【ライブレポート】Stray Kids、海外男性アーティスト初の国立競技場単独公演。14万人を魅了した歴史的2日間「人生のなかで、永遠に記憶に残る1ページに」

Stray Kidsが、彼らの音楽史に記念すべき1ページを刻んだ。
8月29、30日にわたって開催された国立競技場での公演を皮切りに「Stray Kids World Tour <RUN IT JAPAN>」」がついにスタート。東京・MUFG STADIUM(国立競技場)での単独公演は、海外男性アーティストとしては史上初となる偉業。その歴史的瞬間をともに過ごすために、2日間で約14万人のSTAY(ファンの名称)が日本全国、そして世界各国から集まった。2018年のデビュー以降、セルフプロデュースグループとしてひたむきに走ってきた彼らが、その先に見た景色とは──。

国立競技場という巨大な空間に立つ8人の姿からは、達成感よりも挑戦者としての気概が漂っていた。彼らにとってこのステージは単なるスタジアムライブではない。セットリストや演出、映像など随所に自らの音楽的ルーツや信念が反映された、アーティストとしての現在地を鮮やかに描き出す作品だった。曲ごとに構築されたシネマティックな演出は観客を彼らの世界へと引き込み、デビュー以降8人が積み重ねてきた軌跡を追体験させていく。メンバー自らが細部までこだわったと語る通り、“いまのStray Kidsをどう表現するか?”という明確な意思が感じられた。真摯に音楽を制作し、アイデンティティを築きながら道を切り開いてきた彼らだからこそ実現した公演なのは間違いないだろう。

開演直前、会場ははち切れんばかりの期待で満ちていた。メンバーが姿を現すと地面を揺らすような歓声が上がり、それを目の当たりにした彼らの目が一気に輝く。待望のステージは「Hall of Fame」で幕を開けた。自らが切り拓いてきた道を肯定するメッセージを含む本曲は、歴史的公演の口火を切るのにふさわしい。広大な会場に対して勝負を挑むような鋭い視線、そして力強いパフォーマンスに、彼らの情熱がどれほどなのかが伝わってくる。

メンステから左右に伸びた外周を進むと、間髪いれずに「Hellevator」「District 9」といったデビュー初期の曲が続く。アリーナをぐるりと囲むようにステージを設置した、会場の広さを最大限に生かした構成が本公演の特徴なのだが、歩みを進めながら初期の曲をパフォーマンスする姿が実際の彼らの軌跡とリンクする。「MIROH – Levanter – I am YOU」のメドレーをコンテンポラリーなダンスで見せると、「Side Effects」「Double Knot」へストーリーをつなげ、閉塞感や葛藤からの解放を表現。リノやヒョンジンの爆発的なダンス、チャンビンとハンのラップの応酬を見せつけられ、まだオープニングパートなのに会場はすでに最高潮の盛り上がり。特に「Side Effects」ではフィリックスの「モリ!アプ!ダ!」に合わせて会場も大きくシャウトし、重低音が響く高速ダンスパートではさらなる熱狂に飲み込まれる。

最初のMCタイムでは、リノが「俺様はリノだ! STAY! 国立、本気でカ・ボ・ジャ・ゴ!(韓国語で「行ってみよう!」の意)」、ヒョンジンが「STAYのことがホントにホントにホントにめっちゃめっちゃ大好き、「STAYばか」ヒョンジンです!」と、笑いを誘いながら自己紹介。アイエン渾身の「STAY、一緒に最後まで“こくり、チュ♡”してください」のコメントでは全STAYがメロメロに。スンミンは「愛を告白します!」と、メンバー同士がわちゃわちゃと話しながら笑い合い、さっきまでの緊張感とは打って変わったリラックスムード。思いのほか、彼らはこの巨大な会場を楽しんでいるようだ。

MCをしたバクステからメンステへと戻りながら、「Back Door」「MANIAC」「God’s Menu」と、グループのターニングポイントとなった人気曲で会場は再びヒートアップ。ここまでを見て、その演出の完成度に驚かされる。客席のどこにいても楽しめる工夫だろう、楽曲ごとに様々な要素が巧みに組み合わされ、まるでアトラクションを体験しているような没入感。大人数のダンサーはときに道を阻む障害に、ときに仲間となり、楽曲ごとに役割を変えながら、8人の物語を立体的に浮かび上がらせた。大型スクリーンに映し出される映像やオリジナルの小道具は世界観をさらに拡張させ、観客を引き込む。そこに渾身のパフォーマンスが加わり、一瞬たりとも目が離せない状態に。

