるんだなっていうことが、10年過ぎて実感することかな。だから、すべての人がそうすればいいって思う。「いや、私はー」とかじゃなくて。誰もそんなに強くないよっていう。俺が外国で生まれて日本帰ってきて、完全に違う視点で日本を見てて、皆が気づいてない自分たちの部分って見えてて。だから、そこの部分を一生懸命伝えたかったりとか。逆に、外国の人が分かってない日本の部分が見えてて、「いや、そう見えるかもしれないけど、本当はこうなんだよね。」っていうのが。
高橋マシ:どっちも見えてるっていうことですね。

高橋マシ:いえー!
──今後、三宅洋平はどう動いていくのか?
三宅洋平:より自然な方へ帰ろうかなと。そして、より自然な地球を作ることに加担していこうかなと。いかに、地球の果ての辺境の街みたいなところに、たった俺一人がいくことで、そこが世界の中心ぐらいの存在感の場所になりうるかっていう、それは俺がどうこうじゃなくて、素敵なローカルはみんな素敵なんだよ。東京とかじゃなくて、みんなが住んでる小さい町々がUstreamしかりインターネットラジオしかり、発信できる力をもうもっていて、センスもあって、そういう独立したローカルの色とりどりのものがネットワークを通して繋がるのが本当のあるべきグローバリズムで、商売ベースの一元化された「みんなで同じもの食いましょう」みたいな、それはグローバリズムじゃないから。みんなが自分の地元を大事にして、大地を大事にして、そこで取れたものを食って、仲間を大事にしてっていうのが、ちゃんと繋がりあってる世の中だから。単純な話、放射能がどうとか、最近の降ってわいた話はすごく僕ら勉強させられてるし、認識しなきゃいけないことなんだけど、それ以前に、東京の空気をよくしようっていうことは、もっとさらっとできることだと思う。例えばピストバイク減税するとかね(笑)そういうことをさくさく実現するためには、自分たち自身がさっさと出馬してやるしかないよ、日直を。若いやつがやらないでどうすんの。町内会のゴミ当番みたいなもんですよ。めんどくさいし、色々いわれるし、でも誰かやんなきゃなんないんだから。例え落選したとしても、その期間で爆裂レベルアップ。はぐれメタル15匹ぐらいの(笑)

三宅洋平:そんな感じの姿勢でいます。最後に、「日本アーティスト有意識者会議」っていうものを立ち上げたいなって思っていることを伝えておこうと思っていて。知識はなくてもよくて、意識がある人。色々な意識のあるアーティスト達が、集まる、話し合う、見たいでしょファンの人達。
高橋マシ:そうですね!楽しみです。是非、またLOOPでもお誘いしますので、お待ちしてます!
◆三宅洋平オフィシャルブログ
◆ライブハウスLOOPオフィシャルサイト