武道館(10月8日)のコンサートを観てとても感激したよ。あなたたちはどうだった、楽しめた?
アンディ:ステージが高すぎて、観客とアイコンタクトがしにくくて困ったよ。もっと観客に近づけたらよかったんだけど。でもライヴの出来は最高だった。
マイケル:客席からステージに戻ろうとした時、多くの人が押し上げようとしてくれたんだ。でもそれは邪魔だったし、オレがその人の顔を蹴ってしまった。そしたら倒れちゃって膝を怪我して病院に行ったらしいんだ。そういうのは心配だからね。セキュリティの人にやめさせるように言っておいたのに。

――ライヴ・パフォーマンスは昔と全然変わらずにカッコよかったよ。カッコよさを保つ秘訣ってあるの?
マイケル:カッコいいかカッコ悪いかってのは自分で決められるもんじゃない。どちらかしかないからね。それは教えられるものでもないし、努力するようなものでもないよ。
アンディ:他の人を真似て自分のアイデンティティを壊さないことだね。そんなことしたって二番にしかなれない。一番にはなれないんだ。
マイケル:そう、オレ達の服装とかを真似したって、バカみたいに見えるだけだよ。自分のスタイルってものを追求すればいいんだ。
――’02年の<サマーソニック>での復活劇は衝撃的だったし、その後の’03年春のジャパンツアーも素晴らしいものだった。その後はどういう活動をしていたのか簡単に話してもらえるかな。
マイケル:春の日本でのツアーを終わった後イギリスでツアーをやった。その後に時間を見つけてスタジオでアルバム『TWELVE SHOTS ON THE ROCKS』をもう一度完成させたんだ。どういうことかというと、’02年に発売されたものはオレ達がいない間にミキシングされたから満足のいくものじゃなかったんだ。だから曲順を変えてリミックスをしたんだ。これをアメリカでリリースしてアメリカツアーをする予定さ。アートワークも綺麗になったし、とても満足しているよ。日本でもこれがリリースされたらいいなと思ってる。あと、バンド周りのマネージメントなんかが、まだキッチリと組織化されてないので、そういうのをまとめていくのが仕事かな。
アンディ:これは2枚組のCDくらいの価値があるんだ。なぜかっていうと90分もあるからね。値段以上の価値があるから、めいっぱい楽しんでほしいね。
――アルバムの作り直しをしていたんだね。100%満足いくものができた?
マイケル:前に発売されたアルバムが自分達が満足できるものじゃなかったのはとても残念なことだけど、今は満足できるものができた。これからもツアーを続けて新しい曲を書いて、ハノイはどんどんよくなっていくよ。
アンディ:オレ達はなんでも出せばいいっていうんじゃなく、すごく質にこだわって追求していきたいからね。
――ハノイロックスを復活させてから2年になるけど、新メンバーのコステロ(G)、ティンパ(B)、ラク(Dr)はハノイロックスにとってどんなプレイヤーかな?
マイケル:ラクは、自分の力だけで勝負していけるくらいの素晴らしい世界一のドラマーさ。コステロは、オレとアンディが素晴らしいギタリストと認める数少ないギタリストの一人だ。ティンパはまあ、普通のベースプレイヤーだね。
――今のロックンロールに対する意識と17年前ではどんな部分が一番違ってると感じる?
マイケル:ロックンロールに関して言えば、ビジネスが大きく変わってしまった。音楽ビジネスの中に音楽が棲息していないと感じる。ラップ、ディスコ、ヒップホップなんていう変な音楽ばかりが消費されて、それがすごく残念なことだと思うよ。

――’80年代のハノイロックスは実に短い期間しか活動してなかったわけだけど、ロック界にものすごく大きな影響を与えている。ハノイのフォロアーを見てどう感じる?
マイケル:ハノイの後継者だと自称する’80年代の長髪のヘヴィメタルバンドがいっぱいいたけど、オレ達のようなユニークな個性もないから、そんなのは自分達の後継者だとは思ってない。そういうバンドが大量に出現して、人々がそれを見て「ああ、ロックってこんなもんか」って失望してしまった。そういう意味ではロックという名を貶めたと言えるんじゃないかな。そういう奴に比べて、オレ達にはもっとパンクマインドがある。オレがロンドンにいた頃はポストパンク時代で、パンクが出る前の音楽シーンはすごくつまらないバンドばっかりだった。それがパンクの出現で一気に盛り上がったんだ。その後にオレ達が現われて、雑誌なんかのメディアではグラムロックという扱われ方をしたんだけど、オレの中にはパンクマインドがあった。だから、’80年代のメタルバンドの先駆者だとか言われるのは迷惑なんだ。
――日本にはZIGGYというバンドがあるけどどう思ってる? 他にも好きな日本のバンドはある?
マイケル:ZIGGYのジュイチ(森重樹一)はオレのオリジナルで、オレは全部、奴から学んだんだ。ありがとうジュイチ。冗談だよ(笑)。奴らはとってもいいバンドさ。他に好きなバンドは、VooDoo Hawaiians(’99年に元プリンセスプリンセスの中山加奈子が中心になって結成されたバンド)と54 NUDE HONEYS。ジョニー・サンダースみたいな女の子のヴォーカルがいるバンドだよ。
――日本のファンの反応は他の国と違う?
マイケル:グレイト! これからも応援してほしいよ。クチコミでオレ達の人気も高まってきてるみたいだし。だからこそ、完全な形でアルバムを発表できなかったことが申し訳ないんだ。貪欲なビジネスマンに邪魔されてこういうことになってしまったことは残念だ。ファンには申し訳ないと思ってるよ。日本人のスタッフも素晴らしい。無茶苦茶になったオレのマイクのコードもすぐにほどいてくれるし、なんでもすぐに出してくれるし、仕事にプライドを持ってる。フィンランド人は動作が遅いから、日本人から学んだ方がいい。

――「A DAY LATE,A DOLLAR SHORT」は本当に素晴らしい曲だね。ハノイの代表曲になると思うけど、この曲についてコメントを。
アンディ:ポップソングとしてもいいし、マイケルのサックスソロも素晴らしいだろ。
マイケル:ラヴソングとしてもあまりヘヴィー過ぎないし、それなりに深いメッセージもあって歌いやすいしメロディも素晴らしい。アンディの潜在意識から流れ出してきたものを編集したんだ。そういう自然な形で曲作りができてうれしかったよ。
――日本公演が終わった後のスケジュールは?
マイケル:オレの人生に先のプランはないね。
アンディ:ロックンロールを続けるだけさ。奥さんと過ごす時間も持ちたいね。
――次のアルバムの予定はもうあるの?