ポーキュパイン・ツリー、スティーヴン・ウィルソン インタビュー

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スティーヴン・ウィルソン(ポーキュパイン・ツリー)インタビュー Part.2




写真左より『Signify』『Coma Divine』『Voyage 34』


――アルバムのコンセプトや歌詞、サウンド、ジャケットデザインのアイデアは、どんな順番で固まってくるの?

スティーヴン:アルバムによって違うけど、最近はコンセプトが最初にできることが多いね。テーマが決まって、そこから言葉のイメージができる。ただそこで歌詞は完全に作らず、断片にしておくんだ。完成した歌詞にあわせて音楽を作ると、歌詞がうまく乗らないことが多いんだよ。そしてアートワークはいつも最後だね。ミックスが終わるころじゃないと、ジャケットまで頭が回らないんだ。

――では今回再リリースの7枚のアルバムについて簡単に解説して。まず最初の『On The Sunday Of Life』は、アルバムとして作ったものではなく、過去の曲から選んだそうだね。

スティーヴン:10代の頃から作っていた曲を何本かのカセットテープにためてあったんで、そこから選んでアルバムにしたんだ。基本的には自分が好きな曲を選んだだけなんだけど、中には出来のよくないものもあったから、まぁ人前に出しても恥ずかしくないと思えるものを選んだってとこかな。あと、アルバムとして統一感が出せるようにっていうことも意識したよ。

――元がカセットとは思えないほど音がクリアだね。

スティーヴン:作るときから音質には気を遣っていたからね。当時の僕は、ミュージシャンというよりはプロデューサー志望だった。だからもっとも重要なのはサウンド、音質だったんだよ。当時は機材も限られていたけど、その中でベストなサウンドにしようと色々と努力をしたな。僕の父が色々な機材を作ってくれたことも大きい。彼はエレクトロニクスの天才なんだ。

――その次の『Up The Downstair』が、初めてアルバムとして作った作品ということになるけど、これを作るとき意識したことは?

スティーヴン:1枚目はすでにあった曲から選んだアルバムだから、サイケポップとかプログレとか、色々なタイプの音楽が同居してた。でも次はもっとアルバムとしてまとまったものを作ろう、そしてこのアルバムを一過性ではなく、後世まで聴いてもらえるようなものにしようと考えた。そのためには、真にプログレッシブなもの、つまり70年代、80年代の焼き直しじゃなく、90年代の今しかできないことをしようと思ったんだ。それで当時流行っていたアンビエント系とかトランスの要素を取り入れた。『Voyage 34』もこれと同じ時期に作っていたものだから、音楽的にはすごく似ているアルバムだね。あと、僕はもともとシンガーになろうなんて思ってもいなかったんだけど、この『UP THE DOWNSTAIR』はヴォーカリストとして初めて自分で満足できる仕事ができたと思えるアルバムなんだ。

――『The Sky Moves Sideways』を作った95年頃は、PTがバンドとしてライヴ活動を始めた時期だね。でもバンドらしいまとまりは、むしろ次の『Signify』のほうに表われているように感じる。

スティーヴン:その通りだよ。実際にバンドとしてライヴをやり始めたのは、これが完成した後だから、バンドで作ったアルバムは次の『Signify』以降ということになるんだ。この『The Sky Moves Sideways』は当初、50分の曲を1曲だけ入れた“音楽の旅”みたいなアルバムにしようと思っていたんだけど、それはバンドとして作ろうと思っていなかったからなんだ。実際、バンドで活動を始めたら、もうできたばかりのこのアルバムとは違う方向に行ってしまった。そのサウンドの変化が表われているのが『Signify』ということになるね。

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