 ▲リバティー。左から、ケリ・ヤング、ジェシカ・テイラー、ケヴィン・シム、ミッシェル・ヒートン、トニー・ランドン |
──5人は“POPSTARS”の収録中から意気投合していたそうですが、そもそも誰がグループ結成を提案したんですか?
トニー(以下T): 番組が終わってからも僕たちは連絡を取り合いながら、次のステップをどうするか考えていたんだ。何しろ1千2百万人があの番組を見ていたから僕たちはちょっとした有名人で、各々いろんな仕事のオファーを受けていたからね。でも結局はそのステップを5人一緒に踏み出そうという結論に、全員が自然に達したんだよ。
──番組での経験を総括してもらえますか?
ケヴィン(以下K): そうだな、デビュー前に業界の内情を覗けたというのは、プラスになってるはずだよ。それに、人が何を言おうと自分たちの意志を貫くこと、タフじゃなきゃ成功できないってことも学んだと思う。
ジェシカ(以下J): 早いうちに人脈を築けたこともすごく役立ったわ。当時から有名なプロデューサーたちが支持してくれて、一緒に音楽を作ろうと申し出てくれていたのよ。
──V2レーベルが提示した4億5千万円という契約金も本国では話題になりましたね。
ケリ(以下L): リバティーにはデビューのチャンスを与えられるだけの価値があると確信してたけど、さすがに驚いちゃった(笑)。でも何よりも、ありのままの私たちを受け入れて契約してくれたことがうれしかったわ。
──音楽的な方向性については、最初から全員が一致してたんですか?
T: そうでもないな。たっぷり時間をかけて曲を作りレコーディングをしてゆくうちに、だんだん方向が見えてきた、という感じだね。
K: 音楽の趣味がそれぞれ微妙に違うから、全員の接点を見付けようとしたんだ。自分たちが好きな音、納得できる音を確立しないと、アーティストとして長続きしないから。
J: 言うなれば、R&Bテイストのエッジーなポップってところかしら?
T: うん。それに自分たちでオリジナル曲を作ることはこのグループにとってすごく重要なんだよ。5人の中から自然に出てくる音楽をやっているという証明にもなるからね。
──と同時に、イギリス出身なだけに、UKガレージも欠かせない音楽的要素なのでは?
T: そうだね。「シンキング・イット・オーヴァー」は元アートフル・ドジャーのピート・デヴェルーがプロデュースしてるし、全員UKガレージの大ファンだからね。でもリバティーはそこだけに限定されない広範囲なポップを目指しているし、実際にデビュー・アルバム『To Those Who Wait』もそういう多彩な作品になったと思う。徐々にではあるけど、独自のサウンドが生まれつつあるよ。
L: そうね。ガレージありバラードあり、クラブ向けのアップテンポな曲ありで、バランスのとれた楽しいアルバムなんじゃないかな。
──今振り返ると、オーディションに落ちて良かったと思えるんじゃないですか?
T: もちろんだよ(笑)。選ばれなかった理由はそれなりにあるんだろうけど、今はこうして好きな音楽を作り、ヒットもしてるしね。
K: 当初マスコミはすごく批判的で、辛い時もあったんだ。でも、何もしてないのに有名人っていう奇妙な立場にいたから仕方ない。結局全てがポジティヴな結果をもたらしたから、これ以上のぜいたくは言えないよ(笑)
取材・文●新谷洋子 |