ZARD作品の素晴らしさを伝える、羽田裕美のピアノ
羽田裕美といえば、デビュー前、2007年秋に行なわれたZARDの追悼ライヴに出演。それがきっかけとなり、これまでにZARDの数々の名曲をピアノ・インストゥルメンタルとしてCD化し、Amazonヒーリング・チャート1位、オリコン・ヒーリング・チャート4位を獲得する等、今最も注目されているピアニストの1人だ。今回の初ツアーは大阪、名古屋、東京と3ヵ所で行なわれ、このサントリーホールでのステージが最終となった。ZARDの楽曲を演奏するとあってZARDファンはもちろんの事、純粋にクラシックが好きという方達が週末のひとときを楽しみに来たという雰囲気の観客も見受けられた。
◆ZARD作品の素晴らしさを伝える、羽田裕美のピアノ ~写真編~
19時の開演時間を迎えると、イエローゴールドのシャンデリアがキラキラ輝く会場は暗転、黒いシックなワンピースを纏った羽田裕美がステージ上に登場すると深々と一礼しすぐさまピアノに向かった。気持ちを整えるかの様に天井を見上げ大きく深呼吸した後1曲目の「あなたを感じていたい」からいよいよ今宵のコンサートがスタートした。
5曲目までは「マイ フレンド」「Don't you see !」等の人気のナンバーを彼女のソロ演奏で聴かせると、6、7曲目はヴァイオリンが加わり“歌詞を思って弾くと泣きそうになる大好きな1曲です”と紹介された隠れた名曲「あなたに帰りたい」、そして「きっと忘れない」をCDとはまた違ったコンサート用のアレンジで披露。ここでは以前自身もヴァイオリンを習っていたが、“最近は全く手にせず1年位ケースを空けていないので久し振りに弾いてみたくなった”といったエピソードも披露していた。
その後再びソロとなり4曲続けて聴かせてくれたが、8曲目の「遠い星を数えて」ではZARD・坂井泉水がお気に入りだったという岩館真理子のマンガ『遠い星をかぞえて』からこの曲のタイトルが付けられたという事で自分も読んでみた所、“1コマ1コマから心情が伝わって来るとても繊細な作品で、坂井さんが書かれる歌詞とどこか通ずるものを感じ、きっとそういう繊細さが人の心を打つんだなと思いました”とコメント。そう語られ披露された「遠い星を数えて」はリリカルな音色を響かせ、ひと際大きな拍手が会場に広がった。ちなみにこのコーナーでは、ステージに用意された巨大モニターに、曲とリンクしたイメージムービーや、フォトグラフを映し出しながら演奏を聴かせるという、曲の持つ世界感をさらに膨らませてくれる演出だった。
続いて今回の見所の大きな1つ、先日行なわれた坂井泉水三回忌ライヴでの羽田裕美が出演したコーナーの再現が行なわれた。羽田の演奏と共に巨大モニターに坂井泉水のこれまで目にした事のないプライベートに近いおどけた表情や、沢山の笑顔といった非常にリラックスした映像が流れる構成で、この場面はやはり涙している人も多かった。
しばし厳粛な空気で包まれた後、16曲目からはヴァイオリン、フルート、チェロで構成されたアンサンブルが登場。17曲目の「pray」ではイントロにショパンの「幻想即興曲」を付け加えた別アレンジを披露する等、こちらのコラボレーション・コーナーもCDヴァージョンとは違ったコンサートならではのアレンジで楽しませてくれた。そしてラスト・ナンバーは不朽の名作「負けないで」。原曲よりも少しゆったりしたテンポで、ピアノの音色が持つ特有のセンチメンタリズムをはらみつつも、力強く伸び伸びとした演奏で、最後はとても晴れやかな気分を与え本編が終了した。
笑顔で一礼しステージ袖へと羽田が去ると、すぐさまアンコールの手拍子が鳴り響き、しばらくすると再び登場。“最後は私にとってとても思い入れのある曲をお聴き下さい”そういってZARDの追悼ライヴで羽田が1番最初に演奏した思い出の曲「My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~」が披露され、およそ1時間半のステージは幕を閉じた。
