マーク・ロンソン、これぞ“ポップ・コンサートのお手本”

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マーク・ロンソンが、ニュー・アルバム『Record Collection』のリリースにあわせ、UKツアーを行なった。ロンドンでは、イースト・エンドにあるシアター、ハックニー・エンパイア(約2,000人収容)でプレイ。新作のプレビュー的意味合いをもつショウだったので、大規模になり過ぎずこのクラスの会場で見られたのはラッキーだった。

◆マーク・ロンソン・ライブ画像

ロンソンとバンドThe Business Intl(女子はのぞく)は、おそろいのスリム・スーツで颯爽と登場。キーボード4台を使ったインストゥルメンタル・トラック「Circuit Breaker」でロンソン流粋な80'Sスタイル・ショウをスタートした。

The Business Intl.にはLAのバンドPhantom Planetのフロントマン、アレックス・グリーンワルドや元ザ・ピペッツのローズ・ドゥーガル、NYのエレクトロニック・デュオMNDRのアマンダ・ワーナーらが参加。また、Spank Rockがところどころで登場し、軽快なラップで曲に彩りを加えた。

ショウ前半は、グリーンワルド、ドゥーガル、Spank Rockが順にヴォーカルを取り、新作『Record Collection』だけでなく、1st『Here Comes The Fuzz』や爆発的なヒットを誇った前作『Version』のトラックをパフォーマンス。

その後も新作からの1stシングル「Bang Bang Bang」やザ・スミスをR&B風にカヴァーし賛否両論を巻き起こしたものの、結果的には大ヒットした「Stop Me」がプレイされ、会場は大いに盛り上った。キャッチーでアップビートなサウンド、見るものをハイにする、これぞ“ポップ・コンサートのお手本”のようなショウになった。

これだけでも十分満足だが、この後、デュラン・デュランのサイモン・ル・ボンとニック・ローズが登場し、オーディエンスはさらに大興奮。すでにお伝えしたとおり、ジョン・テイラーとロジャー・テイラーまでステージに上がり、デュラン・デュランの曲をパフォーマンスするといったボーナスもあった。

さらに、ゲストはこれだけに終わらず。なんと終盤ではボーイ・ジョージが登場、『Record Collection』でも参加している「Somebody To Love Me」をパフォーマンスした。歌声は健在だったが、バルーンのように膨らんだ身体と(本人にその気がないのは間違いないが)ピエロのような異様なメイクに、会場はデュラン・デュランのときとは違う盛り上がりを見せた。

そしてラストでは、The Viewのフロントマン、カイル・ファルコナーが出演し、ニュー・シングル「The Bike Song」とエイミー・ワインハウスが歌って大ヒットしたズートンズのカヴァー「Valerie」をパフォーマンス。オーディエンスとの大合唱でショウを終えた。

この夜のセットリストは以下の通り。( )内はフィーチャーされたヴォーカリスト/ゲスト・ミュージシャン。

「Circuit Breaker」
「Just」(アレックス・グリーンワルド)
「Lose It (In The End)」 (Spank Rock)
「Ooh Wee」(Spank Rock)
「Oh My God」 (ローズ・ドゥーガル)
「California」(グリーンワルド)
「The Night Last Night」(グリーンワルド&ドゥーガル)

DJセット by マーク・ロンソン

「Bump/Race Riot」(Spank Rock)
「Sparrow/Fade To Black」 (MNDR)
「Bang Bang Bang」(MNDR & Spank Rock)
「God Put A Smile」
「Hey Boy」(Spank Rock&ドゥーガル)
「You Gave Me Nothing」(グリーンワルド&ドゥーガル)
「Stop Me」(グリンワールド&ドゥーガル)
「Record Collection」(サイモン・ル・ボン&ニック・ローズ)
「Planet Earth」(デュラン・デュラン)
「Girls On Film」(デュラン・デュラン)

「Somebody To Love Me」(ボーイ・ジョージ&グリーンワルド)
「The Bike Song」(カイル・ファルコナー& Spank Rock)
「Valerie」(カイル・ファルコナー)

シンセを多用し、デュラン・デュランやボーイ・ジョージが登場したことで、80'Sを再現しようとしたギグおよびアルバムだと評するメディアもあるが、それはちょっと違う。ロンソンの新作『Record Collection』は、ただの懐古主義ではない。さらには巷にあふれる安っぽくギラギラしたポップとは一線を画する、粋でセンスがいい良質なポップ・アルバムに仕上がっている。「Stop Me」のへなちょこカヴァーのせいでロンソンにいい印象を持っていない人にも、ポップの真髄を極めたこのアルバムはお薦め。

Ako Suzuki, London
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