【インタビュー】THE FRANK VOX、「今の段階で作りたいものをフルパワーでガツンと出す」

◾︎フラボらしく地道に、雑草魂で
──3曲目の「愛を唄おう」は、ブラスアレンジを心地よく残しながらもR&Bテイスト。また新しいフラボが感じられる仕上がりですね。
SNG:4人ともボーカル&ダンススクールで学んだ経験があるから、ゴスペルっぽい曲を一度やってみたいと思いつつ、デモはだいぶ昔に作っていたんです。なかなかリリースまで踏み出せなかったんですけど、さっき話したように、ファンクラブができて団結力が強まったり、スタッフさんを含めてあったかい方たちが周りに増えていったり、ものすごく愛をいただいていて。その感謝を表現したかったのと同時に、「今の日本は悲しいニュースが多いね」という話もする中、何か明るくできるような歌を届けられないかと思ってたんですね。「アレンジをMANABOONさんに依頼したら、いい化学反応が起こるかもしれない」と、RYOが提案してくれたのも大きかったな。お願いさせてもらって、素晴らしい曲になりました。
RYO:MANABOONさんと知り合いだったわけではなく、一方的にファンなんです。僕はR&Bがけっこう好きなんですけど、Full Of Harmonyさんとか清水翔太さんとか、自分が聴いているアーティストの編曲をたくさんされていたから、いつか機会があればオファーしてみたいと密かに思っていて。
──ピアノやリズムの感じが、ジャクソン5の「ABC」に通じるような心地よさがあったりもして。いい化学反応が起きたんじゃないですか?
RYO:ありがとうございます。「愛を唄おう」はMANABOONさんと絶対にマッチする確信があって、自分の提案は間違ってなかったです(笑)。
SNG:日常に転がってる思いやり。例えば、電車やバスで席を譲ったりとか。この「愛を唄おう」を通して、みなさんがそういう優しさに改めて目を向けてもらえたら、ちょっと明るい気持ちになれるんじゃないかなっていうメッセージも入ってます。
──ミニアルバムの序盤だけでも、サウンドの広がりがすごく感じられますね。
RYO-TA:彩り豊かですよね。「また、会おう」のイントロも、ピアノサウンドにしたかったんよな?
RYO:卒業ソングは前から作ってみたくて。ピアノの伴奏で生徒さんたちが歌っている光景が浮かぶんですよね。それを踏まえると、イントロはやっぱりピアノが鳴っていてほしいなって。歌から始まるんじゃなく、イントロを付けたい気持ちもありました。それを聴くだけで思わずジーンとなるような、過ごしてきた日々が甦るような。願わくば、今後も歌い継がれていく曲にしたいから。
SNG:RYOがデモを持ってきてくれて、サビのフレーズを聴いた瞬間、レーベルのスタッフさんも全員いたんですけど、みんなで“めっちゃいいやん!”となったのは覚えてます。
YASU:満場一致でね。今回のミニアルバムには必ず入れたいと思ったなあ。自然とリード曲になった感じで、卒業シーズンに向けて仕上げていきました。
──桜ソングとも取れるような、魅力的なバラードです。
RYO-TA:春に聴いてほしいですね。卒業は学生のみなさん以外にも、社会人のみなさんとかいろんな方に訪れるもの。そこを意識して作ったから、桜の情景を入れたくなったのかもしれないです。一生の別れじゃなく、また会えるんだよって、その先の人生があることは描きたかった。フラボらしいポジティブさを込められたと思います。
──個人的には、学生時代の卒業をふわっと過ごしてしまった経験があるので、再会を誓い合うこの曲のメッセージはとても響きました。終わってからもう会えないことに気づくよりも、噛み締める意識で卒業に臨めたほうがいいし、未来へ続く大切な瞬間が今だということを、特に若者へちゃんと伝えてくれている感じがして。
SNG:今の感想、めっちゃ嬉しいです。大人が昔を振り返る感じが出ちゃってたらどうしようみたいな怖さもあったんですけど、学生のみなさんがこの曲を通して“卒業式を大切に噛み締めるぞ”“再会を誓おう”っていう目線を持てたとしたら、それはすごく良いことやなと思えました。
──「また、会おう」は、終盤のハイトーンパートも聴きどころですね。
