偉大なる存在、マイケル・ジャクソン
故マイケル・ジャクソンのロンドン公演のリハーサル模様を収めたドキュメンタリー映画『This Is It』が水曜日(10月28日)、世界同時公開された。
◆映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』抜き映像1
◆映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』抜き映像2
映画はリハーサルを中心に、ダンサーのオーディションから関係者のインタヴュー、コンサートで流れるはずだったビデオやその撮影風景、そして舞台裏のフッテージまでを網羅しており、亡くなる直前のマイケルの姿やそのパフォーマンス、ステージ裏での彼の素顔、幻となったコンサートの概観などさまざまな見所がある。
まず最初に感銘を受けるのは、往年と変わらないマイケルのダンスだろう。もちろん何回にも渡り撮影された映像の中から厳選した部分を使用しているのだろうが、それでも、若いバック・ダンサー達と同じように踊り、リードしていく彼の動きはスムーズでキレがあり、80年代から少しも衰えていないように見えた。復帰コンサートにありがちな、ダンスは他人任せで本人の動きは鈍いなんてことになるのでは…と想像していたが、それは間違いだった。もし公演が実現していたら、「Thriller」や「Beat It」「Billie Jean」のPVそのままのマイケルのダンスを目にできただろう。
そして何より印象的なのは、マイケルのアーティストとしての真髄。彼と仕事をした人たちの多くが彼を「プロ意識の強い人、自分のやりたいことがわかっていた人」と評するが、実際にその通りだった。ケニー・オルテガという優秀な監督がいながらも、彼に任せ切りにするのではなく、サウンドをはじめビデオ撮影やダンサーの動きまでプロダクション全体に深く関わっていたようだ。これだけ大きなショウになるとスタッフも一流の人たちがそろっているはずだから、映画にたとえるなら“主演俳優”でさえいればいいところ、彼の場合“主演かつ監督”をこなしている。
さらに、TVや雑誌などのメディアを通じてはわからないマイケルの素顔をかいま見ることができる。ときとして厳しく、ときとしてユーモラスにスタッフとコミュニケーションをとる彼。マイケルと目を合わせてはいけないとの掟があったなどとも噂されたが、映像を見る限り、現場には一体感がありアットホームな空気が流れていたようだ。
それにしても、この夏ロンドンで予定されていた50公演にはとてつもないものが用意されていた。実現していたら、マイケルが望んでいた通り前代未聞のショウとなっていただろう。それを見れなかったこと、そして何より偉大なアーティストを失ってしまったことをあらためて残念に思う。
一部のファンが映画のボイコットを呼びかけているようだが、それはマイケルに対して失礼だ。彼がやりたかったこと、それを実現するためにベストを尽くす姿。へたな伝記を読むより、こちらを見たほうがよっぽどアーティストとしてのマイケルを理解/リスペクトできる。
Ako Suzuki, London
◆映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』抜き映像1
◆映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』抜き映像2
映画はリハーサルを中心に、ダンサーのオーディションから関係者のインタヴュー、コンサートで流れるはずだったビデオやその撮影風景、そして舞台裏のフッテージまでを網羅しており、亡くなる直前のマイケルの姿やそのパフォーマンス、ステージ裏での彼の素顔、幻となったコンサートの概観などさまざまな見所がある。
まず最初に感銘を受けるのは、往年と変わらないマイケルのダンスだろう。もちろん何回にも渡り撮影された映像の中から厳選した部分を使用しているのだろうが、それでも、若いバック・ダンサー達と同じように踊り、リードしていく彼の動きはスムーズでキレがあり、80年代から少しも衰えていないように見えた。復帰コンサートにありがちな、ダンスは他人任せで本人の動きは鈍いなんてことになるのでは…と想像していたが、それは間違いだった。もし公演が実現していたら、「Thriller」や「Beat It」「Billie Jean」のPVそのままのマイケルのダンスを目にできただろう。
そして何より印象的なのは、マイケルのアーティストとしての真髄。彼と仕事をした人たちの多くが彼を「プロ意識の強い人、自分のやりたいことがわかっていた人」と評するが、実際にその通りだった。ケニー・オルテガという優秀な監督がいながらも、彼に任せ切りにするのではなく、サウンドをはじめビデオ撮影やダンサーの動きまでプロダクション全体に深く関わっていたようだ。これだけ大きなショウになるとスタッフも一流の人たちがそろっているはずだから、映画にたとえるなら“主演俳優”でさえいればいいところ、彼の場合“主演かつ監督”をこなしている。
さらに、TVや雑誌などのメディアを通じてはわからないマイケルの素顔をかいま見ることができる。ときとして厳しく、ときとしてユーモラスにスタッフとコミュニケーションをとる彼。マイケルと目を合わせてはいけないとの掟があったなどとも噂されたが、映像を見る限り、現場には一体感がありアットホームな空気が流れていたようだ。
それにしても、この夏ロンドンで予定されていた50公演にはとてつもないものが用意されていた。実現していたら、マイケルが望んでいた通り前代未聞のショウとなっていただろう。それを見れなかったこと、そして何より偉大なアーティストを失ってしまったことをあらためて残念に思う。
一部のファンが映画のボイコットを呼びかけているようだが、それはマイケルに対して失礼だ。彼がやりたかったこと、それを実現するためにベストを尽くす姿。へたな伝記を読むより、こちらを見たほうがよっぽどアーティストとしてのマイケルを理解/リスペクトできる。
Ako Suzuki, London
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