ASKA、アルバム『君の知らない君の歌』のアレンジから浮かぶ疑問
“木を見て森を見ず”という言葉がある。作品を制作する上では“木”も“森”も見ないといけないのだが、アレンジとは本来、ある楽曲を一番魅力的に見せる作業であり、アルバム制作で考えた場合、これは“木”を見ているのに近い(逆にこの場合の“森”とは、ある楽曲をアルバムに収録するか否か、収録してまとまりが作れるか、曲順をどうするか、などの作業になると思う)。
「今回のアルバムはレコーディングが先だったのか、それとも選曲・曲順の決定が先だったのか?」
その答えは、結局のところ「同時進行」ということになるのではないかと思ったりもするのだが、もしかしたら『12』や『STAMP』といったセルフカヴァーアルバムを含めたこれまでのアルバム作品と本作とでは、制作時におけるアプローチが違う、つまり、まず選曲と曲順といった“森”の部分を決定し、アレンジもイメージをしっかりと固めた上で、ひとつひとつ形にしていったのではないか。少なくともアレンジに目を向けると、そう考えたほうが合点のいくものばかりなのだ。
いや、“コンセプトアルバム”なのだから、これも当然のことなのかもしれない。ただ、実際にそう“見るか見えないか”は、ぜひアルバムを聴いて、想像してみてほしい。
こんなふうに、恋愛小説集として、それぞれ曲単位でのラブストーリーとして、そしてアレンジという面に注目してと、様々な聴き方をすることができる、言い換えれば、いろんな“顔”を持っている作品、それがASKA『君の知らない君の歌』だ。
なお、そんなASKAは現在、全国各地、そして上海とマカオを回るライヴツアー『ASKA CONCERT TOUR 10 >> 11 FACES』がスタートしている。ライヴでもアルバム収録曲が披露されるので、アルバムを聴いたら今度はASKAの生歌にも触れてほしい。CDや配信音源で聴く以上の感動が、そこには待っている。
◆ASKA オフィシャルサイト(CHAGE and ASKA)
◆ iTunes Store ASKA(※iTunesが開きます)







