【インタビュー】TEARS OF TRAGEDY、新たな幕開けを宣言するアルバム『TRINITY』をリリース

東京を拠点に活動してきたTEARS OF TRAGEDYが、4枚目のアルバム『TRINITY』を完成させた。タイトルに冠された言葉が意味するものは“三位一体”。今回の制作に向けて、バンドはHARUKA(vo)、TORU(g)、HAYATO(key)という初期の3人編成へと戻った。彼らは何を思い、どんな未来を見据えているのか。自身が影響を受けてきた様々な音楽性を巧みなバランス感覚で融合させた、各方面から「最高傑作」との声が寄せられる本作について、メンバーに話を聞いた。
■自分たちが好きだったものを
■もっと素直に出してもいいんじゃないかなって
――今回のアルバムの制作に当たって、活動初期の3人の体制に戻りましたよね。その過程においては、TEARS OF TRAGEDYはどうあるべきなのか、どうありたいのか、改めて考える機会もあったと思うんです。今、TEARS OF TRAGEDYはどんなバンドなのか、自分たちの言葉ではどのように説明できるでしょう?
TORU:一応、メタルというジャンルに分類はされると思うんですね。ただ、自分たちの世代も関係あるんですけど、90年代ぐらいが青春だったので、その辺の時代のJ-ROCK、J-POPの要素を、こんなにも上手くメタルに混ぜたのは自分たちだけだという自負はあります。意図的にそうしようと思っていたわけではないんですけど、結果的に他のアーティストとの差別化もできてると思うんですよ。昔はそういう要素を出さないようにしてたんです。むしろ、海外バンドと同じようなことをして彼らに並びたかったので。でも、音楽なんてもっと自由にやっていいはずなのに、逆に縛られているように思えてきて。自分たちが好きだったものを、もっと素直に出してもいいんじゃないかなって。
――1stアルバム『ELUSIVE MOMENT』(2011年)をリリースした頃には、そういう考えに至っていたんですか?
TORU:いや、その頃はまだなってないですね。2nd(『Continuation Of The Dream』/2013年)の後かなぁ。
HAYATO:どんどん制限はなくなってきてるよね。
TORU:ありがちだと思うんですよ、「メタルバンドはこうあるべきだ」みたいなのって。よくも悪くもフォーマットが決まっていると言えば決まっているので、ただそれに従っていると単なる焼き直しになってしまう。そういうのは避けたいですし、自分たちらしくあるために、ひたすらオリジナリティを追究したいと思っているんですよね。だからこそ、いろいろ勉強して、研究して、挑戦して、試行錯誤を繰り返してきて。
――基盤はヘヴィ・メタルにあるということですよね。
TORU:それはもう抜けないところではありますよね(笑)。そんなにメタル・バンドということにこだわっているわけではないんですけど、長く聴いた、一番影響を受けたジャンルではありますし、血となり肉となっているのはありますよね。もともと俺はSIAM SHADEが好きで、HAYATOはX(X JAPAN)がすごく好きでしたし。
HAYATO:そういった影響はどこかで出てきちゃうんですよね。もっと遡ると、入口はMALICE MIZERだったんですよ。「月下の夜想曲」を聴いて、「何だこれは!?」と思って。シンフォニックな要素はそこですよね。あとはL’Arc~en~Cielとか。
TORU:L’Arc~en~Cielは共通するところかもしれない。
――SIAM SHADEにしろ、L’Arc~en~Cielにしろ、MALICE MIZERにしろ、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを聴いて育ってきた人たちですよね。
TORU:そうなんですよね。通ってないわけがないという。みんなDEAD ENDが好きだったりとかあるじゃないですか。
HARUKA:TEARS OF TRAGEDYのよさは、そういったメタルのサウンドに自分みたいな、いわゆるポップスっぽい普通のヴォーカルが乗るものなので、私もそういうふうに歌わなきゃいけない、それを全うしなきゃいけない……そう思ってたわけじゃないんですけど、3枚目(『STATICE』/2016年)ぐらいまでは、それが当たり前だと思ってたんですね。でも、今回のアルバムでは、ちょっと遊びに入ったというか、今までと違う、いろんな自分も出してみたいなと思って取り組んだところがありますね。
――何かキッカケがあったんですか?
