アナーキー、26周年ボックスセット『内祝』登場! 特集 INTERVIEW編

2006.03.08 00:00

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──69年1月。全学連闘争時代ですね。

 
仲野:そう。ただ自分はイデオロギーがゼロじゃない? 母親に怒られたりとか、学校で先公に小突き回されてるだけ。俺なんかの敵は、そういうとこだったわけじゃない? だけど大学生は国を相手に戦ってるわけでさ。スケールが違うなあと、すげえ大人に見えたの。でも高校に行ったら、その頃にはそういう(学生)運動も廃れて来てたしね。ロックもそうなんだけど、俺の中では、世の中のムーブメントが盛り上がらないと、寂しいよね。だから、世の中が治まっていく程にアナーキーも衰退して行くっていうかさ。当たりどころがなくなっていくわけじゃない? そういうので失速して行くのは俺らしいのかもしれないけど。他のメンバーはミュージシャンになって行くわけだから。俺は楽器やってなかったからかもしれないけど、ミュージシャンになりたかったわけじゃなくてさ。バンドはやりたかったけどね。俺にとっての祭りを延々やりたかったわけでさ。
 

──この5年はアナーキーとして活動していないわけですが、何もないと曲を作りたくなったりしないんですか?

 
仲野:ないね。
 

──あったらやってますよね(笑)。

 
仲野:そうそう。やっぱり俺にとってアナーキーが、うまく言えないんだけど、シリアスなところで。それ以外はぬるいんだよ。バンドやってても、お楽しみな感じなんだよね。それはそれで悪くないんだけど、緊張感という意味だとさ。そういうところでもテンション上がらないんだよ。
 

──今回の新曲のために集まってみてどうだったんですか?

 
仲野:疲れたよ(笑)。詞が書けなくてさ。アナーキーとしては未来がないわけじゃない? 再結成するわけじゃないしさ。
 

──多少そういう気持もあるのかと思ったんですが、このボックスのためだけなんですか?

 
仲野:そうそう。だからさ、ボックスなんか思い出作りだから、ありものの映像でちょちょっと出して、小銭でも入ればいいやぐらいの思いだったわけ。で集まったら(藤沼)伸一なんかが、やるならこんなことやりたいとか言い出しちゃってさ。未来がないものに関して盛り上がりようがないじゃない? 少しでも向こうが見えてないとさ。新生アナーキーの時は、ちょっと向こうの未来が見えたんだけど。自分たちも負けねえ、みたいな思いがあったけど、今回は25年の集大成って言われてもね。で、ミーティングでいろんなこと言って、みんなに突っ込まれて(笑)。
 

──新曲はタイトルがすごい長いですね。

 
仲野:これはね、伸一に助けられたよ。最初は詞として書いたんだけど、伸一が“ぬるいな”とか言ってさ。何言ってんだって思ったけど(笑)。そしたら、この前持って来た詞をタイトルにしねえかって。
 

──歌詞を見ると、アナーキーからアナーキーへのオマージュかと思いましたけど。

 
仲野:そういう風に捉えてくれて全然いいんだよな。苦肉の策で、今まで書いたことないからラヴ・ソング書くって言ったんで、こういうイントロ(笑)。やり出しちゃえば、そんなでもなかったんだけど、生み出すまでがさ。自分の中で言葉が、掴みどころがないって言うのかな。何書きゃいいんだよ、書くことねえよって。
 

──でも新曲を聴くと、アナーキーというバンドを終わらせたいのか動かせたいのか…。

 
仲野:俺は終わらせようと思って作ったつもりなんだけど。ぶっちゃけて言うとさ、アナーキーはどうしたって一生付いて回るわけでね。アナーキーの仲野 茂ってのはね。そうすると、どうしてもアナーキーをやると盛り上がっちゃうわけ。取材だなんだって軽く舞い上がるところもあって、周りが盛り上がっちゃうのもあって。でも終わりなんだなっていうのはあるわけ。未来があるわけじゃないから。
 

──新たにやりたいことがありますか?

 
仲野:今度は歌い手としてだよね。最近は、異種格闘技みたいなことで、近藤等則とやったり。こないだは下山(淳)とアコースティックでやったし。そういう、歌? かな。やっぱり俺の中で、ロックをやり続けるというのは大事なんだけど、やっぱ現役でいないと辛いっていうのはあるね。
 

取材・文●今井智子

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