【インタビュー】urei、IKKI NOT DEADから放つ1stミニアルバムに地元愛と幕開けの鳴動「一緒に頑張りたい。それだけなんです」

■もしclub SONIC iwakiがあり続けるなら
■今作は全然違った形になっていた
■これまでを振り返りたかったんです
──そもそもureiは成人式をキッカケに結成したバンドなんですよね。
もひお:そうです。高校時代、僕と寛太はコピーバンドを組んでいたんですけど、上京や進学で各々の道を進むことになって。とはいえ、その後もライブハウスには通っていたし、バンドに対する憧れもあったから、「俺らもバンドを続けていたかったな」みたいな話を度々していたんですよね。で、成人式で再会した時に「やっぱりバンドをやろうか」って話して、ureiを始めることにしたという。
──バンドを諦めきれなかった。
もひお:本当にそうですし、もうその時点で寛太も作曲を始めていたんですよ。
草野:そう。これまで曲を作ったこともなかったんで、1曲をコツコツと書き続けていました。そんな状況で再会を果たして、「今、こんな曲を書いてるんだけど、どう?」って連絡したら、「ここをこうしたほうがいいんじゃない?」みたいな返信が返ってきて。そのやり取りが面白すぎて、バンドを組むことにしました。

──そのやり取りのどういった部分に惹かれて、ureiを結成することにしたんですか。
草野:“バンドってこうやって出来上がっていくんだな”と純粋に思ったんです。ひとつの曲に対して、メンバーと「こうしていこう」と相談を重ねていく。そうやって楽曲を作り上げていく過程にワクワクしたし、もともとモテたくてコピーバンドを始めた自分が曲を書くこと自体、想像していなかったから。My Hair is Badを聴いて作り始めた自分の歌で、メンバーから反応をもらえたら、そりゃ“もっとやれるんじゃないか”と思いますよ。
──自分の手で作った音楽でメンバーの心を動かした事実があって、それが周囲に波及していくことが嬉しかったと。
草野:周囲から「良い曲だね」と言ってもらえることが嬉しかった。そこで“もっと多くの人に聴いてもらいたい”という思いが芽生えた結果、ファイトソングを歌うようになっていった気がします。というのも、初期のureiが書いていたハードな楽曲だと、お客さんに伝わりきらなかったんですよ。きちんと反応してもらえる音楽をやりたかったから、目線を合わせられるファイトソングを選びました。

──では、1stミニアルバム『HOME』制作を振り返って、皆さんはどのような1枚になったと感じていらっしゃいますか。
ひろむ:これまでのureiと最近のureiをギュッとした1枚になったと思います。
──それぞれのureiを言葉にするとしたらどうなります?
草野:シンガロングを入れたり、自分の恋愛観を温かくハッピーに書いていたEP『愛し愛されて』(2022年発表)の時代が“これまでのurei”で、みんなで一緒に同じ空間を作り上げようとしていたEP『STAND BY YOU』(2023年発表)からEP『Survive』(2024年発表)あたりのタイミングが“最近のurei”かな。『HOME』はベストアルバムと言うと大げさなんですけど……例えるならアニメの総集編みたいな。シンガロングも目線を合わせて歌おうとする姿勢も取り入れた作品になりました。
もひお:寛太が言った通り、原点っぽい要素もありますし、新しいureiも入っているアルバムになりましたね。それこそ直近の僕らは、ファイトソングやシンガロングの側面を押し出してきたわけですけれど、さっき話に出た「脈拍」にも通じるような新曲も収録されているので。“ureiはシンガロングだけじゃない”と伝えられるアルバムになったのかなと。
草野:どのジャンルとも戦える1枚になったかな。メロディックパンクやハードコアのバンドをはじめ、いろんなジャンルのバンドと共演してきたからこそできた1枚だし、ureiがどこでも戦えるバンドであるための作品だと思う。だからといってハードコアに寄っているわけでも、メロディックパンクに偏っているわけでも、ギターロックに傾いているわけでもなくて。みんなに体験してきてもらったureiを体現するような1枚です。