HARUKA:毎年出ているカヴァー・イヴェントみたいなのがあるんですけど、去年の夏はたまたま椎名林檎さんの曲だったんですね。ただ、もともとがすごく癖のある人なので、そっちに寄せるよりは自分の歌い方で歌ったほうが個性が出るんじゃないかなと思って、リハーサルで歌ってみたんです。そしたら、あまりにつまらなすぎちゃって、自分も周りもがっかりしちゃったんですね。そのとき、このままじゃいけないなと思って、本物に寄せるわけじゃないんですけど、わざと癖をつけて歌ってみたら、そっちのほうがよかったんです。何でこれを今までやらなかったんだろうって思うぐらい。今回はそういった歌い方にも挑戦したところがありますし、そこが前回までとは違うかなと思います。

――そのヴォーカルの話も含めて、より自由に自分たちらしさを押し出す、表現することが、今回の『TRINITY』における大きなテーマだったわけですね。
TORU:変な話ですけど、3rdアルバムを作る前から4枚目のことを考えてて、これが出来上がったら、きっとこの先にどう自分たちが舵を切るか、進化するかが見えてくるだろうなと思ってたんですね。実際に『STATICE』をリリースした後は、予想していたとおりに、次はこういくのかなぁと何となく思ってたんですけど、意外とそうならなかったんですよ。(前作から今作までの)期間が空いたというのもあったり、EPICAの『進撃の巨人』のカヴァー・アルバム(『EPICA VS attack on titan songs』/2017年)を聴いたときに、久しぶりにシンフォニック・メタルですごく感動したんですよ。それがキッカケとなって、血が滾ったというか、今回はもうちょっと激しめにいってもいいかなと思うようになったのはありましたね。なので、ただ自由にというよりは、ちょっとハードにしたいという思いが結構ありました。
――実際にハードな音にしてきたなという第一印象を抱きますからね。
HAYATO:自分の場合は、たとえばトランス系とか、デジタル・サウンド的な要素をいろんな曲に入れていけたらいいなというアイディアはウッスラとあって。そしたら結構、そういうのが合うんですよね、今回の曲は。それに合わせて作った曲もあるんですけど。その点は、今までと与える印象が違うと思うんですよ。ピアノとか、ストリングスとか、今まで大事に使ってきたものを主軸として残してはいるんで、その辺がどう出るか、お客さんの反応が楽しみですけどね(笑)。
――トランス系などの要素を入れてみたいと思う理由もあったんですか?
HAYATO:多分、今までやってなかったというのもあるし、実はやり方がよくわからなかったんですよ。機械が苦手で敬遠してたというか……お年寄りがケータイ持たないみたいな(笑)。でも、やってみたら、思っていた以上に簡単で、ちょこちょこっとやるだけで、ものすごい広がりが得られたんですよね。そこで味をしめたら楽しくなってきて。ただ、バンド・サウンドに馴染ませるうえでは、また話は別になるので、そこはかなり試行錯誤もあったんですけどね。
HARUKA:今の話は「クロノメトリー」のことを言ってるんですよ。もともと私は4つ打ちみたいな曲がすごく好きなので、こういうのにチャレンジしてみたらどうですかと、リクエストをした曲だったんですね。多分、今まで通りの曲は言わなくても勝手に作ると思うので(笑)、そうではない、TEARS OF TRAGEDYはこういうのもできるんだなと思ってもらえるような曲を書いて欲しいなと思って。
HAYATO:ただ、それキッカケで作り始めた曲ではない。何がキッカケだったのかは覚えてないけど(笑)、そう言われたときには、もうすでにイントロがあったの。じゃあ、このアイディアを元にして、とことんまでやってみようと思ったんですよね。だから、たとえば、間奏の部分でもトランスっぽい音色がガンガン出てくるんですよ。

▲HARUKA(vo)
――でも、90年代J-POPを通っている世代からすると、小室哲哉イズムと言いますか、むしろ馴染みがあるような音ですよね。
HAYATO:通ってますからね、あの辺の時代を。小室哲哉は結構好きでしたね。globeとかも昔は聴いてましたね。
HARUKA:どうしても懐かしくなっちゃうんだよ。
TORU:ユーロビートも好きだったもんね。
HAYATO:ユーロビートはすごい好きだった。でもあのケバい感じっていうんですか?(笑) ああいう感じはあまり出したくないなとずっと思ってたんですよ。でも、「クロノメトリー」に関しては、そういう雰囲気も最終的には入れちゃいましたけど。あの当時は『DANCEMANIA』とか『SUPER EUROBEAT』とかが流行ってて、「Night Of Fire」とかダンス・ミュージックをよく耳にしてたんですよね。Folder5とかもめちゃめちゃユーロビートだったし。だからちょっとデジタル・サウンドを入れたんだけど、それにしても古臭いみたいな(笑)。似ているようで、ちょっと違うんですよね、使ってる音色の系統というか。
HARUKA:メロディ・ラインが90年代だから、絶対に今っぽくならないし……。
TORU:音色探しの旅をしながら、わりと新しめのものを導入したりしたんですけど、これはちょっと違うみたいな感じになるんですよね(笑)。
HAYATO:だから好きなんですよ、あの2000年問題の辺りの音が(笑)。とはいえ、まだ改良の余地があるんで、成長の伸び代があると思ってます、自分では(笑)。

■何か攻撃力が足りないなと
■思うようになってきちゃって(笑)
――このアルバムに向けて最初にできた曲はどれになるんですか?
TORU:HAYAちゃんの「Innocent gram」かな?
HAYATO:あぁ、それも結構前だね。
TORU:このアルバムの中ではかなり初期からあるものですね。すでにライヴでもやってましたし。
――この曲が、アルバムを作る上で軸になったということはないですか?
TORU:特にそういうことはなかった(笑)。
HAYATO:入れ場所がなかったからここに滑り込んだ(笑)。
TORU:そういうことではないんですけど(笑)、『STATICE』を出した後に作った新曲だったんで、必然的にここに入ってきましたね。
――その後に曲が揃ってくる中で、今回のアルバムにおいて象徴的だなと思うような曲もありました?
