フラワーカンパニーズ、結成21年目にしてフラカンの最高傑作『チェスト! チェスト! チェスト!』特集

ポスト

フラワーカンパニーズ

『チェスト! チェスト! チェスト!』

INTERVIEW

──「感情七号線」のプロデュースは亀田誠司さん、他の曲でも大森はじめさん(東京スカパラダイスオーケストラ)を始めとするゲスト・プレイヤーをたくさん迎えて、音色がかなり豊かなアルバムになりましたね。

鈴木圭介:2008年にリリースした『たましいによろしく』っていうアルバムは、制作は自分たちだけでやっていたアルバムで。エンジニアさんはもちろんいるんですけど、それ以外は全部自分たちでやったんですね。音数の面でも、4人以外の音は入れずに自分らだけでやるっていうのが、あそこでひとつピークを迎えたというか。だから、今回はその“4人だけ”にこだわらなくてもいいんじゃないかっていう……。それはたぶん、自信がついたんだと思うんですけどね。他のいろんな人とやらせてもらっても、いろんな上ものが入っても、この4人が崩れることはないなっていうのが分かったので。

グレートマエカワ:そう。この曲は4人だけでやるのがカッコいいと思えば、そうする。反対に、この曲はパーカッションが欲しいなとか、鍵盤が欲しいなとか、だったらそれはもう……。

鈴木:迷いなく入れちゃおう、と!

マエカワ:あと、今回はやっぱり、気合いがね! ここらで本当に最高傑作を作らなきゃダメだなって話を、メンバーともスタッフともしてて……。よくあるじゃないですか、“ロック名盤100”みたいなの。今なら、ああいうのに載るものを本当に突き詰めて作れんじゃないかっていうのもあったし。

鈴木:100枚と言わず、50枚ぐらいの中には入りたいね(笑)。

──じゃあ話は、“フラカン的ロック名盤”とは何ぞや、みたいなところからですね。今のフラカンにとっての“ロック”ってどんなものだと思いますか?

鈴木:それは、アレですよね……。今回のアルバムで言うと、まず曲調はものすごくバラエティーに富んでる。今回、新しいリズムとか結構入れたりしてて……。サンバ系を取り入れたのは、自分らの中では初めてだし。

──「ラララで続け」ですね。ラテン系のお祭り騒ぎ曲といいますか(笑)。

鈴木:その曲を含めて、例えば、ギターがガーンと入ってなきゃいけないみたいな束縛はなくなってきてて。で、この曲もそうですけど、歌とか曲がいい方向に行くならばどんな音を使っても自分ららしが出せるっていう自信がついてるので……。俺、これ、みんなの前で言ったんだ。“次のアルバムは、『ロンドン・コーリング』作るから!”って(笑)。

マエカワ:言ってたねー! “『ロンドン・コーリング』みたいなアルバムを作ろう”って。

鈴木:『ロンドン・コーリング』から音が変わっていきましたよね、クラッシュも。あらためて振り返っても、やっぱりあのアルバムは断トツでバラエティーに富んでて1曲1曲が良い! ギターがガーンと鳴ってなくても良いロックアルバムっていうのはこういうものなんだなって、大人になってやっとわかったっていうかね。

──レゲエを取り入れてみたりとか、クラッシュもたしかにスタイルにこだわらないで良い曲を表現しているバンドだったと思います。

マエカワ:そうですね。フラカンのイメージっていうとたぶん、ライヴでドーンとやるイメージだったり。あと、染みる曲があるとか、聴く人によって全然違うかもしれないですけど、いろんな面が自分らではあると思ってるし。その良いところを1枚にまとめられれば、と。

──たしかに、今までの作品とはちょっと違う色々な面が出てますね。それこそ、これクラッシュっぽいなって感じるものとか……。例えば、「切符」のスカッぽい感じ。

マエカワ:あぁーっ! あれはクラッシュっぽいですね(笑)。“ロックバンドがやるスカッぽいような……”って、誰かにも言われた。

鈴木:そうそうそうそう。クラッシュがやるレゲエを、サビをスレイドにして、真ん中にトイ・ドールズを挟んでみたいな(笑)。

──(笑)その例え、若い人には絶対にわからないでしょうけど……。でも、ライヴはすっごく盛り上がりそうですよね。あと、ライヴで盛り上がりそうといえばやっぱり「ラララで続け」。サンバ系っていう、ロックバンドではある意味ありえないアプローチ(笑)。

鈴木:(笑)僕、サンバがすっごい好きなんですよ。もう、ここ10年ぐらいかな? サンバばっかりですよ、ウチでかかってる音楽は(笑)。でも、サンバって、歌詞の内容がすごい哀しかったりするんですよね。貧乏人が1年に1回カーニバルではっちゃけるっていうのが、サンバなんで……。だから、ブルースみたいなもんですよね、ブラジルの。

⇒インタヴューの続きを読む

この記事をポスト

この記事の関連情報