幕張を揺らした<JACK IN THE BOX 2009 SUMMER>速報

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これまで毎年12月に日本武道館で行なわれてきた、MARVERICK DC GROUPの忘年会的イベント<JACK IN THE BOX>が、何と夏フェスシーズンに殴り込み!会場は、数々のロックフェスが行われている幕張メッセ。さぁ、<JACK IN THE BOX>は、この日本でも着々と刻まれてきた夏フェスの歴史に、どのような1ページを残すのか?

トップバッターを飾ったのは、MARVERICKのなかでもとびっきりフレッシュでポップな4人組、ゾロ。龍寺(Vo)が決め台詞「あなたの命、頂戴します!」と叫ぶと、「PINK」がスタート。続く「パノラマHOP」では、龍寺は花道を突き進み、タイゾ(G)とたつひ(B)も、ステージを右に左に走り回る。普段よりかなり大きな会場にも関わらず、四人一丸となって果敢に攻撃する姿勢は天晴れ。そして龍寺が「ついにはじまりましたね。夏フェスですよ!」と高らかに宣言すると、伸びやかな「閃光」へ。さらに激しい「warp」、ハンド・クラップを起こした「COSMO「S」フューチャー」と畳み掛けてフィニッシュ。龍寺のキラッキラの衣装が象徴してるみたいに眩しいステージだった。

◆<JACK IN THE BOX 2009 SUMMER>~写真編~

続いてはMARVERICKきってのやんちゃな暴れん坊、ギルガメッシュ。左迅(Vo)の「幕張ー!」という鋼鉄の咆哮から「Break Down」へ。弐(G)と愁(B)は向き合って笑顔を見せ、プレッシャーなど微塵もなく楽しんでいることが伝わってくる。さらにЯyo(Dr)がスティックでハンド・クラップを煽った「アングリージュース」から、剛柔自在な「BORDER」、儚いメロディとヘヴィネスが調和した「睡蓮」と、次々に畳み掛けていく。MCでは「こう見えて4人全員千葉県在住なんですよ。ようやく<JACK IN THE BOX>千葉に来たかと」と、嬉しそうな左迅。そこからは、「CRAZY-FLAG」でコブシと歓声を巻き起こし、「evolution」でフロント3人が花道に飛び出してシンガロングを響かせ、嵐のようにステージを去っていった。

ネクスト・アクトは2009年狂喜の復活を果たしたcali≠gari。桜井青(G)の「じゃあみなさん、やるわよ~」の一声から、「エロトピア」がスタート。早くもアリーナ後方までハンド・クラップが巻き起こる。なのに石井秀仁(Vo)は「今日はあんまり人気ねぇな!」と叫び、容赦なくリリースされたばかりのシングルから「―踏―」、「スクールゾーン」と立て続けにプレイし、“今”を見せ付ける。そこからは、コール&レスポンスも決まった「マグロ」、桜井のモンキーダンスが炸裂した「混沌の猿」、赤い照明に埋め尽くされた「サイレン」…と、シーンを切り開いた立役者の存在感を轟かせた。今日、この後もたくさん飛びだす“伝説”の皮切りとなったライヴだった。

ここで<JACK IN THE BOX>に皆勤賞を果たしているムックが登場。SEと共に待ちきれないとばかりにハンド・クラップが沸き上がる中、メンバーが一人一人登場。そして逹瑯(Vo)が、「Are you ready,mother fucker!」と叫ぶと、特効が炸裂し「咆哮」へ突入。花道にミヤ(G)が、ステージ上手にYUKKE(B)が走り、SATOち(Dr)も立ち上がって叩く。しょっぱなから猛攻だ。追い打ちをかけるように「どんどん盛り上がっていこう」という逹瑯の言葉から「アゲハ」へ。熱演に呼応するように、フロアに手が翳される。会場中にジャンプが起こった「ファズ」、さらに「俺、最後暴れたい」という逹瑯の願望通り、「蘭鋳」では暴徒が続出。恒例の、全員が座って弾けた光景も圧巻。完全に会場を乗っ取ったパフォーマンスだった。

