【インタビュー】ギタリストのSAKI、初ソロツアー開催前に語る15年の歩みと決意「ギターヒロイン像を突き詰めたい」

2025.07.04 18:00

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■ツアーでいろいろ変わるんじゃないかな
■自分の中でも期待しているんです

──Like-an-Angelは6月4日に初のオリジナル曲「Angel beside yoU」をリリースされましたし、今後がますます楽しみです。そしてSAKIさんのソロ作品としては、2021年に初シングル「BRIGHTNESS」がリリースされました。以降発表された「THE EMPRESS」「GERMINANS」も収録した『GERMINANS EP』のリリースが2024年6月21日。約1年経った今、この作品についてご自身も客観視できているであろうところで、改めてうかがいます。まず、「BRIGHTNESS」はメロディアスに疾走するスピードチューンですが、初めて作曲したインストですか?

SAKI:インストとしては初めてですね。曲を作ろうとしていたのがコロナ禍に入ったぐらいの時期で、当時、皆さんネットで生配信とかを始めていて。私も毎週ツイキャスをやっていたんですけど、普通に喋って、ギターをちょっと弾くだけでは面白くないなと思っていたんです。だから、“みんなで曲を作りましょう”というテーマで、ギターリフを作ったり、ドラムパターンをつけたり、お客さんと一緒に作曲する配信を始めて。たとえば、メロディフレーズとかギターリフとかリズムパターンとか、毎週それぞれ3パターンずつぐらい作って、配信でみんなに聴いてもらいながら、「どれがいいですか?」ってお客さんの意見を聞いて、出来上がった曲が「BRIGHTNESS」です。

──だから曲に展開が多いんですかね。そのミュージックビデオではダンスステップを踏んだり、これまでにない姿も披露しています。

SAKI:MV監督に「踊ってください」って言われて。撮影前にダンススタジオに呼ばれて、ギターを持ってダンサーさんとレッスンしました。めっちゃ大変でしたけど。さすがにライヴであのステップはちょっと無理です(笑)。

──ヘドバンや激しいアクションもSAKIさんのパフォーマンスの魅力ですが、魅せることへのこだわりは?

SAKI:高校生の頃はとにかく一生懸命弾くみたいな感じだったので、最初はあまりステージングができなくて、当時のボーカルとかに「もっと動いてほしい」と言われていたんですよ(笑)。“じゃあどういうのがいいのかな?”ってすごく考えた結果だったり、いろいろステージを経験していったり、ライヴを観に行ったりする中で、今の感じになったっていう流れですかね。

──続いて「THE EMPRESS」は打ち込みトラックを使用した新たな試みも印象的です。

SAKI:シバサキユウキさんという作編曲家との共作なんですけど、“思いっきりK-POPのトラックに対して、ギターのメロディをつけたらどうなるんだろう”っていう自分の発想から始めた感じでした。だから、これもちょっと変わった作りですね。最初は打ち込み主体のトラックだけいただいて、そこに入れるギターを調整していったんですけど、“本当にこれ、歌を入れないとどうなるんだろう”みたいな感じで(笑)。単純にどうしよう…みたいなところもありながら、トラックに合わせて弾くというのは、これまでない経験だったので、私にとっては新鮮で楽しかったですね。

──タイトルの“EMPRESS”はSAKIさんのKiller Guitars製シグネーチャーモデルKG-Fascinator Seven the Empress (galaxy black petals)を冠したものでもありますね。ギターソロにあたる部分も華やかです。

SAKI:ギターシンセを入れたりとかしているから、そういう雰囲気になってますね。

──「THE EMPRESS」ミュージックビデオは、前半にKiller Guitarsの赤い6弦ギター、衣装も変わって後半にKG-Fascinator Seven the Empressが登場しますが、どういう映像コンセプトですか?