HAYATO:うーん……担当する楽器によって変わってくるかもしれない。
TORU:でも、EPICAがキッカケでシンフォニック要素を強めたというのもあったりもしましたけど、HAYAちゃんが、3rdを踏まえて、もうちょっと強めの曲を久々に書いてみたらどうみたいなことを、僕に言ってきたんですよ。前のアルバムやその前のアルバムで、ちょっと長尺な曲とかはHAYAちゃんに任せてた部分があったんですよ。でも、ちょうど滾ってたのもあって、久々にちょっとやってみようかなと思ったのが、「時に鏡は嘘をつく」という曲で。それを作っている間、だんだん自分もそういうモードになってきたんですよね。だから、それまであったデモを聴き返したときに、何か攻撃力が足りないなと思うようになってきちゃって(笑)、全体がそういう方向に引っ張られたところもあると思います。「幽玄」や「Outsider」は明らかにそうですね。
――確かに激しいテイストが出ていますよね。
TORU:デジタル・サウンドという観点で言えば、「Anonymous」は仮タイトルが“近未来”だったんですよ。そこで近未来感をもっと出したいということで、HAYATOがいろいろと音を足してくれて、よりそういう世界観が出た、オリジナリティのある曲になったんじゃないかなと思いますね。メロスピと言えばメロスピですけど、今までにないような感じだと思いますし、じゃあ、J-ROCKにあるかというと、こういう曲はないと思うんですよ。そういう意味でも面白い曲になったなぁと思うんですよね。
――作曲段階でも近未来がテーマだったんですね。
HAYATO:そうですね。ピコピコしてるんですよね、何か近未来のイメージっていうと(笑)。昔、NHKの『みんなのうた』で「コンピューターおばあちゃん」って曲があって、それがピコピコしてたんですよ。YouTubeで聴き直したら、子供の頃に思ってたほどピコピコしてなかったんですけど(笑)。でも、「Anonymous」はコード進行がなかなか劇的になっているので、それに合わせて作ってみたら、上手くいったという。キレイだけど、ちょっと奇妙で規則性がない感じなんですよね。
HARUKA:私が「Anonymous」を最初に聴いたときのイメージは、90年代後半ぐらいのパソコンのスクリーンセーバーとかの映像ってわかります? ちょっとずつウニャウニャ動いてるみたいな。あれだったんですよ。だから、今の視点ではなく、何十年か前に戻ったような感覚で、その頃に思う未来ってこんな感じなんじゃないかなというイメージで歌詞を書いていきましたね。
――そう。“Anonymous(匿名)”というと、昨今ではとかくインターネットの世界の話題になりますが、歌詞を追っていくと、<ボタン一つ>といった、インターネットではなさそうな言い回しが出てきますよね。
HAYATO:ボタンということで、一昔前な感じはあるよね。
HARUKA:そんな感じ。どっちかというと、パソコンというよりは、携帯電話みたいなイメージかもしれない。でも、電話がどうとか、具体的な言葉はあまり出したくないんですよ。いろいろ想像して欲しいなというところはありますね。

――でも、その世界に対して思うところが常々あったということですよね。
HARUKA:そうですね……でも、この曲に関してはですけど、自分のことや自分の思っていることではなくて、世の中にこういう人もいるんじゃないかなとか、想像のほうが大きいかもしれないですね。
――その意味では、「時に鏡は嘘をつく」は、より自分の思いや心情が出ているのかなと思いますが。
HARUKA:この曲の歌詞はTORUとの共作なんですよ。1番がTORU、2番が私みたいな感じなんですけど、曲がTORUから上がってきたときに、この曲は歌詞を書いてるから、ちょっと待っててみたいな話があって。でも、だいぶ待たされたので(笑)、私もこんなイメージかなみたいなものを作っておいてしまったんですね。ただ、その後にTORUから送られてきた歌詞が、自分が思っていたのと全然違ったんですよ。これは自分のイメージを壊して、そこに合わせに行くのか、どうしようかなと思ってたときに、1番と2番でまったく別の人が作って歌ってる感じも面白いんじゃないかなと思ったんですね。そこであえて、二人のイメージをそのままにして、一つの曲なんですけど、二人が歌っているような感覚で作ったんですね。
――なるほど。だから、鏡だけれど、写し絵になっていないといった意味を持つ、このタイトルも導き出されたわけですね。
HARUKA:そうです。まったく別々のものが映っているということですね。
――TORUくんはこの曲に関しては、歌詞まで書きたかったわけですよね?
TORU:いや、案外そうじゃないんですよ(笑)。とにもかくにも僕は音が先なんですね。何かテーマや思いに沿って曲を書くとかではないんです。今までもたまに少しだけ書いたりはしてたんですけど、そうすると(HARUKAが)助かるみたいなときもあったので、今回はこの曲の雰囲気に合うように、自分なりに書いてみた感じですね。
――ただ、いざ書くとなると、必然的にいろんなものを見つめ直したり、考え直したりしますよね。
TORU:そうですね。まぁ、4年間いろいろあったので、それを思い返したりしたかもしれないです。やっと動き出せるというところもありましたので。短いですけど、そんな苦悩が込められているかもしれないですね。
――一方のHARUKAさんはどのように自分の歌詞を書いていったんですか?
