阿部真央が見せる、音楽界に生み出される潮流
11月24日(月・祝) 阿部真央@渋谷Duo Exchange
できるだけ多くの人に伝えられるべきメッセージ性、そして、言葉の意味すらも超えて超越してしまう、あまりにも大きなダイナミズムをたたえたボーカル。この相反するファクターをきわめて自然に共存させた、本当にすばらしいライブだった。
◆阿部真央が見せる、音楽界に生み出される潮流 ~写真編~
11月24日、渋谷DUOのイベントライブで阿部真央――2009年1月21日にアルバム『ふりぃ』でメジャーデビューを果たす18歳のシンガーソングライター――は、彼女の音楽性の中心にある“アコギと歌”によって、その鮮烈な存在感をしっかりと示してくれた。
ステージに登場すると同時に、アコースティックギターを持ち、「ドン、ドン、ドン、ドン」とアコギのボディを叩きながらビートを響かせていく。そのリズムをキープしたまま、鋭くエッジの効いたストロークを繰り出し、最初の言葉を発する。
“皆寂しいんだよ 貴方も私と同じ/人が嫌いなわけじゃないけど うまく笑えない”
デビューアルバムにも収録されている「人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~」。おそらくは彼女自身の生の体験から紡ぎ出されたこのフレーズは、その場にいたすべての人間の心の奥底にまでまっすぐに届けられる。凄みすら感じさせるボーカリゼーションと18歳という年齢に似つかわしい、人懐っこい笑顔がひとつになったステージングも、とても魅力的だ。
2曲目の「MY BABY」は可愛らしさと濃密なセクシャリティが溶け合うラブソング。凛とした緊張感を持ったハイトーンとオーディエンスをゆったりと包み込むような低音、キュートな雰囲気と生々しい官能性が溶け合う表現力。彼女のシンガーとしての奥深いセンスが込められたナンバーだと思う。しかもこの曲、彼女が初めて作ったオリジナルだという。天賦の才とは、こういう人のことを言うのかもしれない。
“誰にでも、入ってきてほしくないラインがある、という歌です”というMCにリードされた「デッドライン」は彼女の表現者としての本質が込められた楽曲だ。どこまでも激しくかき鳴らされるアコギは、それ自体がすさまじくロック的。憤り、怒りを含んだメロディといい、研ぎ澄まされた集中力とともに放たれるパフォーマンスといい、すべてが過剰で、圧倒的だった。
さらに切なく、愛おしい情感が広がっていくバラード「貴方の恋人になりたいのです」が続く。あなたのことをもっと知りたい、近づきたい。でも、深入りしたら迷惑かもしれない――そんな繊細な気持ちを綴ったナンバーなのだが、イノセントな女の子っぽさを前面に出した彼女の歌を聴いているうちに、“この曲は「デッドライン」ともつながっているのではないか”という思いに至る。その共通点は、コミュニケーションに対する切望と恐れ。人と深くかかわっていたい。でも、濃い人間関係に踏み込むのはちょっと怖い。彼女は自身のプロフィールの「大好きないろいろ」のなかで、「ひとりが好き…でも人間が好き。」と書いているが、そこで生まれる葛藤もたぶん、彼女を音楽に向かわせる大きなモチベーションなのだろう。
最後は“母、恵里子のことを歌った”という「母の唄」、そして、デビューアルバムのタイトルチューンである「ふりぃ」へ。10代らしい刹那をストレートに表現した「ふりぃ」によって彼女は、その場所にいる人間に対して「あなたは“今”をしっかり生きていますか」という問いかけを投げかける(少なくとも僕は、そう感じた)。
切実なメッセージを、強く、生々しい音楽へと昇華していく阿部真央。彼女の歌は2009年以降、音楽シーンのなかで大きな波を生み出していくことになるだろう。
TEXT:森朋之
<阿部真央@渋谷Duo Exchange>
2008年11月24日(月・祝)
M-1 人見知りの唄
M-2 MY BABY
M-3 デッドライン
M-4 貴方の恋人になりたいのです
M-5 母の唄
M-6 ふりぃ
■着うた
M-1 人見知りの唄(アコースティックギターver.)
M-2 MY BABY(アコースティックギターver.)
M-4 貴方の恋人になりたいのです(アコースティックギターver.)
M-6 ふりぃ(サビ)(曲頭)
■着うたフル
M-1 人見知りの唄(アコースティックギターver.)
M-2 MY BABY(アコースティックギターver.)
