日本生まれの名盤、チープ・トリック『at武道館』30周年

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pic by Kevin Westenberg / Getty Images
ロックそのものが年齢を重ねてきた昨今、「××何十周年」みたいな言葉を目にする機会が増えてきている。

2007年、レッド・ツェッペリンの再結成ライヴが実現したが、同公演自体はそもそもアトランティック・レコードの創始者である故アーメット・アーティガン氏の追悼を目的とするもので、さらに同レーベルは今年、創立60周年を迎える。余談だが、彼らが前回ステージをともにしたのは20年前の1988年、同社40周年記念公演のときのことだった。

来年には『ウッドストック』の30周年記念コンサートが行なわれた1999年から、さらにもう10年が経過することになるし、国内でも、四半世紀前に都内のライヴハウスで繰り広げられていた『関西メタルなぐりこみギグ』の25周年記念ライヴが、
▲2007年10月31日@東京・SHIBUYA-AX時の貴重な1ショット
この3月1日、『JAPAN HEAVY METAL FANTASY~KANSAI NAGURIKOMI GIG 2008~』という名目で、東京・中野サンプラザホール(出演:44 MAGNUM、EARTHSHAKER、MARINO)で開催されることが決まっていたりする。そういえば、その中野サンプラザで録られたライヴ・アルバム『蠍団爆発!(TOKYO TAPES)』を1978年にリリースしたのが、2007年来日したスコーピオンズ。フロントマンのクラウス・マイネに取材した際には、「あれからもう30年になるのか。2008年にもう一度日本に来て、是非、記念コンサートを実現させたい」なんて発言も聞かれたものだ。

実は、そのスコーピオンズの名盤と同様に、2008年、リリース30周年を迎える伝説的ライヴ・アルバムがある。チープ・トリックの『at 武道館』である。この作品は、1978年に実現した彼らの初来日公演の際にライヴ・レコーディングされたもので、当時、日本での人気が先行していた彼らにとっては “世界的出世作”となった記念碑的作品といえる。当初はあくまで日本限定でのリリースが想定されていたものの、結果的にはアメリカ本国でも『ビルボード』誌のアルバム・チャートで最高4位を記録するに至っている。

チープ・トリックにとってまさに“運命の瞬間”となった武道館公演が行なわれたのは、正確に言えば、1978年4月28日と30日のこと。当時高校生だった僕は、学校の昼休みに公衆電話で必死にチケットの予約をとった記憶がある。今年の春、それから30年が経とうとしているわけである。ちなみにそれから20年後の1998年、僕は『at武道館』の20周年記念ライヴをシカゴで観ていたりする。高校生の頃の僕は、その後の自分がまさか愛読誌である『ミュージック・ライフ』の編集に携わることになろうとは(願ってはいたけれど)思ってもみなかったはずだし、さらに編集者を辞めてフリーランスになったその年に、
▲30年前のLPと、10年前に出た『at武道館:ザ・コンプリート・コンサート』のCDジャケ。筆者はシカゴに飛んだ際、4人のサインをもらいました。単なる自慢かって? はい、そうです(笑)
『at武道館』の完全再演を観るためにアメリカまで飛ぶことになった事実についてはなんだか因縁みたいなものすら感じなくもない。蛇足ながら、実はその渡米中に、僕はhideの訃報を聞くことになったのだが。

さて、本題はチープ・トリックである。僕にとって今年は、どうしてもチープ・トリックを観なければならない年なのである。もちろん他の国ではなく、日本で。そして会場は、できることなら“あそこ”であって欲しい。で、こんなことを書いているのは、実はものすごい情報を手に入れてしまったからだったりもするのである。

実際問題として、今、この場に具体的なことは何ひとつ書くわけにはいかないのだが、すべてのチープ・トリック愛好者たちは、これから飛び交うことになる情報を確実にキャッチするためにアンテナを伸ばしておくべきだろう。もちろんこの場でも、ごく近いうちに「今、僕が公言したくてたまらないこと」をきっちりとお伝えするつもりだ。

増田勇一
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