HARUKA:「時に鏡は嘘をつく」って、このアルバムの中で一番シンフォニック、クラシカルな感じですけど、どちらかというと攻撃的な曲だと思うので、それをイメージして、何か反抗的な態度を取ってみました(笑)。
――何かの物語をモチーフにしたような内容にも思えますよね。
HARUKA:具体的なしっかりしたストーリーがあるわけではなく、雨の中で、裸足で、行く宛もなくいる女の子がいて、その子がどう思っているかなぁみたいな。そういう映像から来ているかもしれません。
――<奥深き傷を負った心臓に>という一節がありますが、ここで“心臓”という言葉を使ったのはなぜだったんですか?
HARUKA:“心”と書くとちょっと柔らかいですけど、“心臓”という言葉を使うと、ドキッとする感じがするんですよね。歌詞を書く場合、ある程度、音に合わせて言葉をはめ込まなきゃいけないので、同じような意味の類語を調べたりして言葉を選ぶこともあるんですけど、ここは特に意識したわけではなく、スラッと出来上がった感じではありますね。
――言葉的にキレイに響かせるのであれば“心”だったと思うんですが、“心臓”にすることで、毒々しさなども表れますよね。ここは曲の強さにも関係していると思いますが。
HARUKA:そうですね。この曲だからこそだと思います。
――「時に鏡は嘘をつく」は間奏も凝っていますよね。
TORU:僕、DREAM THEATERとかがわかりやすくて好きなんですけど、演奏の難しさではなく、リズムの面白さとかを追究してて。あとは低音のピアノの音が好きなので、そういうものも入れたいなと思ってました。その後に、HAYAちゃんがストリングスで下から上がってくる、迫ってくるようなアレンジをしてくれて。あれはHAYAちゃんの功績が大きいんじゃないですかね。
HAYATO:ストリングス・アレンジは一番力が入っているかもしれないですね。
――イントロダクションの「Trinity」に導かれる実質的なオープニング・トラック「Nonsite」は、1曲目らしい開けた印象を与えつつ、いろんな思いも込められていそうですね。
TORU:そうですね。毎回、試行錯誤はつきものですけど、すでにあった曲で、この位置に入る曲がないような気がしてたんですよ。でも、この曲を作っていくうちに、その可能性があるなとだんだん思うようになり、サビができたときに、オープニングに相応しい曲がやっとできたという感触があって。自分たちらしさもありつつ。でも、意外と、アルバムの最初の曲で、このテンポでツーバスを連打するみたいなのって、1stのとき以来なんですよね。そういう曲はあったにせよ、オープニングに持ってくるには定番すぎるかなと思ってて(笑)。でも、今回は、結構強めに行きたいという思いがありましたからね。
HAYATO:ツーバス自体は、3rdでもあまり踏んでなかったよね。だから、「おとなしくなった」みたいなことを(リスナーから)言われたんですよ(笑)。
TORU:俺はHAYAちゃんにそれをすごく言われましたね(笑)。
HAYATO:TORUさんが丸くなってきちゃったなぁと(笑)。
TORU:いや、その頃、メタルにどんどん興味がなくなっていったというのも事実で。勉強したいと思う音楽がメタルじゃなかったんですよね。だから、必然的に曲にも攻撃力というか、強さを求めてなかったんですよ。とにかく色彩豊かにしたくて。とかくメタルって、黒とか灰色とか、色のないほうに行きがちですけど、自分が作る音楽は、メタルだろうとなんだろうと、とにかく色彩豊かにしたい。そういう思いがあって3rdはできたんですよ。
――そこで強さも前面に押し出した本作ですが、「Nonsite」は意表を突く強さでしたね。ドラマーにYU-TOくん(THOUSAND EYES、UNDEAD CORPORATION)を起用しているのも、その表れのように思いましたが。
TORU:それはあんまり関係ないかな(笑)。ドラムは細かいところまでデモの段階で自分たちでも詰めていくので。
――ええ。つまり、それを叩ける人を選んでいるということです。
TORU:あ、そうですね。今まではテクニック的な限界を気にして書いてたところもあったんですよ。でも、今回はこの3人で作ると決めて、あとはできる人にお願いしようという考えだったので、曲作りの時点でこのレベルにしたというのは間違いなくありますね。
――特にドラミングに激しさが出ていると思うんです。それはアルバムを聴き進めていく中で、一つの方向性として基盤にあったんだろうなと感じましたね。
TORU:手加減しないって感じですよね(笑)。
HAYATO:YU-TOくんがやってくれるというのであれば、じゃあ、これぐらいやっちゃおうみたいな(笑)。
TORU:その中でも、自分的にはJ-ROCK、J-POPの要素が必然的に出ちゃうので、その辺の激しさとのバランスも上手くいったんじゃないかなと思ってるんですね。
――ポップさと激しさという両極をどう振り切らせるか、その一つの結論がこの曲なんだろうなと思いました。
HARUKA:「Nonsite」はアルバムの最初に相応しい曲だなと思いましたね。当然、MVも撮るだろうし、歌詞に関しても、さっきのTORUさんの話じゃないですけど、この4年間の思いなどの言葉はこの曲に全部集約したんですね。それでいて、TEARS OF TRAGEDYを好きでいてくれる人たちの期待に添うような、正統派でいこうって感じで歌詞を書いて歌って。
――<新しい光へと渡れ>というフレーズは、これはもう自分たちとファンの人たちということでしょうね。
HARUKA:3人になったので、またちょっと違うステージに行っているのかなぁという意味を込めたところですね。
――HAYATOくんは歌詞を見ました?
