【連載】Vinyl Forest vol.9 ── V.A 「Magic Wand Vol.2」
今回は、CoyoteのIs It Balearic?のエディットレーベルとして始動していたMagic Wandが第2弾をリリースしたので早速ご紹介したい。
シリーズ前作「Magic Wand Vol.1」は、Black Sabbathの「Planet Caravan」やRandy Crawfordの「You Might Need Somebody」、そしてPaul Hardcastleの「Dolores」をエディットして収録。結果、Magic Wandは、セレクトとエディットセンスが光るレーベルという印象を我々に与えた。
そして今回の「Vol.2」。注目は、まずA1のSoft Rockによる「Look East」だ。このトラックは聴き覚えがある方が多いのではないだろうか? 今回のCoyoteによるリミックスは原曲をほぼ活かした状態で、ベースを強くし、少しアップテンポに仕上げている印象だ。また、ヴォコーダーを絡ませたパーカッシブなトラックがこの独特で呪術的な雰囲気を演出している。総じてフロア映えしそうなエレクトリック・ディスコ・チューンとなっており、Cosmic系が好きな方にはツボではないかと思う。
続いてはA2の「Ossum Boogie」。これも聴いた瞬間にわかるだろう、Pied Piperだ。笛の音色がしっくりきてしまうのがなんとも不思議。こういったトラックをDJの際に巧くかけられると、もう上級者といえるだろう。
B1のLoosefit vs Peter Vistiによる「Mrs. Robinson」はもうそのまま。世界中のアーティストがカヴァーしまくったSimon And Garfunkelのあのトラック。最後の最後まで引っ張って、例のフレーズがドロップされる。このトラックも原曲のアコースティックサウンドをループさせてエディットしている。
そしてB2のHorny MutantはLinkwoodも好きそうな波止場系サウンド(笑)。元ネタはジャズ系のトラックが好きな方はご存知のT.Power vs MK-Ultraの「Mutant Jazzd」だ。これも原曲をループしてロングエディット。これはスキット的な使い方をしてもいいかもしれない。
全編にわたり、このようなクラシックトラックをクラブ仕様のトラックへ変えてしまう絶妙なエディットセンス。これははCoyoteならではだ。
バレアリックサウンドが代名詞のCoyote。しかしながら、今回収録されているようなドープなエディットセンスにも注目していただきたい。そして次の「Vol.3」で、Coyoteはどんなトラックを料理してくれるのか。楽しみに待つとしよう。
text by Blue Eclair
◆Blue Eclairs Room
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
シリーズ前作「Magic Wand Vol.1」は、Black Sabbathの「Planet Caravan」やRandy Crawfordの「You Might Need Somebody」、そしてPaul Hardcastleの「Dolores」をエディットして収録。結果、Magic Wandは、セレクトとエディットセンスが光るレーベルという印象を我々に与えた。
そして今回の「Vol.2」。注目は、まずA1のSoft Rockによる「Look East」だ。このトラックは聴き覚えがある方が多いのではないだろうか? 今回のCoyoteによるリミックスは原曲をほぼ活かした状態で、ベースを強くし、少しアップテンポに仕上げている印象だ。また、ヴォコーダーを絡ませたパーカッシブなトラックがこの独特で呪術的な雰囲気を演出している。総じてフロア映えしそうなエレクトリック・ディスコ・チューンとなっており、Cosmic系が好きな方にはツボではないかと思う。
続いてはA2の「Ossum Boogie」。これも聴いた瞬間にわかるだろう、Pied Piperだ。笛の音色がしっくりきてしまうのがなんとも不思議。こういったトラックをDJの際に巧くかけられると、もう上級者といえるだろう。
B1のLoosefit vs Peter Vistiによる「Mrs. Robinson」はもうそのまま。世界中のアーティストがカヴァーしまくったSimon And Garfunkelのあのトラック。最後の最後まで引っ張って、例のフレーズがドロップされる。このトラックも原曲のアコースティックサウンドをループさせてエディットしている。
そしてB2のHorny MutantはLinkwoodも好きそうな波止場系サウンド(笑)。元ネタはジャズ系のトラックが好きな方はご存知のT.Power vs MK-Ultraの「Mutant Jazzd」だ。これも原曲をループしてロングエディット。これはスキット的な使い方をしてもいいかもしれない。
全編にわたり、このようなクラシックトラックをクラブ仕様のトラックへ変えてしまう絶妙なエディットセンス。これははCoyoteならではだ。
バレアリックサウンドが代名詞のCoyote。しかしながら、今回収録されているようなドープなエディットセンスにも注目していただきたい。そして次の「Vol.3」で、Coyoteはどんなトラックを料理してくれるのか。楽しみに待つとしよう。
text by Blue Eclair
◆Blue Eclairs Room
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
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