選曲に感じたのは『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』の曲が多いこと。このアルバムのツアーであることを考えれば自然なことではあるが、贅沢を言えばもう少し過去の曲も聴きたかった。というのも、去年の<SUMMER
SONIC 03>はもちろん、11月にはロンドンまで出かけてアールズコート公演を観ていたため、『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』のライヴはこれで3度目。ワガママかもしれないがもうちょっと違う曲も聴きたいのだ。新作はギターを中心にしたシンプルなトラックが多いせいか、感覚的にすごくノリやすい。半面、『キッドA』や『アムニージアック』をフィーチャーした2001年のジャパン・ツアーのように“この曲をライヴでこう表現するのか!?”という驚きは少なかったように思う。ファンのみが集まる単独公演は、良くも悪くもリラックスした雰囲気で、<SUMMER
SONIC 03>での、バンド全体のあの神がかったテンションの高さはなかったし、「クリープ」を始めとした懐メロ的なヒット曲の選曲も少なかった。正直に告白すると、ライヴ後帰りの電車で頭の中でリピートされたのは「ナショナル・アンセム」や「ピラミッド・ソング」あたりだったのだ。