HAYATO:ちゃんと見てないです(笑)。
HARUKA:ホントに歌詞を見ない人たちなので(笑)。
HAYATO:自分の場合は音で色をイメージするというか。たとえば、「時に鏡は嘘をつく」は真っ茶色なんですよ。オルガンとか、室内楽みたいな……木の色ですよね。「Nonsite」は……青いソーダみたいな色ですかね。たとえば、イントロでシュワッとしている音色が入っているのも、そういうイメージが合うかなぁと思ったからなんですよ。しかも、まず最初にみんなが聴く曲だと思うので、そこでいかにデジタルな要素を入れるかという今回の自分のテーマをわかってもらえればなと。だから曲中はそんなに入ってないんですよね。
TORU:でも、いいアクセントになったよね。

▲TORU(g)
――「幽玄」という曲もまた突進するような勢いに溢れていますね。
TORU:どんどんBPMが速くなっていったんですよ。デモの段階ではもっと遅くて、HAYAちゃんにもっと速くしたらいいんじゃないかと言われて上げて、俺も確かにもっと速いほうがいいなと思ってさらに上げて(笑)。やっぱり、3rdの後に書いた曲って、まだまったりしてた期間が長かったんで、そんなに激しい曲を自分自身も求めてなかったところがあるんですよね。なので、一応、そういうリフから書いた曲なんですけど、やっていくうちに自分自身もテンションが上がっていって、強い方向に最終的に向かっていって。この曲と「Outsider」とかはクワイアをふんだんに使ってみたり……クワイアがしょぼくならないようにというのは課題だったんですよ。
HAYATO:この曲に関しては、デジタル感はなしでいってますね。
――歌詞のテーマ的にはどんなものがありました?
HARUKA:私はネタ探しに図書館とかに行ったりするんですけど、たまたま世界遺産に関する資料を手に取ったんですね。それをペラペラめくっていて目についたのが、ヨルダンにあるペトラという世界遺産だったんです。その画がすごくカッコよくて、この曲に合ってるんじゃないかと思って、それをテーマにして書きました。
――ペトラの映像などを見ながら聴くと、より味わい深く響きそうですね。
HARUKA:そうですね。ただ、そこで何があったとか、そういうことまで調べているわけではないんです。そこまでやっちゃうと、ただそれだけの話になっってしまいがちなので。だからタイトルもペトラにしなかったですし、そこでこういうことが起こっていたんじゃないかなみたいな私の想像を書いたんですね。
――それを“幽玄”というタイトルしたのが興味深いですね。
HARUKA:あぁ。幻想的な雰囲気の言葉にしたかったんですね。あまり直接的な意味にはしたくないんです、基本的には。なので、いいところを突いてたのが幽玄という言葉だったということですね。ちょっと曖昧じゃないですか。
TORU:確かに明確に何かを示しているわけではない。

■季節ものシリーズみたいなのがあるんですけど
■今まで夏がなかったんですよ。
――次の「Innocent gram」という曲は、随分前に作っていたということですよね。
HAYATO:そうですね。サビだけは昔から頭の中にあったんですけど、突き抜けた明るい曲ですね。「It Like Snow」とか、TEARS OF TRAGEDYには季節ものシリーズみたいなのがあるんですけど、今まで夏がなかったんですよ。それじゃあということで作ったんですけど、最終的に行き着いたのが、こういう砂浜で遊ぶ馬鹿野郎どもみたいな雰囲気なんですよね(笑)。でも、イメージはホントにただ明るくということで、TORUちゃんには、SIAM SHADEの「グレイシャルLOVE」とか、そういうギターにしてくれって注文したりして。
――「グレイシャルLOVE」みたいなギターをと?(笑)
TORU:いや、曲の指定はなかったんですけど(笑)、SIAM SHADEっぽいバッキングがいいなぁっていう。いつも基本的に任せてくれるんですけど、初めて具体的なバンド名で注文がきましたね。
HAYATO:でも、思ったとおりの感じになりましたね。キーボードだと、ああいうのは思いつかないですから。
――とすると、歌詞も夏のイメージをリクエストしたんですか?
HAYATO:いや、お願いしますとも言ってないんですけど、夏だ、夏だって、さんざん隣で言ってたんですよ。
HARUKA:あまり歌詞の要望とかはないんですけど、夏、夏ってずっと言われてたので(笑)。しかも曲を聴けば、夏の終りじゃなくて、ギラギラしてる夏なんだなというのがわかったので、ちょっとあざとい感じで歌詞も書いて(笑)。歌い方もあざとさを出しながらでしたね。それが伝わるといいなって思いながら。
――“Innocent gram”とは、どういう意味なんですか?
