ナイン・ホーセス、元JAPANのデイヴィッド・シルヴィアンが新ユニットを結成

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NINE HORSES
NINE HORSES 元JAPANのデイヴィッド・シルヴィアンが新ユニットを結成 三人で練り込んだ音が空気中に拡散していく
NINE HORSES リード文

『スノー・ボーン・ソロウ』 2006年2月22日発売

「wonderful world」試聴!!

 
  

デイヴィッド・シルヴィアン インタビュー映像
 ≫デイヴィッド・シルヴィアン インタビュー

 ――まず、新たにNINE HORSESというユニットを組んだ経緯を教えてください。 デイヴィッド・シルヴィアン(以下デイヴィッド):きっかけは2002年ごろ、弟のスティーヴ・ジャンセンと一緒に曲を作り始めたことだ。ちょうど自分のスタジオを作ったので、新しい機材やテクノロジーを理解するには実際にレコーディングするのが一番だから、とにかく2人で思いつくものをどんどん録っていった。そのときはそれだけで、コンセプトのようなものはなかったんだ。 ――最初からこのユニットでやることを決めていたわけではないのですか?  デイヴィッド:スティーヴと二人で音楽を作リ始めただけ。そこから発展して、色々な人が参加してこういう形になったわけさ。曲の基礎を二人で作ってから、曲ごとに参加してもらうミュージシャンを決めることにしていたんだ。 ――もう一人のバーント・フリードマンはどうして参加したんですか? デイヴィッド:スティーヴと二人で曲を作り始めて数ヶ月したところで、前作の『blemish』の制作やツアーが入って、このプロジェクトはいったん中断していたんだ。バーント・フリードマンはそのドイツのツアーに参加してもらったんだ。話をするうちに意気投合して、『blemish』のリミックスをやってもらったり、バーントの作った曲に僕のヴォーカルを入れたり、一緒に音楽を作るようになった。つまりスティーブとのプロジェクトとバーントとのプロジェクト、2つが同時進行していたんだ。そのうち、2つのプロジェクトに共通点があるように感じたので、バーントにもこのプロジェクトに参加してもらうことにした。それでNINE HORSESになったんだ。 ――収録曲にもある『Snow Borne Sorrow』というタイトルにはどんな意味が込められているんですか? デイヴィッド:僕は歌詞でもタイトルでも、天気や季節を比喩的に使うことが多いね。この冬という季節は頭がクリアになって、アーティストとしてモノを作るのに専念できる時期。その一方で、寒さとかさびしさとか、つらいこともたくさんある。冬をどう思うかは人それぞれ、状況や心理状態で違うと思うけど、今僕が住んでいるニューイングランドは冬が長くて寒さが厳しい。僕自身、私生活の問題を抱えていたりして、冬がとてもつらかった。そんな冬の持つ両面について考えていたので、タイトルに持ってきたんだ。 ――音作りが緻密ですが、制作にはずいぶん時間をかけましたか? デイヴィッド:曲の基本的な部分は早かったよ。スティーヴと二人でどんどんハードディスクに入れていった。一日に1曲くらいのペースさ。時間をかけたのはその後のアレンジとサウンドプロダクションだ。スティーヴはドラマーだからリズムやパーカッションにかなりこだわりがあるし、いったんできあがって1年もたってからやり直したりした曲もある。トータルで1年以上ずっと作業していたね。それと、スティーヴと一緒に作る曲に比べて、バーントのアレンジはかなりシンプルで、僕の考えと少し違うところがあるんだ。それを詰めていくのにかなりの時間を使った。もともとスティーヴとのプロジェクトにあとから彼が参加したものだから、統一するのに時間がかかったんだ。 ――三人の役割分担は? デイヴィッド:普通のバンドとは違い、決まった役割みたいなものはない。プログラミングもアレンジもみんなができるし、やることはほぼ共通。もちろんスティーヴは偉大なドラマーでもあるから、リズムやパーカッションに関しての彼の力は大きいよ。そうそう、バーントも素晴らしいドラマーなんだ。今ドラムをやってないのがもったいないね。 ――ソロの1stや3rdなど、あなたの昔のスタイルに近い仕上がりですね。 デイヴィッド:確かに曲の要素や構成など、ソロの最初の頃のアルバムと共通点が多いね。だから僕の色がとくに強いと思う人も多いかもしれない。でもこのプロジェクトは始まったばかりで、これがNINE HORSESの音だというのはまだ固まっていないと思ってる。今後どうなるかもわからないね。 ――前回『blemish』のリミックスをやったことは何か今回につながっていますか? デイヴィッド:いやあのリミックスは、コラボレーションの相手としての可能性を探るという、実験的な意味もあって色々な人に参加してもらったんだ。それで得たものとしては、結果的にはみんなよかったので、今後また面白いコラボレーションができるという確信だね。 ――あなたの音楽には歌詞も重要な要素だと思いますが、今回のテーマは? デイヴィッド:今回のアルバムは、実は『blemish』と同じようなテーマを取り上げてるんだ。『blemish』のときは内面に向けた個人的な葛藤とか悩みを歌っていて、今回はもっと世界的、社会的なところに広げているから、一見違うように思うかもしれない。でも歌っている内容は、寂しさとか思いやりとか、同じような個人的な感情についてだよ。 ――今回の制作に何か新しい機材や楽器を使いましたか? デイヴィッド:特にないね。レコーディングシステムも特に最新というようなものじゃない。スティーヴとスタジオを作ったときに入れたコンピュータ中心のシステムで、みんなが普通に使ってるようなものだよ。 ――このユニットでのツアーや2ndアルバムなど、今後の予定は決まっていますか? デイヴィッド:このアルバムに関してはツアーの予定はまったくない。でも次のアルバムを作って、そのツアーというのは可能性は十分あるよ。時期は確約できないけどね。 取材・文●田澤 仁 

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