【ライヴレポート】flumpool × UNISON SQUARE GARDEN、「憎めないイイ人たち」

雑誌『音楽と人』主催イベント<新木場クロッシング>が3月8日、新木場STUDIO COASTにて行われた。出演はUNISON SQUARE GARDEN、flumpool。ともに2008年にメジャーデビューを果たし、それぞれのやり方で戦い続けながら、自分たちのアイデンティティを確立してきた。この2組による真っ向勝負となったライヴの模様をレポートする。
◆flumpool × UNISON SQUARE GARDEN 画像
先攻はUNISON SQUARE GARDEN。鈴木貴雄(Dr)、田淵智也(B)、斎藤宏介(Vo&G)の順にステージへ登場。いつものオープニングSEであるイズミカワソラの「絵の具」のピアノサウンドを「天国と地獄」の重厚なイントロが突き破り、ライヴをスタートさせた。獰猛な動物のように暴れまわる3人の音に煽られるようにして、超満員のSTUDIO COASTのフロアも一気に最高潮へ。続いて「シュガーソングとビターステップ」を畳み掛け、久々に披露された2ndアルバム『JET CO.』収録の「ライドオンタイム」では、田淵がベースを持ちながら縦横無尽に動き回る。


MCでは斎藤が、UNISON SQUARE GARDENとflumpoolがデビュー2ヵ月違いのほぼ同期であることに触れた。
「鳴り物入りでデビューしたと思ってたのに、そのすぐ2ヵ月後には、それまで可愛がってくれていたメディアの人たちが根こそぎflumpoolのほうにいっちゃって。その時ばかりは心のデスノートに筆圧キツめにflumpoolの名前を書いたけど(笑)、実際に会ったらすごく憎めないイイ人たちで。すぐにデスノートに書いたことはゴシゴシと消しました」──斎藤宏介


3ヵ月間にわたる全国ツアーを約1ヵ月前に終えたばかりのメンバーは、ひさびさにライヴで披露するナンバーを随所に織り込みながら、磨きのかかった3人によるバンドアンサンブルでみせていく。自分たちのいつも通りのやり方で会場に集ったオーディエンスを誰一人として取りこぼさない確固たるライヴパフォーマンスで魅了し、ステージをあとにした。

続いてはflumpoolだ。UNISON SQUARE GARDENの興奮冷めやらぬオーディエンスが、登場SEに合わせハンドクラップと大歓声で彼らを迎える。阪井一生(G)のリフに、山村隆太(G & Vo)がさらにギターの音色をユニゾンさせて演奏がスタート。1曲目「覚醒アイデンティティ」から小倉誠司(Dr)が打ち出す雄大なビートに会場全体が飲み込まれた。
「さっきの聞いてたけど、デスノートはダメだろ! 俺も帰ったらデスノート書こっかな~(笑)」──山村隆太


と、先ほどのUNISON SQUARE GARDEN斎藤によるMCを受けて、山村が両者の気が置けない関係性を窺わせる冗談を放つ。続くMCでは阪井が、主催者『音楽と人』の編集長金光氏について、「最初のインタビューで、“前までほんとは、あんまり好きじゃなかった”って書かれることって、ある? 俺も正直最初は金光さん好きじゃなかったけど、怖かったから(笑)」と笑いを誘い、それを山村が「俺も怖かったけど、『音楽と人』はそれだけ正直な雑誌なんだって、今は思ってる」とフォローするなど、雑誌とバンドの関係値が垣間見える一面も。
3月16日リリースのニューアルバム『EGG』から「解放区」と「Blue Apple & Red Banana」を初披露した中盤。「解放区」では、それぞれのサウンドが大きく響きあうスペーシーなアレンジで、オーディエンスを異空間へと連れていった。ラスト曲「明日への賛歌」では、尼川元気(B)と小倉誠司がたびたび顔を向き合わせて演奏し、山村の歌を支える姿も。華々しいメジャーデビューと同時に多くの挫折を味わい、あるときには自分たちが音楽をする目的すら見失いかけていた、と『音楽と人』のインタビューで語っていた4人だったが、この日のステージは彼らの居様をまざまざと感じさせる堂々としたものであった。


お互いの音楽や姿勢にリスペクトをもちながら、それぞれのアイデンティティを一歩も譲らずに繰り広げられた<新木場クロッシング>。ガチンコ勝負の両者の対バンは高湿度の熱気をフロアに残し、幕を下ろした。
■<音楽と人 LIVE 2016「新木場クロッシング」>
2016.03.08@新木場STUDIO COASTセットリスト
【UNISON SQUARE GARDEN】
01. 天国と地獄
02. シュガーソングとビターステップ
03. ライドオンタイム
04. 蒙昧termination
05. ため息shooting moon
06. マスターボリューム
07. like coffeのおまじない
08. 桜のあと(all quartets lead to the?)
09. ガリレオのショーケース
10. harmonized finale
【flumpool】
01. 覚醒アイデンティティ
02. MW ~Dear Mr. & Ms. ピカレスク
03. 花になれ
04. 星に願いを
05. 解放区
06. 夜は眠れるかい?
07. Blue Apple & Red Banana
08. イイじゃない?
09. 明日への賛歌
◆音楽と人 オフィシャルサイト
◆flumpool オフィシャルサイト
◆UNISON SQUARE GARDEN オフィシャルサイト







