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――前作『From
To』は日本のポップスをカヴァーしたアルバムでしたが、今回はオリジナルアルバムですね。早いスタンスでのリリースですが、いつからレコーディングしたのですか?
平原綾香(以下、平原):実は、1月に入って曲を選び始めたんです。
――え? 平原さんが書いた歌詞も多いですが、曲を選んでから歌詞をつけていったんですか?
平原:そうなんです。ありがたいことにタイアップのお話もあって、もう1月は毎日がレコーディング! 自分ギネスに載りましたね。でも、この忙しさのおかげで“がむしゃらな私”を発見しましたね(笑)。インスピレーションで書いた歌詞もあったんで、今、自分で聞いても新鮮だなって思う曲もあるし。
――すごく短時間で濃縮されたレコーディングだったんですね。
平原:そうなんです。もう精神的にも体力的にもきつかったですね。正直投げ出したくなったとこもあったけど、でも、自分がいやだって言って、はね除けることは簡単なんですよね。でも自分から歩み寄って、“自分はどこが嫌いなんだろう?”“なんで嫌いなんだろう?”って考えるようになって……、整理する力がついたかな。毎日レコーディングして、詞を書くのにも時間が限られているって事実をつらいと思うのか、それともそれを生みの苦しみだ、音楽のことで悩めるのも幸せだって思うのかは、自分の心次第でね。そういった後者への結論に行き着いたのは自分の財産になったと思います。
――そういう風に考えを前向きにもっていけるようになったキッカケはなんだったんですか?
平原:それはやはり母の、家族の支えと言葉ですね。今までは私がいいなって思う曲しか歌わなかったんですね。自分の好きなサウンドで、たとえばきれいなストリングスだったり、好きなメロディラインやコード進行のものばかりで。でも今回は自分でも好き嫌いが判断できないような曲でもチャレンジしたんです。今回のアルバムでは新しいものを提示するっていう試みもしたかったから。
――タイトルにもなっている“4つのL”がメインテーマだとしたら、新しいものへの挑戦は裏テーマだと。
平原:ええ。そのメインテーマと裏テーマもリンクしているんです。“4つのL”のうち、Love、Life、Luckは今までも歌ってきたんですけど、4つめのLiveっていうのは2ndツアーを経てもうちょっとアップテンポな曲がほしいな、もっと若い人も聴いてくれる曲もほしいなってライヴ映えする曲を探していたんです。それで新しい曲への挑戦ってことになったんですけど、それが新鮮でもあったんですが、悩みの原因にもなって……。弱気になってやっぱり私らしい曲、補助輪になる曲がほしいって思うようになったんですね。でも、そんなときに母が「(お客様は)あーやの一生懸命歌っている姿に感動するんだから、補助輪がなくってもいいのよ。2006年のあなたのテーマは“猪突猛進”なんでしょう? だから転んだっていいのよ」って言ってくれてね。今までって“平原綾香ってこういうものです”ってショーケースに入れてみんなに提示していた気がしたんですけど、今回はそうじゃないんだなって。まっすぐ突っ込んで、すっころんだ平原綾香を見せていいかなって。
――なるほど。潔いですね。制作期間が短時間だったうえに、相当に悩んだアルバムでもあったんですね。
平原:悩みましたね。一番悩んだアルバムですね。やっぱり作詞作曲はゼロから生み出すことだから大変でした。
――そういったなかで、一番チャレンジしたなって曲はどれですか?
平原:「Circle
Game」ですね。こういうサウンド、テンポ感も初めてだし。多重に声を入れたのも初めて。今までに歌ったことのないタイプでした。あとうれしかったって曲は、「アリエスの星」ですね。実は以前、父と(「アリエス~」を作曲した宮川)彬良さんがデュオを組んでいて、コンサートでいつもこの曲をピアノとソプラノサックスだけで演奏していたのを聴いていたんですけど、私、この曲がすごく好きだったんです。そしたら彬良さんが歌ってみない?って言ってくださって。すごくうれしくて歌詞を私が書いて、レコーディングも彬良さんと父が参加してくれて、せーので録ったんです。一番ライヴ感が出た曲ですね。
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