続いては、こちらも復活を果たし、今や現役バリバリの筋肉少女帯。1曲目からいきなり「踊るダメ人間」! 明らかに若いオーディエンスがフリを知ってるあたりに、筋少の偉大さを痛感する。その様子にオーケンは「こりゃあフジロックより凄いかもしれない!」と、フェス行脚している彼ららしい、嬉しいコメント。どこのフェスでもアウェイであることを嘆きつつも、しっかりお馴染み「問うならば!」のコール&レスポンスを決めて、これまたキラー・チューン「日本印度化計画」へ雪崩れ込む。誰もがハンド・クラップした「人間嫌いの歌」、デビュー・アルバムの1曲目だった「モーレツ ア太郎」と続き、最後は待ってましたの「釈迦」で大団円となった。

次に登場するのは、中盤に差し掛かってきて少々お疲れの心身にグッサリ刺激を与えてくれる存在…そう、acid android。ぶつんとBGMが途切れると、既にステージにスタンバイしていたメンバーがおもむろに「enmity」を奏ではじめる。瞬時に幕張メッセを食いつくすへヴィな音塊。そしてyasuo(サポートDr)が振り被ってドラムを叩きだすと「egotistic ideal」へ。歌い終えるとyukihiroはガツンとマイクを床に投げ付ける。まだ太陽が出ている時間とは思えない、ヴァイオレントな空気が加速していく。さらに、イントロからオーディエンスによるハンドク・ラップが起こった「daze」、猛々しいコーラスが轟いた「ring the noise」と畳み掛けていき、最後は「let's dance」。狂熱を残してあっという間に去って行った。

「フゥ~!」という、艶やかな煽りから幕を開けたのは、清春のライヴ。1曲目は「petty」。グラマラスなヘアメイクを施して、中村佳嗣(G)、三代堅(G)、窪田圭祐(B)、MASUO(Dr)といった、ジャンルを超えた強力なバンドメンバーをバックに歌い上げていくその存在感といったら! まさにグルーヴィな「GROOVER」、ギターを置いて花道まで歌い出てきた「DARLENE」、フロアを覗きこむ仕草を見せた「ALIEN MASKED CREATURE」…言葉こそないが、パフォーマンスそのものでオーディエンスを巻き込んでいこうとしている場面が数多く見られた。「COME HOME」では花道で「カモーン!」と思いっきり煽ると、最後は何とSADSの「SANDY」でフィニッシュ。そんなサプライズも含めて何とも粋な時間だった。

ネクスト・アクトには何やら見慣れぬバンド名が…その名も、カラス。ヴォーカルに逹瑯(ムック)、ギターにヒロト(Alice Nine)、さらにもう一人のギターに美月(Sadie)、ベースにはdunch(jealkb)、ドラムにはケンゾ(彩冷える)。しかも“今回は”この顔ぶれとのこと。一体何者なのか? そしてはじまったのはさっきまで出演していた清春に敬意を表すように、黒夢の「Like@Angel」。さらに2曲目はMORRIE率いるCreature Creatureの「Red」のカヴァー。さらに「この日のために1曲作ってきました!」とオリジナル「LASTICA」を披露。キャッチーなサビに、初めて聴いたオーディエンスもすぐにコブシをあげる。今後は、このバンドがどう進化していくかはまだ不明とのこと。まず今は、期待して待っていよう。

次に登場したのはKen。穏やかなSEを突き破るように響いてきたのは「“S”」。中間英明(G)、白田一秀(G)、TAKASHI((B))、秦野猛行(Key)、JOE(Dr)、Tomo(Chorus)といった、そうそうたる面々が奏でるハードロック・サウンドの上で、気持ち良さそうにハイトーン・シャウトを響かせるKen。厳かな「ETERNAL REST」では炎まで立ち上り、ムードが高まっていく。「In Physical」に到達する頃には、そのテクニカルな演奏と、楽曲のダイナミックな世界観に、うっとりと聴き惚れているオーディエンスも多数。そこから正気に覚ましたのは「お盆やで。墓参り行った?」というKenの人懐っこいMC。その後は、自ら“ノリノリな”と言う「Gimme Your Name」と「Spin Along」を立て続けにプレイ。全力で楽しむ大人の姿を見た気がした。