今回のコンサートは、演奏のみならず、間々に挟まれるMCも非常に好感が持てる、彼女の人となりがよく分かる優しい雰囲気に包まれた心地良いステージだった。また、シングル曲のみならず、アルバム曲やカップリング曲等バラエティに富んだ選曲となっていたが、ピアノのみで聴くと改めてどの曲も本当にZARD作品はメロディが秀逸だという事に気付かされた。
以前インタビューで“ZARD作品をカヴァーするという事で、CDリリースでもライヴでの演奏でも、とにかく原曲の事をまず第一に考え、歌詞のイメージに忠実な演奏をしなければという事に気持ちがいっていて、自分の演奏スタイルがどうとかそういう事を考えた事は全くなかった”とコメントしていたが、新人ながらZARD作品をカヴァーするという重責に対し決して気負う事なく、作品と真摯に向き合い、楽曲本来の素晴らしさを自分の演奏で伝えたいという純粋な思いがあったからこそ、それが叙情的な音色に表れ、結果ZARD作品の素晴らしさを伝える事が出来たのではないだろうか。
デビューから4作、ZARDのカヴァー・アルバムを発表。そして今回はそれを従えての初ツアーとなったが、今後は様々なジャンルに挑戦していきたいと意欲的に話す彼女。映画音楽等にも興味があるという事だが、色々幅を広げつつ、是非カヴァーのみならずオリジナル作品にも期待したいところだ。
text by 松原由香里 from music freak magazine
<羽田裕美コンサートツアー2009 ~ZARD Piano Classics~>
6月26日(金)@東京・サントリーホール・ブルーローズ
1. あなたを感じていたい
2. マイ フレンド
3. Don't you see!
4. 淡い雪がとけて
5. 愛が見えない
6. あなたに帰りたい
7. きっと忘れない
8. 遠い星を数えて
9. ハイヒール脱ぎ捨てて
10. 揺れる想い
11. こんなにそばに居るのに
12. Get U're Dream
13. ~夏を待つセイル(帆)のように
14. かけがえのないもの
15. この愛に泳ぎ疲れても
16. 永遠
17. (Chopin「幻想即興曲」)~pray
18. 止まっていた時計が今動き出した
19. サヨナラは今もこの胸に居ます
20. 心を開いて
21. 負けないで
(ENCOLE)
22.My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~
◆ZARD作品の素晴らしさを伝える、羽田裕美のピアノ ~写真編~
5曲目までは「マイ フレンド」「Don't you see !」等の人気のナンバーを彼女のソロ演奏で聴かせると、6、7曲目はヴァイオリンが加わり“歌詞を思って弾くと泣きそうになる大好きな1曲です”と紹介された隠れた名曲「あなたに帰りたい」、そして「きっと忘れない」をCDとはまた違ったコンサート用のアレンジで披露。ここでは以前自身もヴァイオリンを習っていたが、“最近は全く手にせず1年位ケースを空けていないので久し振りに弾いてみたくなった”といったエピソードも披露していた。
その後再びソロとなり4曲続けて聴かせてくれたが、8曲目の「遠い星を数えて」ではZARD・坂井泉水がお気に入りだったという岩館真理子のマンガ『遠い星をかぞえて』からこの曲のタイトルが付けられたという事で自分も読んでみた所、“1コマ1コマから心情が伝わって来るとても繊細な作品で、坂井さんが書かれる歌詞とどこか通ずるものを感じ、きっとそういう繊細さが人の心を打つんだなと思いました”とコメント。そう語られ披露された「遠い星を数えて」はリリカルな音色を響かせ、ひと際大きな拍手が会場に広がった。ちなみにこのコーナーでは、ステージに用意された巨大モニターに、曲とリンクしたイメージムービーや、フォトグラフを映し出しながら演奏を聴かせるという、曲の持つ世界感をさらに膨らませてくれる演出だった。