──先ほど、もひおさんから「原点っぽい要素もある」とお話いただきましたが、そもそも『HOME』というタイトル自体が出発点や居場所を示唆していますよね。
草野:自分たちのホームであるライブハウス club SONIC iwakiが2027年5月で閉店することになって、それをキッカケに「from」を書いた時、このミニアルバムに収録されている全部の曲がいわきを題材にしているな、と思ったんですよ。どの歌も自分が住んでいる場所を軸として書いたからこそ、『HOME』という名前をつけました。
──“いわきを軸にして歌を作りたい”という思いは、もともと存在していたものだったのでしょうか。それとも、今作で特にその思いが強くなった?
草野:ゆくゆくは書くんだろうと思っていたんですけど、club SONIC iwakiがなくなるんだったら、書かなきゃいけないなと思ったんです。でも、ureiとしてclub SONIC iwakiと関わらせてもらった時間をいざ歌にしようとしたら、全然言葉が出てこなくて。というのも、俺らが知っているのはたった8年間の出来事だけだから。先輩たちが数十年間、どうやってclub SONIC iwakiを盛り上げてきたのかも知らないし、全部は書き切れない。だからこそ、「from」の中には、“俺らはここからなのに、なんで無くなるんだよ”みたいな怒りというか、“何でやねん”のツッコミがブワッと書かれているんです。
──《まだ何一つ叶えられてないままさよならだね》の一節には、まさしく悔しさが滲んでいるなと。
草野:きっと俺らが何十年もclub SONIC iwakiで演奏していたなら、また違った表現ができたと思うんです。それこそ、先輩であるto overflow evidenceの「街の明かりが灯る頃」みたいな歌にしたかったんですけど、俺に書けるのは俺が8年間で感じた音や光だけだったから、溢れてきた気持ちを殴り書きました。
──先ほど「『HOME』は、例えるならアニメの総集編みたい」だというお話もありましたが、このタイミングで総集編のような作品が生まれたのは、自分たちのホームが無くなってしまうことを機に、これまでを振り返ったからなんでしょうか。
草野:そうですね。もしもclub SONIC iwakiがあり続けるなら、今作は全然違った形になっていたと思う。でも、現実はそうじゃなかったからこそ、これまでを振り返りたかったんです。
──過去を確かめている一方で、1曲目の「今夜決行」では《物語はこの場所から》と未来の話が描かれています。
草野:「今夜決行」は未来というよりも、ずっと走り続けている今現在のureiを書いているイメージですね。“俺らは変わらずにやっていくぜ”ってことを伝えたかったんです。


──それこそclub SONIC iwakiが無くなってしまうように、続けていくことは非常に難しいじゃないですか。にもかかわらず、今作にはureiのバンドを続けていく覚悟が詰まっているわけで。その原動力になっている存在は何なのでしょう。
草野:お客さんの顔です。俺に似たヤツが死なないように。ureiを好きな俺に似たヤツが明日も頑張れるように。それだけが原動力ですね。
──即答できるほどに、“現場にいる人のために歌いたい”と思うようになったキッカケは何だったんですか。
草野:ずっと考えているんですけど……たぶん俺は周囲の誰かのためにファイトソングを書いているわけじゃないんです。誰かのためにファイトソングを書いている自分が好きなんですよ。もしかすると義務感でバンドをやっているように思われるかもしれないし、自己中に見えるかもしれないけれど、俺は俺が言ってほしいことを自分自身に向けて歌っていて。その結果、俺は自分の背中を押していたんです。でも気づけば、自分に向けた音楽を聴いた人たちが「背中を押された」「頑張れた」と言ってくれるようになった。それが嬉しいし、今一緒に頑張れているんだったら、「これからも一緒に頑張ろうぜ」と思う。一緒に頑張りたい。それだけなんです。




