[クロスビート編集部員リレー・コラム] 副編集長播磨編「ディーコン・ブルー」
現在発売中のクロスビート1月号に掲載されている「私のオールタイム・ベスト・アルバム」を選ぶ中で、やっぱ最高!と思ったものの、入れられなかった一枚をご紹介。
活動当時は英国の国民的バンドだったディーコン・ブルー。グラスゴー出身の6人組で、心の琴線を揺らしまくるグッド・メロディと、文学的ながら生活に即した歌詞が大きな魅力だ(彼らはスプリングスティーンを大きな影響源として挙げている)。ヴォーカルはちょっとハスキーで力強く、同時に繊細さも湛える。派手さもヒネリもないがツボを押さえた的確な演奏に、プリファブ・スプラウトと同じく女性コーラスが鮮やかなアクセント。
1987年のデビュー作「レインタウン」は雨の多い地元の街の写真がカヴァーで、そこでの暮らしと人間模様が歌われている。同じグラスゴー出身のプライマル・スクリームのボビー・ギレスピーは、工場での仕事に嫌気が差してバンドを始めた。一方ここでは工場や役所で働いているような市井の人々が歌われており、プライマルとはある意味正反対と言えるが、これもまた素晴らしい音楽だ。
サウンドは憂いと湿り気を湛えつつスケールの大きなもので、温かい人間味に溢れてポジティヴィティも滲み出る。聴いていると切なくなると同時に胸がグッと熱くなる。公式HPで観られるライヴ映像でのオーディエンスの大合唱は、鳥肌モノで必見。
94年に解散、99年に再結成してライヴを中心に活動を続けているが(去年のツアーでは各地のアリーナでプレイするなど人気は健在の様子)、そろそろガツンと来る新作を出して欲しい。
追記:イギリスから取り寄せていたライヴDVD「Deacon Blue Live」(2007年のツアーを収録)がやっと届いた。早速観たけど、最高!
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