Chicago Poodle、インディーズ時代から現在までの渾身の33曲を収録したベストアルバム『HISTORY I』大特集
Chicago Poodle
ベストアルバム 『HISTORY I』 2011.11.30リリース
INTERVIEW
花沢耕太(以下、花沢):33曲ってねぇ……今までの曲の1/3くらいなんで。僕ら、インディーズが長かったから、もう11年くらい活動してるんでね。2011年の7月に森ノ宮ピロティホールでライヴをしたんですけど、そのライヴをやるにあたって、ファンの人からオフィシャルサイト上でリクエストを募ったんですよ。シカゴプードルの曲でライヴで聴きたい曲を5曲くらい選んでくださいって。それを集計したら、メジャー・インディーズから分け隔てなく上位に選ばれてて、すごく嬉しかったんですよ。僕らを知ってくれたのは、メジャーになってからの方が多いと思ってたんですけど、そんな中にも、インディーズの曲を振り返って聴いてくれている人がいるんだと感じて。この11年の僕らの集大成としてベスト盤を出すのは、改めて自分たちのことを見つめ直すいい機会になるんじゃないかなということで、いろんなスタッフさんと話し合って、ベスト盤を出そうという結論になりました。
山口教仁(以下、山口):森ノ宮ピロティホールのライヴが終わったあと、どんなアクションを起こそうかってスタッフと話し合って、一つの提案として、僕らからこういうのはどうでしょうって出したときに、みんなの気持ちも一致したんですよね。見つめ直す意味もありますし、今後僕らがさらに良い曲を作って行こうっていう、はじまりという意味も込めて出すぞっていう形になったんですよ。
辻本健司(以下、辻本):元になったのは、そのライヴでのリクエストですね。みんな、こういう曲を聴いてくれてるんやなっていう、ある一定の目安にして。その他、花沢が、「この曲は絶対に外せへん」って言った曲だったり、僕が入れたい曲、山口が入れたい曲も入れたりしつつ。どんどん入れてったら曲数が多くなっちゃったんで、二枚組にするしかないやろっていう話になっちゃって(笑)。
山口:よくあるベストって、例えば年代順に出したシングルを1~15まで並べていたりするじゃないですか。そういうのにしたくなかった。曲のストーリーにもこだわったりして。この曲のアウトロから、この次の曲のイントロが合うんじゃないかとか、セットリストにもこだわって並べたんですよ。
辻本:そうそう。選曲はみんなでやって、曲順は全曲、山口が聴き直してジックリ並べ替えてくれて、それを俺と花沢が聞かせてもらって。
辻本:そうですね。僕らからしたらベストアルバムですけど、聴いてくれる人からしたらオリジナルアルバムもベストアルバムも作品なので。ベストだからってコレクション作品的なものではなく、ちゃんと聴いて欲しいなという気持ちもあるから、曲順とかもこだわりたかったんですよね。二枚に分かれてるけど、両方とも聴き応えのあるものになってると思います。
山口:たぶん、引かなかったのは花沢くらいやと思います(笑)。
辻本:スタッフさんと、「この曲はいるんか?」みたいな話になってましたからね(笑)。
花沢:ははは(笑)。インディーズで出した「愛燦燦」というシングルのカップリングに入っていた「ブルームーン」という曲なんですけどね。ベストでは、ディスク2の11曲目に収録されてるんですけど。この曲、インディーズ時代の会心作だったんですよ。シングルにしたいという思いもあったくらいで。
辻本:そんな気持ちあったんや(笑)。
花沢:うん。でもいつの間にか、フワッとうやむやにされていたというか(笑)。それくらい良い曲が出来たと思ったので、今回、これを出すに当たって、ぜひこの曲は入れたいと思いました。
辻本:そうですね。「HISTORY」ってタイトルが決まったときに、せっかくChicago Poodleの歴史をCDとして形に残せるんですから、自主制作のときに作っていた曲を入れたらいいんじゃないかなと。「オーレオ」は、今のスタッフさんと出会う前に、自分らでスタジオを借りてレコーディングしたものをそのまま入れてるんですよ。僕らとしても歴史を示す一枚っていう意味で、この曲を入れることができて良かったと思いますよね。
花沢:9年前のものですから、だいぶ違いますよね。
辻本:花沢も喉を壊した時期がありますからね。最新の曲と、「オーレオ」と2004年のインディーズデビュー作「White mini album」に入ってた「Baby my“Jenny”」とかになってくると、声も歌い方も違うんですけど、そういう意味でも全部ひっくるめて歴史なんですよね。しかも、年代順じゃないから、古い花沢の声から急に新しくなったりするのも面白いんじゃないかと。