HARUKA:これは造語ですね。“innocent”は純粋なみたいな意味だと思うんですけど、“gram”はインスタグラムとかのグラムなんです。何か夏の1枚みたいな、写真っぽいイメージなんですよね。

――なるほど。そう説明されると、よりわかりやすくなりますね。重厚かつハードに始まる「Outsider」は展開もまた聴きどころですね。
TORU:ものすごく激しく始まりますけど、ただの予定調和だとつまらないですし、むしろ、その後の展開をこうできるという可能性を出せた曲でもあると思うんですよ。いわゆるJ-POP、J-ROCK的なほうに行って、また少しロックのほうに戻って、中間部分でシンフォニックでキメがあったりとか。自分たちが日本に生まれて、そういった音楽を聴いて育ったからこそ、こういう曲ができたと思うんですよね。海外のシンフォニック・メタル・バンドだったら、もっとストレートにシンフォニックなまま激しく終わると思うんですよ。その意味では、これもシンフォニック・メタルの中では新しい方向にできたんじゃないかなって思いますね。
HAYATO:こういう曲調はアレンジが難しいです。どっちに舵を切ったらいいものか、音色でイメージが決まる部分はあるので。
HARUKA:これは一番、イメージするのが難しい曲でしたね。だから、逆に固定したイメージを作らないで書き進めていったんです。何かよくわからないものから逃げているというか、具体的なものがないんですけど、逃げることができたけれども、逃げるのももうやめた、吹っ切れたような……ちょっと自分でも意味がわからないストーリーなんですよ。
■どこまで行っても
■きっと満足しない自分がいると思うんです。
――「after song」はアコースティックな曲ですが、ハードな印象の曲がある一方で、その対極に位置するものですね。
TORU:自分たちの曲のヴァリエーションの中に、こういうアコースティックな曲を作るというのは、わりと当たり前に選択肢としてあるんですけど、デモの段階から、他の曲と比べて、グッとくるものにしたいなぁと思ってて。最初はもっと平和な、もっと明るいだけの感じだったんですけど、何かワクワクする感じとか、素朴な中にも、幼心にある冒険心だとか、そういうものを感じさせるものがあればいいなぁと思うようになったんですね。あとは3人の感じをより出せればいいなと思って。いつもだったらストリングスとかも入れたりするんですけど、ホントにこのまま演奏できるような形になるべくもってきて。再生したときに、そこで我々が演奏しているかのように聞こえたらいいなぁって思いながら。
HAYATO:シンプルな曲だけに逆に難しいんですよね。転調があれば、ある程度、雰囲気も強制的にドンと変わるんですけど、この曲は転調がないので、どうやって起伏を出すか……しかも、単純に演奏楽器が減れば、その分、ごまかしも効かなくなりますからね。その意味では、和音の選び方から何から、一番気を遣った曲かもしれない。まぁ、バラードはいつもそうなんですけどね、ヴォーカルと音がちゃんと絡むように。
――確かにシンプルな楽曲は音の抜き差しが難しいですよね。
TORU:転調がない分、ギターもほとんどループみたいな感じでいってるんですけど、ちょっと変化をつけるのに、ジャズとかで使うようなコード進行を挟んで、後半に向けていくというのが、自分の中ではアクセントとしてありましたね。
――歌も必然的に前面に出てきますね。
HARUKA:歌も含めて3人でやっているので、すごく細かいニュアンスとか、他のロック調の曲では聞こえないような、歌い出しのちょっとしたブレスとか、語尾の余韻とか、歌い回しには気を遣いましたね。そういった部分がしっかり全部聞こえて、人の耳に届くという意味でも、一番、歌い甲斐がある曲ですね。

▲HAYATO(key)
――これは自分たちの姿を投影した歌詞と言えますか?
HARUKA:いや、どっちかというと……難しいな。私がこうでありたかったなという未来と現実は全然違うんですけど、もしそうであった場合、自分はきっとこうだろうなみたいな話なんですね。違う人生を歩んだ自分。そんなところを書いた曲ですね。
――それは<夢は夢のままで>という表現につながってきますね。
HARUKA:そうですね。具体的なことを言うと、もっとバンドで大きくなりたかった……バンドでというか、音楽をもっとやりたかったんですけど、仮にそうだったとしても、どこまで行っても、きっと満足しない自分がいると思うんです。ただ、世界が大きくなればなるほど、重圧も大きくなる。そういうものに耐えられなくなってやめてしまう自分もいる……何を言ってるかわかるかな?(笑)
――<私は私を辞めたんだ>と終わる最後の一節がものすごく余韻を残す。どういうことなんだろうと、聴き手も思いを馳せることでしょうね。
HARUKA:そう思ってもらえたら嬉しいですね。その後のことは語らないけれど、どうなっちゃったんだろうって、いろいろ考えて欲しいなぁと思います。
――捉え方によっては、この人はここで命を落としたとも読み取れる。
HARUKA:そうですね。それでも正解だと思ってます。
――メロディック・スピード・メタル曲の「No.05」はHAYATOくんの作曲ですね。
HAYATO:これは1stアルバムの「Silence Ocean」みたいな、ちょっと速い、原点回帰的なものをやりたいと。大好きなXの「Silent Jealousy」みたいなことをやりたいと(笑)。全然違いますけどね、曲の感じは。ちょっと変わったことと言えば、間奏のピアノのところは、普段はやらないような、ちょっとお洒落な感じの要素を入れたりもしたんですけど、この曲はそんなに転調する曲でもないですし、構成も「Silence Ocean」とそっくりですね。イントロがあって、Aメロがあって、Bメロがあって、間奏にいって、またAメロが……これは1周目のAメロとは違うんですけどね。歌詞とかに関しても何もリクエストしてないんですけど……氷の世界ってイメージがあったぐらいですかね。