続いては、お茶の間を賑わせて久しいDAIGO率いるBREAKERZの登場。DAIGOがお馴染み“うぃっしゅ”ポーズの後に丁寧にお辞儀をしてから、「NO SEX NO LIFE」へ突入。「跳べ!」と煽りながら、美声を響かせるDAIGO。“ロックシンガー、DAIGO”“ロックバンド、BREAKERZ”という肩書を、オーディエンスの印象に焼き付けていく。さらに、「SUMMER PARTY」では爽やかに、「(B)MBINO~バンビーノ~」では女性ダンサーまで登場し、セクシーに夏気分を盛り上げる。「みんな超あったかいね! この感情を一言でなら、嬉しうぃっしゅ!」と期待に応え、仕舞いには物真似込みの「TSUNAMI」までア・カペラで披露。ラストはフロア中がタオルを振った「灼熱」。短い時間の中で、見事なエンターテインメント・ショウを繰り広げてくれた。

暫しのブレイクの後、後半戦のスタート。幕開けを飾るのはtetsu。ピンク色のサイリウムが海のように幻想的な雰囲気を醸し出す中、穏やかに「empty tears」がスタート。続く「Fresh(仮)」では、スウィートなメロディを歌いながら、水鉄砲を片手に花道やステージを動き回る。白いTシャツにチェックのストールで揃えたバンドの衣装もキュートだ。そこから間髪入れずに「REVERSE」。その後には、「俺、人前に立つの今年初なんやけど」と言いながら、しっかりその間に作っていた新曲「Roulette」をプレゼントしてくれた。そしてラストの「lonely girl」がはじまると、舞い落ちる色とりどりのカラーテープ。「まったねー!」という最後の言葉まで、一貫してポップなステージだった。

続いては、約20年ぶりのDEAD ENDの復活ライヴ。固唾を飲んで見守る中、MORRIE(Vo)、YOU(G)、"CRAZY" COOL-JOE(B)、MINATO(Dr)が登場。ホ、ホンモノだ! さらに、1曲目の「Danse Macabre」から、バンドの存在感も、楽曲のイメージも、伝説という期待値を裏切らずに響いてきた。2曲目は「Psychomania」。高々と手を掲げるYOUに、歓喜の声があがる。さらに、MINATOのタフなドラムから「I Want Your Love」へ。"CRAZY" COOL-JOEは華やかにステージを動き、MORRIEも花道で歌う。「生」なのだ、本当に。「Serafine」を終えると、フロアが照らされる中、MORRIEが花道を進む。そのオーラに圧倒されているうちに「Dress Burning」がスタート。そして「最後の曲いきましょう」という、唯一のMCらしいMCから「Perfume Of Violence」へ。夢か現か…しかしMORRIEは言った「また逢おう」と。

終盤に向かいつつあるフェスをさらに過熱させるべく登場したのは、今やMAVERICKを代表するバンドの一つとなったシド。フロアが照らされる中、4人が登場。しかしいきなり機材トラブルが。そこをコール&レスポンスなどで繋ぐマオ(Vo)。その自然体なスタイルのまま、「嘘」にすぅっと突入。トラブルにも、大きなステージにも、もう彼らは臆することはないのだ。Shinji(G)も、明希(B)も、ステージを隅々まで動いて煽る。そしてマオが「行けるか? ジャンプ!」と叫ぶと、「夏恋」へ。そこに追い打ちをかけるように「ドラマ」を畳み掛ける4人。銀テープも舞い、キラキラと楽曲を照らす。ラストは「私は雨」をしっとりと歌い上げて、控える先輩方にバトンを繋いだ。

