インターネット・メディアはお金になるのか?

ポスト
インターネット・メディアはお金になるのか?

現在多くのメディア関連企業がこの問題に直面しているが、この数週間、新たな可能性への希望が出てきた。

インターネット・メディアは過去10年の間、常にコンテンツの著作権侵害問題と隣り合わせだった。この問題は1999年6月、最初の著作権を無視したファイル交換サイトだったナップスター(Napster)の発足と同時に勃発した。

当時、音楽業界はまだインターネットについて充分に理解できていないまま、このナップスターをはじめグロクスター(Grokster)やカザー(Kazaa)といったファイル共有・交換サイトを相手に訴訟を起こし、裁判で数年かけてなんとかサイト閉鎖にこぎ付けたが、さらに便利になった同じようなサイトが次々と現れるという不意打ちをくらったのだった。仕方が無く、こういったサイトに代案を提案し、何とかビジネスとして確立しようとしたが、限られたコンテンツしか提供しなかったり、かなり利用しにくいインターフェイスで、使い勝手が悪かったためにユーザーが増えず、幅広く一般にまで広まらなかった。

しばらくすると、今度はテレビや映画業界のコンテンツ・ホルダー達が、自分達がかつての音楽業界と同じ立場に立たされた事に気がついた。

2001年にサービスを開始したアップル社のアイチューンズ・ストア(iTunes Store)が膨大な量のコンテンツを集め始め、独自のシステムアイチューンズ(iTunes)を使用する事で誰にでも簡単な操作で使いこなせるようにし、配信ビジネスは大成功を収めた。

米国アイチューンズは今や北米の音楽配信マーケットで26%占め、シェア・ナンバーワンとなった。北米以外の23カ国でもマーケットリーダーとなっている。しかし一部のコンテンツ・ホルダーは音楽業界へ新参者であるアップル社での配信サービスにまだ抵抗があるらしく、頑なな態度を崩していない。

アイチューンズ・ストアがテレビ番組の配信を開始し、順調に売上げを伸ばしていくと、コンテンツホルダーたちは、競合ライバルである動画サイト、フル(Hulu)に抵抗を始めた。コンテンツ・ホルダー達はこれまでの番組を無料で放送し、広告枠を設けてその枠を販売する事業形態では以前のような収益を上げる事が困難で、コンテンツを直接販売した方がお金なると判断したからだ。

現在ではマイスペース(Myspace)やツイッター(Twitter)、フェイスブック(Facebook)など多くの有名巨大ウェブサイトが自らのサイトを使って利益を生み出そうと試行錯誤している。無料コンテンツが多数占めているインターネットにおいて、ユーザーが今まで無料で手に入れていたものに対し、お金を払うかどうかは大きな課題である。

そんな中、一部はあるが、有料化への動きも出てきている。ニューヨークで発行される国際的な影響力を持つ日刊新聞『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙がプレミアム・コンテンツと呼ばれる有料課金システムを導入、日本でも昨年より有料オンラインサービスを始めた。日本に限らずアメリカでも当初、新聞社などメディアサイトは無料購読が主流で、お金を払ってまで購読するような人は果たしているのか?同じような危機に直面している同業者の読者しかいないのでないかと有料化はリスクが高すぎるという意見が大半であったが、同紙は有料コンテンツ限定の読み応えのある質の高い記事を提供し続けているため、人々は有料に充分納得し、今ではこぞって購読している。

2007年にスタートしたアマゾン社の電子ブックリーダーデバイス・ソフトウェアおよびサービスであるキンドル(Kindle)は、簡単に操作できるインターフェイスで大成功を収め、本のネット上の違法流失は減少していった。一方アイチューンズ・ストアでは既存のメディアの販売数に影響を与えたものの、新たな顧客を開拓し、需要を伸ばす事ができた。

一部の人々はこの有料配信をケーブルテレビに続くビジネスモデルと考え、誤った情報や、ウィルス感染やスパムの脅威を含んだ違法ファイルを利用するよりも毎月ある程度の金額を支払うのは妥当であると判断したのだろうか、この度、Huluがテレビ番組の定期購読サービスを開始すると発表した。これはユーザーが自分のテレビや携帯電話、ゲーム機器でテレビ番組を鑑賞できるというものだ。

NTTドコモも2011年3月までに電子書籍の配信に本格参入すると発表、ジュピターテレコム(J:COM)はオンデマンド型チャンネル「WARNER TV」を開始するという。従来は作品ごとに課金されていたのに対し、月額料金のみで作品を視聴できることが特長だ。

検索サイト大手のグーグル(Google)や画像配信サイト、ユーチューブ、マイ・スペース、フェイス・ブックはそれぞれ独自の有料コンテンツサイトを計画しているという。いずれも月額利用料はかつての放送媒体よりも安価な設定になるだろうが、インターネットでは、物理的な制作・製造費や輸送費など必要経費や中間経費が必要ないため、一概に比較するのは難しい。

多くの人々が良い作品を、適正な価格で、簡単に、しかも煩わしいウィルス感染などの心配もなく、本を読んだり、映画やテレビ番組、アニメ作品を見たり、音楽を楽しむ事ができるのであれば利用者も販売者もハッピーになれるだろう。

Hotwire
この記事をポスト

この記事の関連情報