TORU:冬っぽいって言ってた気がする。デモが届いた時点で、「Silent Jealousy」強化版が来たなと思いましたね(笑)。その辺のBPMが好きなのは知ってるんですけど、それよりもうちょっと冒険しているテンポなんですよ。ただ、スピードが速いとフレーズにも制限がかかるというか、選択肢が限られてしまうんですよね。その中でどのように曲を彩るかというのが毎回速い曲での課題なんですけど、「Silent Jealousy」であるようなギターのバッキングを、わりとそのままやっているバンドもあると言えばあるんですけど、自分は絶対にそれをしないと決めているんですよ。差別化する意味でも、ヴァリエーションをつけるためにも。ギターは基本的に任せてもらっているので、より曲に幅が出るような方向で考えてますね。
――また意味深げな歌詞でもありますね。
HARUKA:そうですね(笑)。これはすごい抽象的な歌詞にしたんですけど、イメージしている特定の人物がいるんですね。ただ、聴く人にその印象がついちゃうとよくないので、具体的なことは言わないようにしてるんですけど……カメラを睨みつけているようなイメージなんですね。それに一番ハマるのは、このアルバムの中でこの曲だったんです。
――<僕だけが悪ですか?>といった、どう捉えればいいのか迷うフレーズも出てきますね。
HARUKA:何か難しいな……こればっかりなんですけど(笑)、どういう捉え方でもできるようにとは思って書いてはいるんですね。(言葉や場面が)つながってはないかもしれないですけど、そういった言葉ばかりをつらつらと並べて作った感じですかね。
――その特定の人に言い聞かせるような側面もあるのかなと思いましたが。
HARUKA:どうなんだろう……私がイメージしている人物は、きっとこう思っているんじゃないかなみたいな……ちょっと伝えるのが難しいですね。
――「frost flower」はピアノ始まりの曲ですが、TORUくんの作曲ですね。
TORU:作曲するときに鍵盤をかなり使うので、こういうフレーズも普通に自分で弾いて考えていることは多いんですよね。曲としては3rdの延長線上で、結構柔らかい曲がいくつかある中で、これもその一つだったのかなと自分的には思うんですけど、当初はそれに近い曲調のものを他にも収録したいと思ってたんですよ。そんな中でHAYAちゃんが、この曲は群を抜いていいと言ってくれて、なおかつ、「冬の曲だ」って高らかに叫んでて(笑)。自分はそんなつもりでは作っていなかったんですけど、どんなアレンジをしてくれるのかなと思ったら、ホントに冬を感じさせるようなものになってて。そこから一気に、じゃあそういう方向で作っていこうというふうになりましたね。さらに、この曲はメタル・サウンドにしたくなかったんですよ。TEARS OF TRAGEDY流のポップスでいいなと思って。こういうことをやっていいバンドだと思ってるんですよね。
――ギター・ソロもクリーンで聴かせますよね。
TORU:そうそう。それは初挑戦でした。実際に弾いているのはエレキなんですけど、箱物のギターをイメージして。
――HAYATOくんは冬を感じて、アレンジを進めたと。
HAYATO:そう、幸せな感じの冬なんですよ。「It Like Snow」とはまた雰囲気が違っていて、ウキウキした……だから、こっちも夏と一緒で、リア充の冬って感じですね(笑)。恋人はちゃんといます、仲良く買い物して、デートして、帰る。そういう冬なんですよね、イメージとしては(笑)。
――そういう歌詞じゃないですけどね(笑)。
HAYATO:そういう俺のイメージは無視しますから(笑)。
TORU:クリスマスとは言わないまでも、冬の時期にやっているお祭的な、イベント的なイメージという。
HAYATO:そう。サンタクロースみたいな感じなんですよ、ホントに。PVの映像まで浮かんだぐらい冬だったんですよ(笑)。でも、何がそうさせたのかはわからないんだよなぁ。
HARUKA:お祭のような冬のイメージだよって話は、私はされた記憶がないんですけど(笑)、冬の曲だよと渡されたんですね。そこで、TEARS OF TRAGEDYにはすでに冬の曲があったので、それの数年後、続きみたいなイメージで書いていくのはどうかなと思ったんですね。今までやったことがなかったので。
――<本のページをめくるように>という表現も印象的ですが、一つの別れがあり、その後ということですね。
HARUKA:そうですね。それを経て、嫌なこともいい思い出として捉えられるようになったぐらいの頃に、みたいな。だから、ページをめくっているのは、その前の曲のページをめくっているイメージなんですね。だから、その頃はその頃で、本を閉じて、さぁまた行こうみたいなイメージではあります。
――<また>という言葉も何度も出てくるんですよね。
HARUKA:そう。あえて前の曲と同じ歌い終わりをしてるんですよ。結局、同じようなことを繰り返してるじゃないですか、人生って。いいことも悪いことも、こんなことは前にもあったなぁみたいな。成長しているようで、あまりしていなかったり。そういう意味も込めて、<また>を多用しているんだと思います。
――冒頭でも話題に出た「クロノメトリー」は、アルバムの最後に置くことを念頭に書かれたようにも思えますね。
TORU:聴いたときに、必然的にこれは最後かなと思ったんですけど、みんな何も言わずとも同じような感覚で。だからすんなり決まったんですよね。
HAYATO:とはいえ、最後っぽくしようとしていたわけでもないよね。
HARUKA:だから歌詞も締め括りとしては書いてはいないんですけど、明らかに今までとは違う1曲だなと私は思ったんですよ。どっちかというと、曲に合わせてポジティヴに、あまりひねくれずに書きたいなと思ってて。飛んでるイメージみたいなんですよ。
――「飛んでる」というと?