VCRを挟むと「CREED」のダークなサウンドが流れ、なんとアリーナ席からメンバーが登場。レースを組み合わせた白いスーツに、リムレスメガネやサングラスを合わせたスタイリングがビジュアルを引き立てる。クールな表情を崩さないバンチャンに対して、ヒョンジンやハンはすぐそばで熱狂するSTAYを見て微笑みが隠しきれない。アリーナからステージに上がり、続いたのは映画『デッドプール&ウルヴァリン』の挿入歌にもなった「SLASH」。刀を使ったクールなパフォーマンスは、そのままMVになりそうなほど完璧だ。そして背景映像を韓国の伝統絵画風に切り替えて「DIVINE」「Thunderous」へ。「DIVINE」ではスンミンの歌い出しに胸を打たれる。柔らかいボーカルが彼の大きな魅力だが、ソウルフルな歌いまわしが新鮮な一面を引き出し、歌に真摯に向き合う彼の情熱を表していた。
このパートでは、韓国の伝統美を感じさせる映像やクラシカルな小道具、現代的なサウンドと古典音楽を融合させた演出が盛り込まれ、グローバルアーティストとして唯一無二の存在感を改めて印象づけた。

ここで一息つくと、バンドメンバーを紹介しつつ衣装チェンジ。ちなみに日本公演は1年以上ぶりなのにもかかわらず、ほぼすべてのMCを通訳なしの日本語トークでこなしているのはさすが。「楽しんでる?」「僕たちのコンサート初めての人いる?」など、客席と気軽にコミュニケーションしてくれるのも彼らの魅力だ。
着替えをすませたメンバーがステージに揃うと「一緒に歌ってください!」とリノが促し、JAPAN 3rd Mini Album『Hollow』収録の日本オリジナル曲「just a little」をライブ初披露。生パフォーマンスを待ち望んでいたSTAYにとっては幸せなサプライズ。大切な人との別れを情感たっぷりに歌い上げる姿が、夕暮れに染まる国立にしっくりとなじむ。サビではマイクを会場に向け、STAYも大合唱。ラベンダー色の空にSTAYの歌声が響き、メンバーも愛おしそうに会場を見つめていた。続く「I Do」のバンドサウンドで軽快な雰囲気へと一変させると、コンサートの定番「BLIND SPOT」で多幸感をアップ。外周を走り回りながら観客と目を合わせ、メンバー同士で笑い合いながら歌う姿に、会場全体が1つになっていくのを感じる。Stray KidsとSTAYが互いに支え合ってここまで歩いてきたことを、何よりも物語る1曲だ。メンバーが舞台裏に消えたあとも、愛を届けるように会場の歌声はなりやまなかった。

VCRに続いて披露した「This & That」は、チル&クールなヒップホップベースの楽曲。「やりたいことを自信をもってやりとげる」という彼ららしいメッセージを伝えると、ここからは怒涛のクラブタイム。「Do It」で「STAY、叫べ!!」「ジャンプ!」と熱を高めると、EDM調にアレンジされた「LALALALA」でテンションMAXに。すっかり暗闇になった会場を無数のレーザービームが照らし、ペットボトルの水をまきながら「一緒に踊って!」とメンバーが激しくあおる。もはや巨大クラブと化した国立で、誰もが体を揺らさずにはいられない。クライマックスの「CEREMONY (Hip Hip Version)」で夜空に花火が打ち上がり、このパートをド派手に締めくくった。

激しいダンスナンバーを乗りこなしたメンバーもSTAYも、MCタイムでひと息つく。リノに「もっと遊べるの? 遊びたいの?」、チャンビンに「まだまだエネルギー出せるよね!?」と問いかけられ歓声で応えるが、次が最後のパートであることが告げられる。「みなさん明日は月曜だから……」といたずらっぽく言うリノを、バンチャンが「うーわ、最悪!」とからかったり、フィリックスは「でも、最後じゃないから悲しまないでください!」とアンコールを匂わせるなど、自由にトークを楽しむ姿が微笑ましい。

ラストスパートとばかりに「Chk Chk Boom -Japanese ver.-」「S-Class」で会場を再び盛り上げ、重厚なバンドアレンジの「RUN IT」ではダンサー集団を従え大迫力のパフォーマンス。会場の「Woah run it everywhere all around the world」のコールを浴びながらメンステからバクステまでを全力で走り抜け、限界までパワーをふりしぼる。特にチャンビンとハンが見せつけたラップの掛け合いは圧巻の一言。競技場の外周を走り抜けたあとにあのパフォーマンスをこなす胆力に驚かされた。
「アンコール!」の声に応え、コンサートグッズを身に着けたメンバーがカムバック。アリーナ内を歩き回り、ハイタッチやハートポーズで客席とコミュニケーションしながら「Stray Kids」を響かせ温かな空間をつくる。ステージに上がり、燃え尽きることのない情熱を歌う「Phoenix」を披露するとエンディングコメントへ。30日の公演ではフィリックス、ハン、スンミン、バンチャンがSTAYへの感謝を届けた。

