【インタビュー】メイ・スティーブンス、「If We Ever Broke Up」がバイラルヒット。「人の心を癒してくれる音楽を書き続けたい」

■自分が落ち込んですごくつらかった時期を曲にした
■人の心を癒してくれる音楽を書き続けたい
──歌詞に、《もし別れることになったら、こんなことを言われたってあなたのパパに言いつけてやる》っていう強烈なフレーズがありましたが、あれもリアルな経験とか思いがもとになっている感じ?
メイ:実際には言ってないんだけど(笑)。これは相手の親に言いつけてやりたいなっていう気持ちはすごくあったかな。どんな親でも自分の子どもはかわいいから、“うちの子に限ってそんなことはしない!”って思うかもしれないけど。でも自分が相手から受けた仕打ちが、あまりにもひどかったから。私は普段は、復讐をしてやろうなんて思う人間じゃないけど、やっぱりあれは絶対にありえないなって思ったんですよね。復習してやりたかったけどできなくて、でも全部バラしてやろうっていう気持ちはすごくあったかな。
──その強い感情が、曲となって昇華されたわけですね。
メイ:本当に。自分が落ち込んですごくつらかった時期を曲にしたことで、それを乗り越えて、心を癒すことができて。でもこれは自分のことに限らず、誰かとの別れで自分のことを責めてしまったり、必要以上に落ち込んだりはしなくてもよくて。ダメな相手と別れることで自分らしく生きられたり、自分に自信をつけることもできるんだよっていうことを伝えたかったんです。
──メイさん自身が、音楽に心癒す作用があったり、より自分の経験を深めてくれるような体験をしているんですね。
メイ:そうですね。そういう音楽の持つ作用とか力を使って、たくさんの人の力になれたらっていう気持ちはあって。例えば映画って、音楽があって初めて成立するというか、より大きな感動をもたらしてくれるものだと思っていて。もしそこに音楽がなかったら、魅力が半減してしまうというか。それと同じように、人生においても、自分の経験や思い出には音楽が付随している、その時々でのサウンドトラックを伴っていると思うんです。子ども時代のいい思い出はもちろん、いじめを受けたことだったり、悲しみやつらい体験にも、それにまつわる音楽があって。音楽とともに記憶していたり、癒してくれる効果もあるなって思っているので。音楽はこの世に存在するとても大事なものだっていう思いが強いんです。
──メイさん自身、自分の内にため込んだ感情を消化するためにスポーツであるとかいろいろなものを試すなかで、出会ったのがソングライティングだったということですが。自分で曲を作りはじめた時って、それを誰かに聴いてもらおうとか、聴かせたいという思いも同時にあったんですか。
メイ:最初はあくまで自分を癒すための手段だったので誰に聴かせるでもなく、嫌なことがあった時とかに曲にして、自分の思いを晴らしたら、それを誰かに聴かせるわけでもなく捨てていたくらいの感じだったんです。でもある時、自分が書いた曲を父親に聴かせたら、「この曲はすごくいいから、みんなに聴いてもらったほうがいい」ってアドバイスをもらって。でも、私にとって曲を書くということはとてもパーソナルなことで、自分の中でだけで抱いていた感情を描いたものだったから、曲を書いていることもひた隠しにしていたし、ましてやこれを誰かに聴かせることはすごく勇気のいることだったんだけど。実際に人に聴いてもらったことで、自分は音楽を作ることがすごく大好きで情熱を燃やしているものだってことにも気づかされましたね。
──すごくパーソナルな思いを綴った曲だったということですが、親や、近しい友だちに最初に曲を聴かせた時って、どういうリアクションがありましたか。
メイ:親友に最初に聴かせた時は泣いていて…。みんなショックを受けたみたい。私の経験や秘めていた思いを、曲を通して初めて知って、「あなたがこんなことを感じていたなんて、知らなかった」って。両親もそれは同じだったみたいで、あなたは学校でこんなにつらい思いをしていたのねって。やっぱり子どもながらに、学校で受けたいじめとか仕打ちを親には言えなかったというか。もし話をして、親が学校に怒鳴り込むみたいなのはいやだったから、どうしても隠しておきたいことだったんです。いま自分の音楽についてこうしてインタビューで話をしたり、あの時はこういう思いがあって、こんな気持ちで書いたっていうことを話すと、それも両親からすれば自分たちがそれに気づいてあげられなかったってことがつらいだろうし、ショックを受けていると思うんだけど…。とにかく、私がこうして自分のありのままや、弱さを音楽にしている、歌詞に書いてるっていうのはみんな驚いてたかな。
──10代の頃はそういう言葉にならないモヤモヤとした思いやつらさ、激しい感情や衝動感を原動力に曲を書いていたと思いますが。デビュー後は、自分のクリエイティブを突き動かしているものに変化はあるんですか。
メイ:自分の素直な思いや経験を元にして曲を書くということは変わらないんですけど、確かにネタに詰まるじゃないですけど、どういうテーマで書いていくか壁にぶち当たることもあって。そういう時は、友だちの悩みや話を聞いてインスピレーションをもらって書くこともあったりしますね。なぜなら今は、失恋したり傷心してるわけでもなく、今の彼とはもう3年付き合っていて幸せでもあるので(笑)。そういうなかで失恋の歌を書くっていうのは難しいんだけど、友だちだったり誰かの失恋の話とか、ファンの人が自分の経験談をメッセージで送ってくれたりもするので。そういう話からインスピレーションを得たりしています。自分が音楽によってすごく救われた経験があるから、これからも人の心を癒してくれる音楽を書き続けたいなっていう思いはありますね。
──8月4日リリースの新曲「Mr Right」について教えてください。
メイ:新曲はネットを通しての出会いの試行錯誤だったり、大変さを面白おかしく書いた曲で。聴いた時に、みんながちょっと笑えるような楽しい感じの曲になっていて。みんな自分の運命の人を見つけたいって思って、マッチングアプリとかデートアプリに登録すると思うんだけど、なかなか自分と気の合う人を見つけるのって難しいし。お試ししてみても、うまくいかなかったり、なんかこの人ヘンな癖があるかもなって引いちゃったり(笑)。期待してるドラマがなかったりっていう、そんなことをユーモラスに描いているので、「If We Ever Broke Up」とはまた全然違った楽しみ方ができるかなって思います。
取材・文◎吉羽さおり
メイ・スティーブンス、メーガン・トレイナー「Mr Right」
▲「Mr Right」ジャケット
2023年8月4日(金)リリース
https://umj.lnk.to/MSMT_MR
メジャー・デビュー・シングル「If We Ever Broke Up」
▲「If We Ever Broke Up」ジャケット
2023年2月10日(金)リリース
https://umj.lnk.to/MS_IWEBU
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