【連載】Vinyl Forest vol.5 ── Apiento&Co.「She Walks」
私、Dee-Sが自信をもってオススメするレーベルがある。Paul Murphy主宰の「Claremont 56」というインディ・レーベルだ。このレーベル、プレス枚数は多くても1タイトルにつき1000枚、少ないときは200枚という少ロットでリリースするため、一部タイトルはすでにプレミアが付いているという人気の高さだ。
このClaremont 56は、Balearic / Chill Out / Krautrock へのアプローチを試みており、単なるDJ Toolで
終わらせない音楽性の高さが硬派なリスナーを虜にしている。また、この男気溢れるClaremont 56傘下でスタートしたサブレーベルの「Leng」は、Claremont 56のブランドカラーであるBalearicを踏襲しながらもダンサブルな楽曲を次々セレクト。この辺のセンスのよさに、数あるレーベル運営者でもトップクラスともいえる主宰・Paul Murphyの鋭い選曲眼を感じさせる。
今回ご紹介するApiento&Co.「She Walks」は、2010年のトレンドとも言えるダンスミュージック黎明期から成長期にかけての音色が随所にちりばめられている。A面のOriginalは、思わず笑顔がこぼれるハッピーな曲調。80年代を彷彿とさせるシンセサウンド、90年代初期Houseでありがちなわかりやすいピアノの旋律、そして小気味よいパーカッションと、ダサい一歩手前でギリギリ踏みとどまる白々しさはご愛嬌。ダンスフロアにセクシーな雰囲気を演出するのに最適な楽曲だ。
一方のB面はPete Herbertによるremixで、コチラはOriginalよりも若干シリアスに展開していく。ピアノの旋律は一緒なのに、シンセのラインとドラムを変えるだけで雰囲気は一変、Originalを“陽のハッピー”とたとえるならば、Pete Herbertのremixは“陰のハッピー”と言えば伝わりやすいかもしれない。
このように同じ曲でもシーンによって使い分けができる作品は、DJ目線で見た場合、とても重宝する逸品である事は間違いない。特にロングセットを得意とするDJならば、この楽曲はA面とB面で使用するタイミングがまったく違う。
では、一体どのタイミングでプレイするべきなのか? 腕のいいDJの皆様なら、すぐに答えはわかるはずだ。
text by Dee-S
◆drumatrixx mag
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
このClaremont 56は、Balearic / Chill Out / Krautrock へのアプローチを試みており、単なるDJ Toolで
終わらせない音楽性の高さが硬派なリスナーを虜にしている。また、この男気溢れるClaremont 56傘下でスタートしたサブレーベルの「Leng」は、Claremont 56のブランドカラーであるBalearicを踏襲しながらもダンサブルな楽曲を次々セレクト。この辺のセンスのよさに、数あるレーベル運営者でもトップクラスともいえる主宰・Paul Murphyの鋭い選曲眼を感じさせる。
今回ご紹介するApiento&Co.「She Walks」は、2010年のトレンドとも言えるダンスミュージック黎明期から成長期にかけての音色が随所にちりばめられている。A面のOriginalは、思わず笑顔がこぼれるハッピーな曲調。80年代を彷彿とさせるシンセサウンド、90年代初期Houseでありがちなわかりやすいピアノの旋律、そして小気味よいパーカッションと、ダサい一歩手前でギリギリ踏みとどまる白々しさはご愛嬌。ダンスフロアにセクシーな雰囲気を演出するのに最適な楽曲だ。
一方のB面はPete Herbertによるremixで、コチラはOriginalよりも若干シリアスに展開していく。ピアノの旋律は一緒なのに、シンセのラインとドラムを変えるだけで雰囲気は一変、Originalを“陽のハッピー”とたとえるならば、Pete Herbertのremixは“陰のハッピー”と言えば伝わりやすいかもしれない。
このように同じ曲でもシーンによって使い分けができる作品は、DJ目線で見た場合、とても重宝する逸品である事は間違いない。特にロングセットを得意とするDJならば、この楽曲はA面とB面で使用するタイミングがまったく違う。
では、一体どのタイミングでプレイするべきなのか? 腕のいいDJの皆様なら、すぐに答えはわかるはずだ。
text by Dee-S
◆drumatrixx mag
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
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