【連載】「城南海」のよみかたVol.6「上海で「アイツムギ」北京語ヴァージョン」
9月23日(木)から25日(土)まで、上海外国語大学 松江校区で行われた<上海ジャパンウィーク2011>。このイベントは、3月11日の東日本大震災から復興しつつある日本の姿を、支援を寄せてくださった方へ感謝の気持ちをこめて紹介していく、という趣旨で開催されました。着物や茶道、和太鼓といった日本の伝統的な文化の紹介からコスプレなど、現在若者に人気のトレンドの交流展など、内容は盛りだくさん。城南海は初日のオープニングセレモニー直後、J-POPアーティストのトップをきってコンサートを行いました。
◆<上海ジャパンウィーク2011>画像
2010年の上海万博、そして2011年3月に南京で行われたコンサート<心連心演唱会>に引き続き、中国での公演は3回目の城南海。今回のコンサートでは、「アイツムギ」の北京語ヴァージョンを歌う予定ということで、空き時間には念入りに確認しています。
「エの口をしてオと発音するなど、中国語には日本語にはない母音があるので、そこが難しいですね」と語る城南海。とくに自分が苦手とする発音が入っている単語には、一目でわかるように、紫のペンで丁寧にアンダーラインを入れています。さすが、勉強家! ちなみに「アイツムギ」を北京語に訳したのは、前回南京での「心連心演独会」の発起人である上海出身の歌手amin。彼女に仮歌を歌ってもらい、その音を何度も聴いて覚えていったそうです。
9月23日、天気にも恵まれた本番当日。会場となったのは、広大な上海外国語大学の構内にある、教育会堂。この日は大学生を中心とした1300人のオーディエンスが集まり、開演を待ちます。今回のライヴは城南海と同じ大学生が多く参加していて、客席は若者の熱気であふれていました。
城南海は、新曲「兆し」のブルーの衣装でステージに登場。1曲目は「アイツムギ」(北京語Ver.)。中国語での歌のスタートに、オーディエンスも大喜び。「南京公演のときは、途中で頭が真っ白になってしまったんです」と事前に心配していた歌詞も、みごとに歌い上げていきます。ライヴ終了後、上海の雑誌社から取材を受けた際も、「発音がびっくりするくらい、きれいでしたよ!」と記者とカメラマンの方から絶賛されていました。曲のクライマックスでは、彼女の歌声に合わせて自然に手拍子がわき起こる場面もあり、最初から上海の観客の心をガッチリとつかんだよう。
MCでは、司会者が城南海の日本語を中国語に訳しながら、ユーモアを交え進行していきます。2曲目のACジャパン国境なき医師団支援キャンペーンCMソング「ずっとずっと」に続き、奄美のシマ唄「国直よね姉節」へ。「この曲では途中、<あらどっこい どっこい>という掛け声を、皆さんに入れてもらいたいんです。じゃあ、ちょっと練習してみましょう!」と、オーディエンスを巻き込む城南海。キーボードの佐藤ひろのすけさんにお願いしたチヂン(奄美の太鼓)のリズムに合わせ、城南海は奄美三味線を弾きながら唄い、会場を盛り上げます。
4曲目、徳之島のシマ唄「ワイド節」の説明では、「この曲は闘牛の唄なんです。闘牛、牛、分かります?」と日本語を説明するために、思わず角を立てるポーズをとるなど、いつもどおり、城南海のお茶目な部分が炸裂(笑)。「一緒に踊りましょう!」ということで、「ワイド! ワイド!」と城南海の威勢の良い掛け声に合わせ、オーディエンスも立って、見よう見まねで踊ります。初めての経験にも関わらず、積極的に動きまわる客席の人々。それに対して、城南海の声にも一層熱が入るのを感じました。
「「虹色輪舞曲」は明るい曲なので、一緒に手拍子をしてください」と前置きをして、軽快な音に合わせ、歌いながらステージを右に左にとめいっぱいに動く城南海。キーボード佐藤との掛け合いで、オーディエンスを魅了します。客席からは「最高!」「大好きー!」と日本語での熱い声援も贈られて、城さんも「私も大好きー!」と笑顔全開で応えていました。また、司会者の方から上海語で「みんな大好き!」を意味する言葉を教えてもらうと、会場に向かって何度も連呼。「中国に初めて来たときは、まったく中国語を話せなかったんですよ。それが残念だったので、少しでも覚えよう、と思って」と語っていましたが、ステージの上でもどんどん言葉を吸収していきます。
6曲目はNHKみんなのうた「あさなゆうな」、そしてNHKのドラマ「八日目の蝉」の主題歌「童神~私の宝物~」。「童神~私の宝物~」は事前に曲を知っている人も多いようで、イントロの段階から歓声が起こりました。最後は、東日本大震災に襲われた日本に対し、温かい支援を寄せてくれた中国の方への感謝の思いを込めて贈る、新曲「兆し」。未曾有の災害により、大きく傷ついてしまったけれど、それでも日本は今、復興に向けて踏み出している。彼女の歌声には、しなやかで凛とした強さが宿っていて、「日本は必ず再び立ち上がる」という決意が込められているようでした。
ここでライヴは終了、と思いきや、オーディエンスからの声援が鳴りやみません。「アンコール!」、「「白い月」!」と、具体的な曲名を上げてのアンコールの声もかかり、城南海も「わあ! 良くご存じですね! あ、「白い月」というのも、私の曲なんですよ」と中国のオーディエンスの知識に目を丸くしていました。
サプライズとして、「草原情歌」を披露。実はこの曲は、3月に南京の「心連心演独会」で歌った時、聴いて下さった、在上海日本国総領事の泉総領事からリクエストを頂いたもの。その時と同じ様に中国のお客さまに喜んで頂けたらと心を込めて歌いました。そんな彼女の思いが届いたようで、客席からは自然にウワーッと声が上がり、温かい拍手が会場を包みました。
「また来てね!」というオーディエンスの声に、大きくうなずく城南海。日本での公演と同じく、豊かな歌声を存分に披露した彼女ですが、今回は中国の同世代の人たちのエネルギーを直接受けて、さらにパワフルだったように感じました。「中国のほかの地域でも、ぜひ歌いたいです」と語るように、城南海の海外での活動からも目が離せません。
「兆し」
2011年9月7日(水)発売
PCCA-03462 ¥1,200[tax in]
1.兆し(きざし)
2.ずっとずっと[ACジャパン「国境なき医師団」支援キャンペーンCMソング]
3.十六夜(いざよい)[舞台「秘祭(ひさい)」(原作/石原慎太郎 主演/川島なお美)主題歌]
4.兆し(カラオケ)
5.ずっとずっと(カラオケ)
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