続いて今回の見所の大きな1つ、先日行なわれた坂井泉水三回忌ライヴでの羽田裕美が出演したコーナーの再現が行なわれた。羽田の演奏と共に巨大モニターに坂井泉水のこれまで目にした事のないプライベートに近いおどけた表情や、沢山の笑顔といった非常にリラックスした映像が流れる構成で、この場面はやはり涙している人も多かった。
しばし厳粛な空気で包まれた後、16曲目からはヴァイオリン、フルート、チェロで構成されたアンサンブルが登場。17曲目の「pray」ではイントロにショパンの「幻想即興曲」を付け加えた別アレンジを披露する等、こちらのコラボレーション・コーナーもCDヴァージョンとは違ったコンサートならではのアレンジで楽しませてくれた。そしてラスト・ナンバーは不朽の名作「負けないで」。原曲よりも少しゆったりしたテンポで、ピアノの音色が持つ特有のセンチメンタリズムをはらみつつも、力強く伸び伸びとした演奏で、最後はとても晴れやかな気分を与え本編が終了した。
笑顔で一礼しステージ袖へと羽田が去ると、すぐさまアンコールの手拍子が鳴り響き、しばらくすると再び登場。“最後は私にとってとても思い入れのある曲をお聴き下さい”そういってZARDの追悼ライヴで羽田が1番最初に演奏した思い出の曲「My Baby Grand ~ぬくもりが欲しくて~」が披露され、およそ1時間半のステージは幕を閉じた。
今回のコンサートは、演奏のみならず、間々に挟まれるMCも非常に好感が持てる、彼女の人となりがよく分かる優しい雰囲気に包まれた心地良いステージだった。また、シングル曲のみならず、アルバム曲やカップリング曲等バラエティに富んだ選曲となっていたが、ピアノのみで聴くと改めてどの曲も本当にZARD作品はメロディが秀逸だという事に気付かされた。
以前インタビューで“ZARD作品をカヴァーするという事で、CDリリースでもライヴでの演奏でも、とにかく原曲の事をまず第一に考え、歌詞のイメージに忠実な演奏をしなければという事に気持ちがいっていて、自分の演奏スタイルがどうとかそういう事を考えた事は全くなかった”とコメントしていたが、新人ながらZARD作品をカヴァーするという重責に対し決して気負う事なく、作品と真摯に向き合い、楽曲本来の素晴らしさを自分の演奏で伝えたいという純粋な思いがあったからこそ、それが叙情的な音色に表れ、結果ZARD作品の素晴らしさを伝える事が出来たのではないだろうか。
デビューから4作、ZARDのカヴァー・アルバムを発表。そして今回はそれを従えての初ツアーとなったが、今後は様々なジャンルに挑戦していきたいと意欲的に話す彼女。映画音楽等にも興味があるという事だが、色々幅を広げつつ、是非カヴァーのみならずオリジナル作品にも期待したいところだ。
text by 松原由香里 from music freak magazine
<羽田裕美コンサートツアー2009 ~ZARD Piano Classics~>
6月26日(金)@東京・サントリーホール・ブルーローズ
1. あなたを感じていたい
2. マイ フレンド
3. Don't you see!
4. 淡い雪がとけて
5. 愛が見えない
6. あなたに帰りたい
7. きっと忘れない
8. 遠い星を数えて
9. ハイヒール脱ぎ捨てて
10. 揺れる想い
11. こんなにそばに居るのに
12. Get U're Dream
13. ~夏を待つセイル(帆)のように
14. かけがえのないもの
15. この愛に泳ぎ疲れても
16. 永遠
17. (Chopin「幻想即興曲」)~pray
18. 止まっていた時計が今動き出した
19. サヨナラは今もこの胸に居ます
20. 心を開いて
21. 負けないで
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