SAKI:まず、タイトルが“THE EMPRESS=女帝”なので、そういうイメージの赤と黒の2パターンの衣装を用意していただいて、赤い6弦ギターと黒い7弦ギターで、“これからいろんなことをやっていくぞ”みたいな意志も表現しています。

──ちなみに7弦ギターを初導入したのは、Mary’s Bloodからですか?

SAKI:Mary’s Bloodの3rdアルバム『FATE』(2016年発表)のときに、BABYMETALとかに曲を書いてるゆよゆっぺさんと一緒に作業することになって。ゆっぺさんの曲が7弦ギターアレンジだったので、じゃあ使ってみようかなっていう感じで弾き始めたのが最初です。

──6弦ギターから7弦ギターの持ち替えはいかがですか。人によっては、まるで別物とおっしゃるギタリストもいますが。

SAKI:私は持ち替えても全然気にならないタイプなんですよ(笑)。どっちでも平気なので、ステージ上では6弦ギターも7弦ギターも常にスタンバイしてあります。

──Like-an-Angelではオリジナル曲「Angel beside yoU」を除いて、6弦ギターですよね?

SAKI:はい。Killerさんに「シングルコイルのギターが欲しいです」と言って作っていただいたギターが赤いストラトシェイプのギターで。Like-an-Angelのためにいろいろ改造しているモデルです。

──Like-an-Angel仕様なんですね。

SAKI:基本的にはそうですね。Killerの方にはいろいろご提案をしてもらったり、自分から「kenさんと同じピックアップにしてほしい」ってお願いしたりしています。

──では、最新曲「GERMINANS」は、どういうテーマで作られた曲ですか?

SAKI:GERMINANSにはラテン語で“芽吹く”という意味があって。ソロ活動を始めるにあたって、そういう曲になればいいなということでタイトルにしました。

──プログレッシヴなパートをはじめ、さまざまな展開があって、聴きどころが多い曲です。

SAKI:アレンジャーさんと喋っているうちに、どんどん激しくなっていったんです(笑)。曲中でいろいろと変化を付けたいと思って、KG-Fascinator Seven the Empressはコイルタップできるので、シングルっぽいところとハムのハイパワーを使い分けたり。サウンドキャラクターが違うほうが飽きないかなと思って、いろいろと工夫してます。

──イントロのリフはシンセではなくタッピングですよね。

SAKI:タッピングでシンセっぽく加工してる感じですね。やっぱりギターなので、歌と違って表情をつけるのが難しいなと思ったので、レコーディングしながらギターサウンドは試行錯誤していった感じです。

──楽曲構成やギターサウンドを含めてこだわりを感じさせますが、歌メロ感で1本スジが通っていると思いました。この曲にはどんな思いがこもってますか?

SAKI:「BRIGHTNESS」という曲が最初にあって、それ以降、ソロ活動をやろうと思ってから、本当に純粋に書いた曲なので。いろんな自分の好きなものとかを一回見つめ直した曲になったと思います。

──SAKIさんのソロ作品として発表されているのは、現在のところこれらインスト3曲ですが、9月の初のソロツアー<SAKI 1st Tour「Autumn Rain」>までに新曲を期待してもよさそうですか?

SAKI:はい、今まさに。曲自体は何曲かあるので、それをどうブラッシュアップしようかな、という感じです。

──9月6日に東京・SHIBUYA REX 、9月13日に愛知・名古屋HeartLand、9月15日に大阪・RUIDOといった東名阪で開催されますが、どんなライヴにしたいですか?

