ロンドン・アストリア、この秋に閉館

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長年の歴史と多くの伝説を持つロンドンのコンサート会場、アストリアの存続が危うくなった。3万5,000人におよぶ人々が、アストリアの閉館に反対し請願書を提出したが、ケン・リビングストン・ロンドン市長は「アストリアは残せない」との声明を発表した。

開発が進み、老朽した建物が次々と壊されているロンドン。昨年は、老舗の1つだったHammersmith Palaisが姿を消している。

リビングストン市長は小中規模のライヴ会場の存続を懸念し「ロンドン市内のライヴ会場を残すのは最重要項目」としながらも、「物理的に不可能な場所もある。Crossrail(新しい路線)の開通により、アストリアは残すことができない」とコメントした。

アストリアがあるトッテンナム・コート・ロード周辺には現在より大規模な駅が作られる。そこにアストリアに代わるより大きなライヴ会場が建設されるというが、歴史が古い会場だけに、そんな代替では納得いかないと思う人々も少なくないはずだ。

'27年に映画館としてオープンしたアストリアは、'76年よりライヴ会場としてリニューアル。収容人数は2,000人と多くないが、新人バンドの登竜門であり、ビッグ・アーティストがスペシャル・ライヴを行なう場所でもある。ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、ニルヴァーナ、レディオヘッド、U2、ミューズ、アークティック・モンキーズ、グリーン・デイなど、ここでパフォーマンスしたアーティストを挙げたらきりがない。

以前は、どれだけ使い勝手が悪かろうが、古いものに愛着を持ち使い続けていた英国民だが、景気がいいせいか、世代が変わってきたせいか、最新で快適なものを好む人々が多くなってきた。

トッテンナム・コート・ロード周辺の開発工事はこの秋から始まるといわれている。

Ako Suzuki, London
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