そして待ちかねた人も多いだろう、いよいよVAMPSの登場。もう待てない!と言わんばかりのハンド・クラップの中、K.A.Zのギターで「LOVE ADDICT」が響きだす。黄色い光に眩しく翳されるたくさんの手。続く「REDRUM」では火柱も立ち昇り、ますますテンションをかき乱されずにはいられない。さらにHYDEが「今日は短いから、飛ばしてくぞ!」と豪快に叫ぶと、シャンプーのカヴァー「TROUBLE」へ。ほぼ全員が踊っている光景は壮観。さらに、伸びやかな歌声とシャウトが冴えわたる「DOLLY」、花道から降りてギターを弾いた「HUNTING」と、今日のHYDEはいつもに増してテンションが高い。それも、彼の敬愛する先人たちが出演しているからだろう。ラストの「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」まで思いっきりやんちゃに駆け抜けた。

いよいよフィナーレに近づいてきた。続いてはこれが復活後3度目のライヴとなる、44MAGNUM。JOE(Dr)が両手をあげ「IN THE END」がスタート。STIEVIE(Vo)が父譲りの美声を響かせれば、PAUL(Vo)もステージを動き回る。さらに変わらぬ鮮やかなギター捌きを見せるJIMMY(G)と、サポートで参加できるのが嬉しいとばかりに飛び跳ねるSHUSE(B)。風格とテンションを併せ持つパフォーマンスだ。「SOULS」、「SHOW TIME」と畳み掛けて、「STREET ROCK'N ROLLER」ではゲスト・ヴォーカルにkenが登場。ほんとに嬉しそうに、完璧に歌い上げる。「ここの事務所はみんな仲良くリスペクトし合ってここまでやってきました」という重みがあるPAULの言葉から、「NO STANDING STILL」へ。あたたかな拍手におくられて彼らはステージを降りた。

さぁ、遂に大トリ、MAVERICK DC SUPER ALL STARS。PAULの呼び込みで、逹瑯(オーケンの特攻服着用!)、大槻ケンヂ、マオ(PAULが「マオにゃん」と呼ぶのがキュートだった)、龍寺、kyo(D'ERLANGER )、左迅、DAIGO(PAULまで「うぃっしゅ」ポーズ)、清春、MORRIE、hyde(hydeはPAULの手にキス!)と、ジャンルも世代も超えてヴォーカリストがぞくぞくステージに登場。さらに、小さなボールを手にした様々なバンドのメンバーたちがステージいっぱいに登場。そして、44MAGNUMがさきほど演奏していなかった名曲といえば…そう、「SATISFACTION」がスタート。ヴォーカルを回しながら、全員でコブシを振り上げ、とんでもない一体感が生まれていく。演奏が終わると全員が和気藹藹と手を振りながら去っていき、フェスは大団円となった。

初の夏フェス参戦にして、9時間を超える長丁場のイベント。しかし、ステージもフロアも心身のテンションが下がった瞬間は殆ど見られなかった。それはきっと、<JACK IN THE BOX>においては全員がガチでぶつかり合うことが、みんな暗黙の了解でわかっているからだと思う。その一体感は、ここでしか味わえないものだろう。今日は、日本のフェスの歴史に新しいスタイルを刻んだ、記念すべき一日になった。

取材・文●高橋美穂
写真●畔柳ユキ、河本悠貴、Sumie

<JACK IN THE BOX 2009 SUMMER>
テレビ朝日でオンエア決定
11月7日(土)26:25~28:35

MAVERICK DC GROUP PRESENTS
<JACK IN THE BOX 2009 >開催決定
2009年12月27日(日) 開場13:00/開演14:00
会場 日本武道館
料金 前売 \8,500(全席指定・税込)
当日 \9,000(全席指定・税込)
※CLUB MAVERICK会員は500円引き

◆<JACK IN THE BOX 2009 SUMMER>オフィシャル・サイト
◆BARKS内<JACK IN THE BOX 2009 SUMMER>特集
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