SAKI:これまでの単発ライヴはいろんな方々の協力を得てやらせてもらったんですけど、ソロツアーは本当に初めてなので、まだ未知数なところもあって。どんなことができるのかっていうのを含めていろいろ考えつつ、ソロのやり方が固まるツアーになるんじゃないかなって思っています。これまでの自分の曲を演奏しつつ、ソロとしてのオリジナル曲をもうちょっと増やして。今回のツアーを経ていろんなことが変わるんじゃないかなって、自分の中でも期待しているんです。

──サポートは、Gacharic Spinのはな(G)さんをはじめ、これまでのソロライヴでも演奏してきたメンバーが中心になっています。

SAKI:はなちゃんも千里(川口千里 / Dr)ちゃんもキャリアが長いので、音楽的なアイデアをどんどん出してくれて、ありがたいなと思っています。ベースのちいちゃん(東京公演)は今回初めてで楽しみだし、革命メロイックのユニカインパクト(B / 愛知・大阪公演)ちゃんはSNS動画を見て声をかけさせてもらって、去年から参加してもらってるんですけど、彼女もすごく一生懸命取り組んでくれていますし…やっぱりみんなの力を借りてやっている感じですね。「これを弾いてください」って言えば全部完璧にできる人たちなんですけど、それよりは、みんなが楽しんでくれたり、意見を出してくれたらいいなと思いながらやっています。

──ライヴ後にはアフタートークも行われるそうですね。

SAKI:去年ファンクラブを立ち上げたんですけど、東京以外ではそういうイベントができていなかったので。大阪や名古屋のお客さんともコミュニケーションがもう少し取れたらいいなというのもあって、トークをやることにしました。

──ツアータイトルの<Autumn Rain>とは?

SAKI:私はすごい雨女なので。どんなタイトルにしようかなと思ったときに、9月だしどうせ雨が降るんだろうなと(笑)。

──秋の長雨っていいますしね(笑)。

SAKI:本当にすごい雨女なんですよ。最初にYokohama Bay Hallでソロライヴをやったとき(<SAKI 1st solo live -GERMINANS->2024年6月21日)は、とんでもない土砂降りで、お客さんがみんなつらそうにしていて(苦笑)。本当に申し訳なくなるぐらい雨が降るんですよ。NEMOPHILAの日本武道館のときも雨だったし。降らないことのほうが珍しいぐらいの雨女なので、最初のツアーらしく雨っぽいタイトルをつけてもいいかなと思って<Autumn Rain>にしました。

──ソロで活動するにあたって、「ギターヒロインを目指したい」というコメントもありました。今後の活動に向けて思い描いていることやミュージシャンとしての信念について、最後にお聞かせください。

SAKI:最近、山本譲二さんの50周年記念ライヴに呼んでいただいて、ギターを弾かせていただいたんです。Like-an-Angelもそうですけど、これまでの自分がやっていたフィールドじゃないところにすごく呼んでいただけるようになってきて。“どこに行っても変わらないギタリスト”というのが、今後目指すものなのかなと思っていて。そんなギターヒロイン像みたいなものを、今後どんどん突き詰められたら、と今は思ってます。そのためには自分がどういう人間で、どういう音楽をやってるのかをちゃんと示さないといけない。今回のソロツアーがそういうものになればいいなと思っています。

構成◎BARKS編集長 梶原靖夫
取材・文◎岡本貴之
撮影◎TOYO

 

■<SAKI 1st Tour「Autumn Rain」>
9月06日(土) 東京・SHIBUYA REX
(問)SHIBUYA REX 03-5728-4911
9月13日(土) 愛知・HeartLand
(問)HeartLand 052-212-9018
9月15日(月/祝) 大阪・大阪RUIDO
(問)大阪RUIDO 06-6252-8301
open15:00 / start15:30
アフタートーク(SAKIのみ出演):open18:00 / start18:15
※全公演共通
▼チケット ※オールスタンディング
・特典付きVIPチケット ¥17,000
 ※税込・ドリンク代別
 ※特典内容:先行入場・ライブ後アフタートーク参加・2ショット撮影・お見送り
・通常チケット ¥7,000
 ※税込・ドリンク代別
【一般発売】
受付開始:7月5日(土)10:00
・東京公演 https://eplus.jp/sf/detail/4321650001-P0030001
・愛知公演 https://eplus.jp/saki-1st-tour/
・大阪公演 https://eplus.jp/sf/detail/4321760001-P0030001

 

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