“今”を強烈に感じさせる注目サウンド!
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“今”を強烈に感じさせる注目サウンド! |
![]() 「Neva Enuff」/ZEEBRA featuring AKTION 2001年1月25日発売 ポリスター/プライエイド・レコード PSCR-5936 1,260(Tax in) 1. Neva Enuff featuring AKTION
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昨年はシングル「MR.DYNAMITE」に始まり、アルバム『BASED ON A TRUE STORY』をチャートに送り込むなど、ヒップホップ界からの使途としてシーンを揺るがしたZEEBRA。
1月25日発売のニューシングル「Neva Enuff」は、北野 武監督・主演の話題映画『BROTHER』にインスパイアされて制作されたといういわくつきのナンバーだ。 映画『BROTHER』では、アメリカのマフィア社会に飛び込み、成り上がっていく日本人ヤクザという図式がストーリーの核となっているが、「Neva Enuff」もまさに本場顔負けの内容。 野太いシンセとバウンシーなリズムマシンの打ち込みがベースとなったトラックは大胆不敵。サンプリングのクリアランスの問題からいわゆる「ネタもの」をまったく使わない独自スタイルへと進化していった西海岸のヒップホップシーンとリンクするような、“今”を強烈に感じさせるサウンドに仕上がっている。 そこにオフィス北野からの完全サポートにより、『BROTHER』での「ファッキン・ジャップぐらい分かるよ、バカ野郎」という劇中でたけしが演じる主人公・山本が口にするセリフや、容赦なく浴びせ掛けられる銃弾の音がサウンド・エフェクトして引用されている(ちなみに劇中では本物の銃が使われ、撃つ時も空砲ながら実弾と同じ位の火薬量で撮影されたとか)。 こうした「爆発系」なトラックに、映画のストーリーを彷彿させるような「日本人をDIS(=攻撃)らせねぇ」といった内容のラップがのってくる。海外での生活経験もあり、本場のヒップホップ・アーティストからも評価されるZEEBRAの生き方も『BROTHER』と重なる部分があり、それがうまくリリックに活かされている。 さらに“featuring AKTION”として中盤登場するナゾのラッパー。 これは何をかくそう映画で準主役を演じる真木蔵人とのウワサあり。ZEEBRAの古くからの友人(“BROTHER”)である彼の存在こそがこのナンバーを生み出したきっかけ。俳優をしている時からは想像もつかないような流暢なフロウに加え、真木自身が書いたというリリックも聴きどころ。映画の当時者的な視点を感じる内容となっている。 ZEEBRAらしい映像が浮かんでくるようなラップとギャング映画(あえてこう言わせてもらう)ならではの持つスペクタクル感がうまく融合し、これまでになくハードでタフな雰囲気を持ったこのナンバー。 ヒップホップファンはもちろん、『BROTHER』の公開を心待ちにしている映画ファンにもぜひ聴いて欲しい作品だ。 文●尾田和実 |