HAYATO:おじさんが飛んでるイメージ(笑)。
HARUKA:でも、それは違和感があるので(笑)、もうちょっと若い人たちが飛んでるイメージに落として書きました。
――でも、それが“クロノメトリー”というタイトルになったのがすごく不思議ですね。
HARUKA:これもすごく紆余曲折があったんですよ。最初、ジオメトリーという、幾何学を意味する言葉があって……。
――歌詞にも出てきますよね。
HARUKA:そうですね。幾何学模様って、無限ループしてるというか、全部がつながっていて、終わりがないイメージなんですけど、そういうところを辿っているイメージだったんですよ。でも、ただジオメトリーという言葉では表現できないなと思ったんですね。そこで時を意味するクロノという接頭辞をつけて、クロノジオメトリーにしたんです。でも、意味合い的にはよかったんですけど、響きが好きになれなくて、ギュッとしてクロノメトリーにして。絶対的にカタカナにしたかったのもあって、カタカナで書いたときにいい感じになるようにというのもありますね。
――なぜカタカナにしたかったんですか?
HARUKA:私、カタカナ英語みたいなのがすっごい大好きなんですよ。何でもそうなんですけど、インフルエンサーとか……。
――インフルエンサー?(笑)
HARUKA:何かわかんないんですけど(笑)、よく曲のタイトルでもあるじゃないですか。ああいうものにすごく目を惹かれるんですね、何だろうこの曲はって。そういうものが今回のアルバムに1曲欲しかったんですよ。そこでどれがいいかなと思っていたところ、心機一転の曲ではあったので、きっとこの曲だろうなと思って。
――言葉を辿っていくと、このアルバムは光に始まり、光に終わるんですよね。
HARUKA:あぁ、確かに。コンセプトみたいなものを立てたり、全部ストーリーになってるアルバムってあるじゃないですか。そういうものではまったくないし、この曲がアルバムの最後になることも後から決まったことなので……でも、ここは狙ってしましたと言っておいたほうがいいですか?(笑)
――むしろ、狙ってなかったというほうが神秘的だと思います(笑)。
HARUKA:まったく狙ってはないです。でも、TEARS OF TRAGEDYの代名詞みたいなものだと思うんですよね。クラシカルな曲とか、シンフォニックな曲とか、いろんな曲がありますけど、多分、ちょっとキラキラしている、光のある曲みたいなものが、TEARS OF TRAGEDYのイメージだと思うんですよ。
TORU:意外とロマンティストかもしれないけどね。
HAYATO:相当ロマンティストだよ。
――この3人で新たに始めるというタイミングゆえに、それぞれが見ていた新しい光が、自然と言葉なり音なりに出てきたという解釈もできそうですね。
HARUKA:確かに。3人全員が思っているかどうかはわからないですけど、もしかしたらそういうものが表れているのかもしれません。
――さて、本作のリリース後は、通常であればライヴをという計画ではあったと思うのですが……。
TORU:そのつもりでいたんですが、こういう事情ですので……アルバムの発売日自体も、当初予定していたものより後ろになったんですよね。希望的観測で、もし(新型コロナウイルスの感染拡大が)収まっていたら、ライヴができるかなと思ってて。でも、2020年も終わりに近づいていますが、まだまだだと思うので、年明けに無観客ライヴの配信をしようと考えております。
HARUKA:新曲を聴いてくださったみなさんに、お披露目したいですし。どういう形であっても、レコ発はやりたいですからね。
取材・文:土屋京輔
リリース情報
タイトル:『TRINITY』
発売日: 2020年11月25日(水)
レ-ベル: Walkure Records
品番:WLKR-0050
定価:¥3,000+税
<収録曲>
1. Trinity
2. Nonsite
3. 幽玄
4. Innocent gram
5. Anonymous
6. Outsider
7. after song
8. No.05
9. frost flower
10. 時に鏡は嘘をつく
11. クロノメトリー
ライブ・イベント情報
TEARS OF TRAGEDY初の無料配信ライヴ
Streaming Live「RGB」
配信日時:2021年1月31日(日)
配信スタート 20:00 (おまけ映像 19:30)
※LIVEパフォーマンスは事前収録となります。
■視聴ページ:YouTube channel
https://www.youtube.com/user/TearsOfTragedy2008
■アーカイブ配信
公開開始から2月1日(月)24:00まで