フィリックス「みなさんのサンシャインフィリックスです。スタジアム公演はいかがでしたか? 昨日も今日も、思ったより涼しくなって安心しました。暑いとSTAYの体調が大丈夫かな?と心配だったんです。STAY、大丈夫でしたか? 今日は癒されましたか? 本当に? 僕のこと好きですか? 本当に? STAYのために準備した国立公演、楽しみつくしました。感謝の気持ちをこめてみなさんに、最後に伝えたいです。国立にいるSTAY! 本当に、ありがとう! また会いましょう!」

ハン「本当に会いたかったです。人生のなかで、永遠に記憶に残る1ページになったと思います。みなさんがこんなにも温かく迎えてくれて、楽しんでくれて、叫んでくれたからです。大好きなSTAYとこの場所で素敵な時間を過ごすことができて、「今まで頑張ってきて本当によかった」と思いました。何でもこなすオールラウンダー・ハン ジソンが唯一できないことがあります。何だと思いますか? それは、STAYへの愛情表現を抑えることです! STAY、本当に大好きです!」

スンミン「メンバー全員で細かい部分までこだわって準備しました。僕たちの公演は心に届きましたか? 国立競技場。生きていたら、ここで公演をする日がくるものなんですね。メンバーもまだ実感ができていないような、ふわふわした気持ちだと思います。会場にいるみなさんを見て、初めて実感がわいてきたようです。そして、いまだに僕はすごく気になっています。みなさんがどんな思いでここまで足を運んでくださっているのか。当たり前ではないということを、よくわかっています。ずっと変わらずに僕たちに会いにきてくださって心から感謝します」

バンチャン「部長だ! 去年のスタジアムもそうですが、目を疑うほど広くて本当に驚きました。こんなに広い会場を埋めてくれたことに心から感謝します。昨日チャンビンさんが言ってくれたように、JAPAN 4th Mini Albumの『SUIATSU』は間違いなく名盤です。自信があります。待っていてくださる思いを大切にして、これからも満足してもらえる最高の作品をつくります。スキズ、デビュー9年目ですね。はやっ! どんなことがあっても、メンバー8人でもっと高いところまで登りつめていきます。大変なときは僕たちを思い浮かべて、辛いことを忘れてください。暑いなか本当にありがとうございました!」
コメント後に記念撮影を撮ろうとすると、国立公演を祝う巨大ケーキが登場し、会場のSTAYも一斉に「初のMUFG国立 スキズとの出会いは宿命」と書かれたスローガンを掲げる。愛情たっぷりのサプライズにメンバーも特大笑顔。そのままのムードで「CASE 143 -Japanese ver.-」「宿命」と、愛を歌う曲で絆を確かめ合う。そして今日イチのコールが沸き起こった「Social Path (feat. LiSA)」へ。ステージのあちこちに散っていたメンバーがギュッと集まり、サークルをつくるパートがあまりに青春で、胸が熱くなる。そして国立公演を締めくくる最後の1曲はもちろん「MIROH」。会場を揺らすほどのコールに合わせてペンラの光が大きくうねり、メンバーもSTAYも最後の一瞬までこの時間を楽しみ尽くす。

STAYへの感謝を伝えながらステージ裏にメンバーが消えると、スクリーンに突如映像が映し出され、そこには東京ドーム3days追加公演決定の文字。一瞬静まり返った会場は、すぐさま悲鳴にも似た大歓声に包まれた。この興奮を共有しようとメンバーも笑顔を見せながら再登場し、喜びを分かち合う。歴史的な国立競技場公演2daysを成功させたその瞬間に、さらなる挑戦を示すサプライズ発表。Stray Kidsが決して立ち止まらず、進み続けるグループであることを象徴する演出だった。
彼らは最新の韓国Mini Album『THIS & THAT』で、9作連続「Billboard 200」初登場1位という、全世界のアーティスト史上初となる歴史的記録を手に入れた。しかし、国立競技場という日本最高峰のステージで証明されたのは“Stray Kidsは世界的人気グループである”という事実にとどまらない。自分たちだけの音楽を生み出し、信念を貫き、そしてどんなに大きな会場でもファンに愛情を届ける。その姿勢こそが8人のアイデンティティだ。日本公演は国立競技場公演を経て、名古屋、大阪、福岡、そして東京ドームへと続く。”RUN IT”というタイトルのように、Stray Kidsはこれからも走り続ける。
文◎西野暁代
写真◎田中聖太郎写真事務所
セットリスト
Hall of Fame
Hellevator
District 9
Side Effects
Double Knot
Back Door
MANIAC
God’s Menu
CREED
SLASH
DIVINE
Thunderous
just a little
I Do
BLIND SPOT
This & That
Do It
LALALALA
CEREMONY (Hip Hip Version)
Chk Chk Boom -Japanese ver.-
S-Class
RUN IT
Stray Kids
Phoenix
CASE 143 -Japanese ver.-
宿命
Social Path (feat. LiSA)
MIROH
Stray Kids World Tour <RUN IT JAPAN> ※追加公演
2026年11月6日(金)東京ドーム
2026年11月7日(土)東京ドーム
2026年11月8日(日)東京ドーム






