【インタビュー】HYDE、新曲「LET IT OUT」が示すネクストレベル「苦しいものを全部出しちまえ」

■常にファンの気持ちになって考える
■もう純粋にそれだけですよ
──英詞作成においてはAliさんのお力を借りていると以前のBARKSインタビューでお話しされていましたが、今回もそうですか?
HYDE:そうです。日本語でガーッと書いて、それを英語にしてもらう感じですね。
──今回、sexyとかecstasyとか、使われている言葉に妖艶さがあるというか、大人にこそ響くロックのグラマラスさを感じたのですが、意識的にそうされたのでしょうか?
HYDE:いや、僕はそういう下ネタは興味ないんですけど。Aliじゃないですかね?
──ははは。Aliさんがちょいちょいそういう言葉を入れ込んできた、ということですか(笑)?
HYDE:そう、ちょいちょい入れてくるんですよね(笑)。
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| ▲HYDE |
──ははは。そんなわけはないと思いますが(笑)。レコーディングはいつ頃なさったのでしょうか?
HYDE:曲の原型は2月ぐらいにでき始めていて、レコーディングは最初、6月ぐらいに録ったんですけど、今回は時間があったから、気に入らない部分を何回も歌い直したので。結局8月までレコーディングしてました。ミックスはアメリカとのリモートでのやり取りだったんで、何回もミックスして、気に入る形になるまでやりましたね。
──特に時間を掛けたのはどの部分ですか?
HYDE:サビは合唱なので別として、歌い始めの“Wake it up”の“up”の発音が難しくて。この1行だけで200テイクぐらい歌いました。
──えっ、そんなにですか?!
HYDE:ははは。それぐらいこだわりましたね。自分的に“もっといいニュアンスで歌いたい”というのもあったし。あと、“Just let it out”も難しかった。ここはメロディーも変えたし、さらにカッコよくしよう!みたいな感じで。
──納得いくまでつくり込むことができたレコーディングであり、ミックスだったのですね。そしてカップリングには「GLAMOROUS SKY」のフェスヴァージョンを収録されますが、これはどういう経緯があったのですか?
HYDE:この曲は元々、フェスで起爆剤代わりにやっていて、すごく盛り上がるんですよね。その時もPABLOにアレンジしてもらったんですけど、これを音源化したらさらに盛り上がるんじゃないか?という、単純な流れで(笑)。本当は今年の夏フェスまでにリリースしたかったんだけど。コロナがなければリリースしてたでしょうね。次のフェスまでに聴いておいてもらえれば、と。僕が今やろうとしている音楽とは全く違うんですけどね。頑張って寄せたけど、これが限界かな?という感じ。でもフェスでは盛り上がると思いますよ。
──かなりパンキッシュなアレンジになっていますね。元々2006年に映画『NANA』の主題歌として中島美嘉(NANA starring MIKA NAKASHIMA名義)さんへの提供曲として生み出されて、2009年には英語詞でセルフカバーなさっています。長年にわたり幅広い世代に認知されているアンセムとなっているわけですが、今改めてこの曲に感じる魅力、制作当時には気付かなかった良さもあったりしますか?
HYDE:いや、当時も“いい曲できたな”とは思っていましたけど、こんなに人に愛される曲になるとは思ってなかった。もちろん映画の影響がすごく大きいし、あの映画がロックに、ロッカーに与えた影響というのもあるからね。だから、フェスに来る子たちはみんな、この曲を一緒に歌ってくれるし、“これは使わない手はないな”と思って(笑)。それをさらにもっと盛り上がるヴァージョンに変えたらきっといいだろうなという感じですね。
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| ▲HYDE |
──配信ライヴに限らず、HYDEさんは公式チャンネル『HYDE CHANNEL』などを通じてオンラインでファンの方との交流を深めていらっしゃいます。ライヴでの直接対面がしづらいコロナ禍において、その魅力をどういうところに感じておられますか?
HYDE:映像を観ながらみんなでチャットしたりするのはすごく面白いですよね、盛り上がるし。最初はL’Arc-en-Cielの“#エアMMXX”だったかなぁ。
──あの交流は素晴らしかったですね (※コロナの影響で4公演が中止となったL’Arc-en-Cielの<ARENA TOUR MMXX>。ファンクラブ限定公演2DAYSの初日が開催されるはずだった2月28日、“#エアMMXX”を付けた幻のエアライヴがTwitter上で展開。HYDEが参加して祭り状態に)。
HYDE:実際にはライヴは行われなかったんだけど、“今、物販並んでまーす!”みたいなツイートをファンの子がして、最初びっくりしたんだけど(笑)。想像でコンサートをツイートして行くやつ。あれがきっかけかな?
──ファンの方たちの投稿を見掛けて、“お、これは自分も降臨しよう!”と思われた、ということなんですか?
HYDE:そうそう、“面白いことやっとるなぁ”みたいな。ファンの子たちとこうやって何かひとつ一緒になって発信するのは面白いなと思って。それで、自分のチャンネルとかでもファンの子たちと一緒に映像を観ながら配信したり、2019年末のマーヴェリックのイベント<Trigger In The Box>をファンの子とオンラインで一緒に観ながらコメントしていったりとか。すごく盛り上がるんですよね。あれは楽しい。
──そうでしたね、<Trigger In The Box>の事後配信はHYDEさんの旗振りで決まったと聞きました。
HYDE:そうそう。だって、みんなが「家にいろ」って言われてたわけで、“みんなが暇なんであれば、どんどん配信すればいいのに”と僕は思ったから。新人バンドにとっては超チャンスじゃない? 僕とか先輩アーティストもいっぱい出てたイベントだから、みんなが“観たい!”と思うだろうし。「僕が先導するから」と提案して形になったんです。
──愛情深い方だなと感じるエピソードです。
HYDE:いや、そういうわけではないんですけどね。僕はファン目線なんですよ。だから、“あれを観られたら楽しいのにな。ファンはきっと喜ぶだろうな”とか、常にファンの気持ちになって考える。ホームページひとつ取ってみても、“これ、ファンの気持ちで見たら分かりにくいよ?”とか。もう純粋にそれだけですよ。かといって、やるべきことを全部やっているか?というと、そうではないんですけどね。自分がいいと思ったことはなるべく、僕がめんどくさくなければやりたいってだけです(笑)。