M-4 貴方の恋人になりたいのです(アコースティックギターver.)
◆レコ直アーティスト阿部真央ページ
◆iTunes Store 阿部真央(※iTunesが開きます)
◆阿部真央マイスペース
◆阿部真央が見せる、音楽界に生み出される潮流 ~写真編~
11月24日、渋谷DUOのイベントライブで阿部真央――2009年1月21日にアルバム『ふりぃ』でメジャーデビューを果たす18歳のシンガーソングライター――は、彼女の音楽性の中心にある“アコギと歌”によって、その鮮烈な存在感をしっかりと示してくれた。
ステージに登場すると同時に、アコースティックギターを持ち、「ドン、ドン、ドン、ドン」とアコギのボディを叩きながらビートを響かせていく。そのリズムをキープしたまま、鋭くエッジの効いたストロークを繰り出し、最初の言葉を発する。
“皆寂しいんだよ 貴方も私と同じ/人が嫌いなわけじゃないけど うまく笑えない”
デビューアルバムにも収録されている「人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~」。おそらくは彼女自身の生の体験から紡ぎ出されたこのフレーズは、その場にいたすべての人間の心の奥底にまでまっすぐに届けられる。凄みすら感じさせるボーカリゼーションと18歳という年齢に似つかわしい、人懐っこい笑顔がひとつになったステージングも、とても魅力的だ。
2曲目の「MY BABY」は可愛らしさと濃密なセクシャリティが溶け合うラブソング。凛とした緊張感を持ったハイトーンとオーディエンスをゆったりと包み込むような低音、キュートな雰囲気と生々しい官能性が溶け合う表現力。彼女のシンガーとしての奥深いセンスが込められたナンバーだと思う。しかもこの曲、彼女が初めて作ったオリジナルだという。天賦の才とは、こういう人のことを言うのかもしれない。
“誰にでも、入ってきてほしくないラインがある、という歌です”というMCにリードされた「デッドライン」は彼女の表現者としての本質が込められた楽曲だ。どこまでも激しくかき鳴らされるアコギは、それ自体がすさまじくロック的。憤り、怒りを含んだメロディといい、研ぎ澄まされた集中力とともに放たれるパフォーマンスといい、すべてが過剰で、圧倒的だった。
さらに切なく、愛おしい情感が広がっていくバラード「貴方の恋人になりたいのです」が続く。あなたのことをもっと知りたい、近づきたい。でも、深入りしたら迷惑かもしれない――そんな繊細な気持ちを綴ったナンバーなのだが、イノセントな女の子っぽさを前面に出した彼女の歌を聴いているうちに、“この曲は「デッドライン」ともつながっているのではないか”という思いに至る。その共通点は、コミュニケーションに対する切望と恐れ。人と深くかかわっていたい。でも、濃い人間関係に踏み込むのはちょっと怖い。彼女は自身のプロフィールの「大好きないろいろ」のなかで、「ひとりが好き…でも人間が好き。」と書いているが、そこで生まれる葛藤もたぶん、彼女を音楽に向かわせる大きなモチベーションなのだろう。
最後は“母、恵里子のことを歌った”という「母の唄」、そして、デビューアルバムのタイトルチューンである「ふりぃ」へ。10代らしい刹那をストレートに表現した「ふりぃ」によって彼女は、その場所にいる人間に対して「あなたは“今”をしっかり生きていますか」という問いかけを投げかける(少なくとも僕は、そう感じた)。
切実なメッセージを、強く、生々しい音楽へと昇華していく阿部真央。彼女の歌は2009年以降、音楽シーンのなかで大きな波を生み出していくことになるだろう。
TEXT:森朋之
<阿部真央@渋谷Duo Exchange>
2008年11月24日(月・祝)
M-1 人見知りの唄
M-2 MY BABY
M-3 デッドライン
M-4 貴方の恋人になりたいのです
M-5 母の唄
M-6 ふりぃ
■着うた
M-1 人見知りの唄(アコースティックギターver.)
M-2 MY BABY(アコースティックギターver.)
M-4 貴方の恋人になりたいのです(アコースティックギターver.)
M-6 ふりぃ(サビ)(曲頭)
■着うたフル
M-1 人見知りの唄(アコースティックギターver.)
M-2 MY BABY(アコースティックギターver.)
M-4 貴方の恋人になりたいのです(アコースティックギターver.)
◆レコ直アーティスト阿部真央ページ
◆iTunes Store 阿部真央(※iTunesが開きます)
◆阿部真央マイスペース
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