
ハウスはほぼ満員状態で、FREENOTEの勇姿を見ようとする観客がステージ前に詰めかけていた。
ライヴは千香子のピアノ弾き語りでスタート。落ち着いている。これまでのハチ切れるばかりの元気さが抑えられ、大人っ
ぽくなったように感じられる。それは、バックを務める3人も同じで、上っついた雰囲気はなく、自分たちの元気さを伝え
るというよりも、千香子の歌をいかに聴かせるかに焦点を当てていたようだ。彼らは歌の持つ力を信じている。だからこそ
、元気だけのストリートバンドから脱却し、晒したくない自分の根源的な部分までをも歌ってしまう。千香子の歌は観客の
奥深い心の中までも侵入する。ノリノリのライヴはミュージシャンも観客も、同じような達成感を得られやすくて満足しや
すい。でも、FREENOTEはこの予定調和をわざと避けるようかのように、ライヴをそういう方向には持っていかない。しかし
ながら、ライヴの楽しさを否定しているのではない。控えめながらに自己主張をし始めたバンドは、楽器のテクニカル面で
の上達は目を見張るものがあったし、歌を生かす演奏というものの端緒を手に入れたように感じられた。すべては千香子の
歌を中心に回っている。それが観客にも伝わり、目は千香子に釘付けになる。
短いが千香子の歌をじっくり聴けた。それがこのClub Queでのライヴの感想だった。飛び跳ねるだけがライヴの盛り上がり
じゃない。そんな次元にFREENOTEは行こうとしている。