YASU:がんばりました(笑)。僕のキーは今まででいちばん高いんじゃないかな。展開がいいですよね。2番の落ちサビ、転調のサビと来て、より盛り上げにかかる感じがドラマティックで。聴いてくれた方からもすごく好評な部分なんです。
RYO-TA:卒業のときに「またなー!」と叫んでは抱き合っているような画が、この終盤でじんわりと浮かびます。
──「また、会おう」「鳴らせ」の流れもいいですね。卒業ソングのあとにデッカい夢を歌っているのが。
SNG:確かに。部屋で裸のままギターを弾いてたときにメンバーのことを想像してたら、改めてデッカい夢を見に行きたくなったんです。大阪城ホールを目標に掲げてるけど、この4人はもっと行けるぞと最近すごく思って。夢の舞台で歌うにふさわしいこういうストレートな曲を、YANAGIMANさんともう一回作ってみたい気持ちもありました。
RYO:どこかのライブに向かう途中の車内でデモを聴かせてもらったんですけど、僕はすごく嬉しかったんですよね。マジで裸の熱い曲を作ってきたことが。SNGはわりとメロウなアプローチが得意なほうなので。大阪城ホールで歌う景色も見えたし、新作に入れたいと強く推した記憶があります。
SNG:“革命の鐘を鳴らせ”という意味を紐づけると、より響く曲にできるんじゃないか。そのアイデアをYANAGIMANさんにいただきました。何も持ってなかった4人の男が大阪城ホールに立つのは、今やりたいことがないような人が革命を起こすようなイメージを抱けるから。
YASU:レコーディングの現場も熱かったね。みんなで拳を上げて、汗だくで歌ってました(笑)。
──「タノシミナハレ」はどんなイメージで作った曲ですか?
RYO-TA:ORANGE RANGEさんや175Rさんを思い浮かべたりとか。BPM速めのアップチューンも好きなんですけど、ミドルテンポのリズムもアガるよなっていう気持ちがあったり。そこから“ジャッジャ♪”のギターフレーズが出てきた感じです。ケツメイシさんの「三十路ボンバイエ」のように、バンド調のサウンドをうまくJ-POPらしく聴かせたかったというか。でも何かに似せるんじゃなく、フラボらしい曲にしたい。そんな困るオーダーを、RYOにしました(笑)。
RYO:ミニアルバムの中でいいアクセントになるような、面白いビート感にできたんじゃないかと思います。
──「会いにいく」もストレートなメッセージが染みました。全国各地のファンに会いに行っているフラボのみなさんが、このテーマに至った背景を聞かせてください。
SNG:ラブソングに近い曲なんですけど、“好き”と言葉にするよりも行動で示すほうが素敵だなと思うタイミングがあって。それこそライブの現場においても、会いに来てくれるってものすごい愛じゃないですか。だから、僕たちは会いに行くことでみなさんに愛を伝えたい。そんな気持ちを込めているし、恋愛の曲としても聴けるようにしました。
──「ワッショイジャパン」は、剛力彩芽さん主演舞台「〜女子大小路の名探偵 新章〜舞台『死は、ど真ん中に転げ落ちて』」の主題歌です。
RYO-TA:フラボ初の書き下ろし曲になります。脚本・演出の秦建日子さんと何度もミーティングをして、“こういうワードが欲しい”とか“BPMは速めのほうがいい”とか具体的な要望をいただき、名古屋の『にっぽんど真ん中祭り』を舞台にされているという話も聞いたり。いろいろヒントをもらって書くのも、新しくて楽しかったですね。タイトルどおり、日本を活気づけたい想いもありました。
──和の要素を活かしたアレンジもいい感じで。
RYO-TA:日本人はこういう祭りっぽい音に引き寄せられるのか、フリーライブでやるとすごくお客さんが集まってくれるんですよ。
SNG:面白い現象だなと思います(笑)。
RYO-TA:デモのトラックをRYOが作ってくれたんですけど、2番からガラッと違うコード進行になるところはワクワクしました。
YASU:インパクト抜群で、めっちゃいいなと感じましたね。
RYO:トラップに和が混ざったような、いいバランスになったかなと。
SNG:カッコいいラップで歌ってみたりもしたんですけど、どうもフラボっぽくなかったりして。で、この“オドレ オドレ オドオド オドレ”が生まれました。ライブではみんなで盆踊りみたいになるんですけど、すごくシュールで最高です。
YASU:そういう砕けた感じがフラボっぽい!