山口:全部CDを持ってる方もいらっしゃるので、そういう意味では新曲を入れられたのは良かったですね。
山口:そうですね。大阪のワンマンライヴでは披露してます。そこで聴いてくれた人が、「あの曲、いつCDになるんですか」って言ってくれたりもしていたので、ここに入れることができてちょうど良かったなと思います。
花沢:どの曲も一曲入魂でやっているから、どれも思い入れはあるんだけど、ディスク2の13曲目「Baby my“Jenny”」は僕らの活動の分岐になった曲なので印象深いですよね。この曲は、2003年の京都学生祭典でこの曲を演奏して、僕らはグランプリをもらったんですよ。そこから今のレコード会社の人たちと繋がったので。それだけ僕らの分岐になった曲。この曲がなければ今音楽をしていないかもしれないし。そういう意味では、バンドとして思い入れのある曲なんです。
辻本:僕は、自分が歌詞を書いている曲を見ていると、今やったらこういう歌詞は書けへんよなっていうのがあって。ディスク2の「ブルームーン」のあとに入ってる「Wondering」とか。これも「オーレオ」と一緒で、自主制作をやってたときにもう既にあった曲なんですよ。このバンドに僕が入って、初めの頃に僕が書いた歌詞で。僕が前にやってたバンドの影響がまだ出てるんですよね。前は、ビジュアル系みたいなバンドをやっていたので、そういう雰囲気が残っているのかなぁって見ていて思いました。何言ってのるのかわからへんし(笑)。
辻本:そうなんですよ。この曲が入っている作品だと、当時のものがまとまって入っているから、あまり気付かないんですよ。ベストだと、そういうこと関係ないし襲いかかって来るので(笑)。ちょっとドキッとしますよね。この曲だけちょっと異色だから。今ではチョイスしない言葉を使っていたり。きっと、当時の僕の歌詞を知らない人は新鮮だろうし、知ってる人は懐かしく聴いてもらえるんじゃないかと。
山口:僕は全部聴いたときに、一曲一曲、細かいエピソードを色々思い出したんですよ。例えばディスク1に入ってる「Slow river」。これってドラムは打ち込みなんですよ。当時、それがむちゃくちゃイヤやった記憶が甦ってきて(笑)。ドラマーとしては叩きたいという気持ちがあったんで。でも、今振り返ってみたら、この無機質な感じがあったから、この曲にはこれが一番ベストやったというか、そういう考え方ができるようになったんですよね。よりトータルでモノを見られるようになってんなぁって。そういう変化がありましたね。
山口:(笑)当時はイヤでしたねぇ。
辻本:叩かせろっていうね(笑)。若いときはやりたがりであえてテクってみたりとかありますからね。
山口:そういうところありますよねぇ。でもだんだん曲が主体になってって、俺が俺が的な発想がとれていくという。
花沢:個人的に喉を潰したこととか、ギターが抜けたときに作った「Hello」であったり、その時の自分が辛かったときとか、どうしようか悩んでたときとか、そういうときに奮起してた自分とか、そういうことが聴いていると思い浮かびますよね。それがあったから今の自分があるし。その時、メンバーは思い悩んだけど、そこで三人が一致団結をして、それまで以上になったし。ファンの人も三人になった僕らを温かく迎え入れてくれたこととか背中を押してくれたし。そういうことがすべて詰まって「Hello」ができたり。そんなことも含めて、11年の一つの節目に相応しい一枚になりましたよね。
花沢:そうですね。シカゴプードルを結成したきっかけは、良い音楽、良い曲を追求して、良いアルバム、良いCDを作りたいっていう前提があったので、そこはこれから先もブレないと思うんですよ。僕ら最初は4人ではじめて、1人抜けて3人になって、ぶつかりあいながらも進んで来た今っていうのは無駄じゃなかったし、出会って良かったと思う瞬間ですよね。音楽をやってなかったら出会えてない仲間なので。そう思えるのは、一人一人が成長してきたからこそやし、こうやってまたずっと音楽続けられるんやと思うんですよ。
辻本:こうやってまとめて聴くと、最近ライヴでやってないなぁって曲もあったりするので、年末のライヴでは、そういう曲もやれたらいいなぁと思いますね。そういう曲を、今のシカゴプードルが演奏したらどうなるのか、楽しみだし、聴いてもらいたい部分でもあります。
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