夢のVOICE OF AOR、オーディエンスのハートは完全に彼らの掌中に

◆VOICE OF AOR画像
バックを務めるのは、このユニットの立案者であるスウェーデンのギタリスト:トミー・デナンダー以下、計5人のミュージシャン。彼らはストックホルムでリハーサルを行ない、日本でレジェンズと合流して音を合わせ、公演に臨んだ。開演前に楽屋を訪ねたが、面々は終始リラックス・ムード。それを見て充実の仕上がりを確信したが、それも束の間、彼らのパフォーマンスはこちらの予想を軽く蹴散してしまうほど、エネルギッシュでパワフルだった。

2番手には、アコースティック・ギターを抱えたビル・チャンプリンが登場、シカゴのパワー・バラードなど数曲を歌う。もちろん、アース・ウインド&ファイアーに提供した一世一代の名曲「アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン」も披露。「ピーター・セテラはいないけど、今日はファーギーがいる」と紹介されたのは、シカゴの名曲もあり(ここでは敢えて伏せておきます)。いつもよりハードなアンサンブルに、彼の歌いっぷりにも熱気が増していたようである。
替わってステージに現われたのは、スティーヴ・オージェリーだ。壮大なシンセのイントロからのあの、ジャーニーの名曲(!)が始まると、体感温度が1~2度上昇したような錯覚を覚える。ヒット・メイカーとしてのジャーニーの威力、大合唱を呼び起こすキャッチーな名曲の数々、そして何より、お馴染みのナンバーに新しい魂を吹き込んだオージェリーのヴォーカルに、大きな感動を覚えた。
トリは元気いっぱいのボビー・キンボール。時に好不調の波が伝えられるが、今回はコンディションが良く、スムースにハイトーンが出ている。そして定番「アフリカ」や「ロザーナ」では、スティーヴ・ルカサーのパートをビルが歌い、コーラスにはファーギー、スティーヴ・オージェリーの揃い踏み。ちょっと意外な選曲も交えつつ、場内のヴォルテージは最高潮に達した。
こうしたスペシャル・ユニットのパフォーマンスは、どうしても演奏やアレンジの粗さが目立つもの。しかし彼らは、二段構えの準備とオリジナルに忠実なアレンジでそれを補い、リアルタイム世代中心のオーディエンスから瞬時に信頼感を得た。とりわけファーギーのパートは、昨今のTOTO以上にTOTOらしいもの。アンコール含めて全17曲、ステージとオーディエンスが一体化した、心地良い余韻を残すライヴだった。
なお、東京での2日間のステージでは、日替わりメニューが追加される可能性があるそう。4人のレジェンズに心当たりのある方は、後悔せぬよう、きっと観るべし。
音楽ライター:金澤 寿和

・Bobby Kimball(Original singer of Toto)
・Bill Champlin(Formerly of Chicago)
・Fergie Frederiksen(ex. Toto)
・Steve Augeri(ex. Journey)
・Band:LEGENDS(from Sweden)
6月7日(木)名古屋 Zepp Nagoya
開場18:30 開演19:00
\9,000(税込・全席指定) 別途1ドリンク
[問]キョードー東海 Tel:052-972-7466
6月9日(土)大阪 NHK大阪HALL
開場17:00 開演17:30
\9,000(税込・全席指定)
[問]キョードーインフォメーション Tel:06-7732-8888
6月11日(月)東京 中野サンプラザ
6月13日(水)東京 渋谷公会堂
開場18:30 開演19:00
\9,000(税込・全席指定)
[問]クリエイティブマン Tel: 03-3462-6969
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