──舞台の主題歌としてどう使われるのかも楽しみですね。
RYO:2023年に公開された映画『女子大小路の名探偵』に出演させてもらってもいるので、今回の舞台化に対する思い入れはとても強いです。
RYO-TA:秦さんとはけっこう前にラジオ番組で出会って、もともと親交が深いんですよ。
──そして、ミニアルバムのラストを飾るのが「誰でも最初は1年生」。
RYO-TA:「ワッショイジャパン」でアゲきったあとに、しっとりした曲が来ると言葉が伝わりやすいと思ったし、ミニアルバムをもう一周リピートしたくなるかなって。
SNG:俺らの中で陰のリード曲です。いちばんフラボっぽいんじゃないか説が、スタッフの間でもあったりして。
──活動する中で初心に帰るようなところがあったりもしたんですか?
SNG:そうですね。まさに活動初期を思い出して書きました。当時を振り返ると、上手くいかへん経験だらけでしたから。でも、そりゃあ最初からできるわけないんですよね。その考えがあってこそ、前に進めたというか、今もこうして活動できているので。成功例ばかりが目につきやすい世の中で、できない自分を責めたりしちゃいがちだけど、やりたいことを失敗しながらやっていったらいいじゃん、という曲ですね。
RYO-TA:「また、会おう」が先にできていたのもあって、卒業後の新たなスタートに向けた曲という感じにもなりました。
──『VOX BOX 2』リリース後の3月からは、全国15ヵ所を回るツアー<VOX BOX TOUR 2025 〜えっ、10000km ?! まだまだ届けに行きたくて♪〜』>が始まります。このタイトルは移動距離ですかね。
YASU:そうです。15ヵ所を車で回る走行距離!
RYO-TA:大阪を拠点にして、往復の距離を足していったらこの数字でした(笑)。
RYO:今現在、ハイエースの通算走行距離は35万キロくらいかな。ちょっとずつボロが出てきた感じもあるけど、まだ大丈夫です!
SNG:機嫌悪い日はたまにあるな(笑)。
──このツアーにおける目標などは?
RYO-TA:大阪城ホール公演実現に近づくため、一本一本を大切にやることは変わらず続けたいです。あとは、終わったあとに「楽しかったなー!」とひと言目に出るライブをする。
RYO:フラボらしく地道に、雑草魂でやっていきます!
YASU:新曲がどうなるのか楽しみです。
SNG:うん。家族のようなみなさんとどう育てていくか、どう楽しい空間を作っていくか。ワクワクしてますね。
取材・文◎田山雄士
ミニアルバム『VOX BOX 2』

発売日:2025年2月26日
TECI-1835 / ¥3,000 (税抜価格 ¥2,727)
1.ごあいさ2
2.とりあえず乾杯!
3.愛を唄おう
4.また、会おう
5.鳴らせ
6.タノシミナハレ
7.会いにいく
8.ワッショイジャパン
9.誰でも最初は1年生
<VOX BOX TOUR 2025 〜えっ、10000km ?! まだまだ届けに行きたくて♪〜>
3/09(日)16:00 / 16:30 岐阜:岐阜Club-G
3/15(土)16:30 / 17:00 群馬:前橋DYVER
3/16(日)16:00 / 16:30 宮城:仙台LIVE HOUSE enn 2nd
3/20(木・祝)16:00 / 16:30 滋賀:滋賀U☆STONE
3/22(土)16:30 / 17:00 北海道:札幌CrazyMonkey
3/29(土)16:00 / 16:30 香川:高松sound space RIZIN’
4/05(土)16:30 / 17:00 広島:広島Live space Reed
4/06(日)16:00 / 16:30 岡山:岡山CRAZYMAMA KINGDOM
4/12(土)16:30 / 17:00 京都:KYOTO MUSE
4/13(日)16:00 / 16:30 奈良:奈良NEVER LAND
4/20(日)16:00 / 16:30 東京:Shibuya WWW X
4/26(土)16:30 / 17:00 愛知:名古屋ElectricLadyLand
4/27(日)16:00 / 16:30 石川:金沢GOLD CREEK
4/29(火・祝)16:00 / 16:30 福岡:福岡The Voodoo Lounge
5/03(土)16:00 / 17:00 大阪:心斎橋BIG CAT
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