【インタビュー】KIRITO、『SHIFT』が物語る固定観念の崩壊と劇的な変化のその先「扉を開くか開かないか。自分次第で世界は変わる」

2026.04.22 18:00

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■手放してしまった感情をまた取り戻したい
■独りでいるよりたくさんの人と思いをシェアしたい

──それを高い次元で実践され続けているからこそ、KIRITOさんの音楽は時代を超えて輝くものになっていることを感じます。そして4月から6月にかけてツアー<THE SHIFT COMPLETE>も開催されます。

KIRITO:新しいアルバムを携えたツアーなので、もちろん『SHIFT』収録曲を中心にして構成していきます。また新しいライブの流れや景色を見せられるでしょうから、楽しみにしています。『SHIFT』というアルバムは6曲収録のミニアルバムですが、自分が伝えたい思いを凝縮した作品なので、観ている人に響くライブになるんじゃないかな。

──そして、改めてここ数年の激動ぶりについてもお聞きしたいのですが。まず、2024年10月に7年ぶりに再集結したPIERROTの活動を通して、どんなことを感じましたか?

KIRITO:PIERROTはたまにしかやらないから、忘れた頃にやってくるじゃないけど(笑)。うまく言えないけど敢えて言うとしたら、PIERROTはすでに自分の手を離れてしまっているくらいの存在になっていると感じました。決して悪い意味ではなくて。

──みんなのものになっていると。

KIRITO:大げさな言い方をすると、文化になりつつあるというか。誰かがつくった世界やアートが文化に近づくとしたら、その条件の大前提は、つくり手の手元を離れることなんですよ。自分たちがつくったものが自分たちの手から離れることを自分たちが許容することで、初めて文化に向かって旅立つことができると思うんです。

PIERROT

──なるほど。

KIRITO:PIERROTというバンドは、儚さが伝説的な面を深めているところもあると思うんです。解散したとか、再集結してもたまにしか動かないといった経緯もあるのかもしれないけど。そういう刹那もありつつ、いろんな人が語り続けてくれたり求め続けてくれる中で、PIERROTというものがメンバーの手を離れても存在できるようになったことを感じて、それは凄いことだなと思いました。自分たちとしてはあまり実感がないというか、少し他人事みたいな感じがするんですけど(笑)。

──だからこそ、より大事にしないといけないという気持ちが芽生えるんでしょうし。若い頃に気になってたりネガティヴに感じていたことも、今は大きな心で捉えられるようになったりするんでしょうし。

KIRITO:現役でPIERROTをやっていた当時は、自分がすべてをコントロールしようと思っていたから、尖りまくって、細部にまでこだわり抜いて、破滅までいく、みたいな危うさを最後まで貫いたんです。爆弾みたいなものでしたよね、廃人になるくらいまで突き詰めたから。今は全くそうではない。でも、そうやって作ってきたものを日本中の方々が愛してくれて、語り継いでくれて、求めてくれて、楽しみにしてくれているということは、すごく幸せなことですし。そこに自分の役割があるなら一生懸命その使命を果たそうという気持ちです。

──PIERROTを愛してくれる人の想いに応えたいという気持ちが一番強いんですね。

KIRITO:PIERROTを愛してくれる人が、今もこんなにたくさんいるということは、本当に凄いことだと思うんですよ。たとえば去年5月、神奈川のKアリーナ横浜で2daysライブを開催したんですけど、初めての会場だったので場所を知らないから、初日はカーナビに住所を入れて、スタッフと一緒に車で行ったんです。その道すがらにデカいアリーナ会場がポツンと見えて、「あんなにデカい会場でライブをやれたら、ミュージシャンとして本望だろうね」とスタッフに言ったら、「いや、今あの会場に向かっているんですよ」と言われて、「ええーっ!」って(笑)。その会場を2日間埋めたという事実は他人事みたいだけど。

──渦の中心にいる人は周りで起きていることの凄さを感じないと言いますからね(笑)。若い頃は尖っていたという言葉がありましたが、そのために生じる摩擦や困難に挫けることなく、自身を貫かれたことをリスペクトします。

KIRITO:当時は本当にひたむきでしたから、解散時もいろいろな人にご心配をおかけしたり、ファンの方に悲しい思いをさせたと思います。その時も業界のセオリーやビジネスを一切無視して蹴散らして、“できないからもうやめる”って最後まで自分を貫いたんです。ひたすら生き急いで、突然死したような状態だったと思う。だけど、その後も各メンバーがそれぞれの方向でひたむきに頑張って活動してきたからこそ、誰一人欠けることなく集結できたんだと思うんです。それもひとつの真っすぐな生き方だったんだろうなって。この歳ですし、全員が今も生きているということも大きい。

Angelo

──昨年10月に再始動させたAngeloについても話していただけますか。

KIRITO:それもPIERROT復活が大きかったです。PIERROTやAngeloやソロでつないでいる一連のストーリーがあって。それぞれのプロジェクトに自分がいて、歌詞の世界観はすべてつながっているわけですよ。といっても1本の線ではなくて、違う世界線で並行しているんですが。

──3つの世界線を並行して走らせるように。

KIRITO:奇しくも自分が作ってきたストーリーの裏づけでもある量子力学と、それが上手く符号したんですよね。だったら3つの世界線を並行させて、次元を跨いでどうストーリーを作っていくか、ということを考えるようになった。その一連の流れの中でAngelo復活も必要なことだったんです。

──2022年1月のAngeloラストライブで、「もしAngeloが再び皆の前に現れるとしたら、それは過去のAngeloが帰ってくるわけではなく、得体の知れないバンドが新しくできるということなんです。その日を、いつになるかわからないけど、待っていてね」とMCでおっしゃってましたが、有言実行ですね。3つのプロジェクトを同時進行させることは大変だと思いますが、これからも全力で取り組まれるんでしょうし。4月4日にはLM.Cとの初対バンライブもありました。

KIRITO:楽しかったです、単純に。「そろそろツーマンをやるのも面白いよね」というアイジ(G)との会話の中で始まったことなんです。つまりこれも、PIERROT復活があったことで生まれた世界線なんですよ。ファンの皆さんにも楽しんでもらえたんじゃないかなと思います。

──いろいろなことがいい方向に動いてますね。様々な苦難を乗り越えてきたことは『SHIFT』の世界観に通じるものですし、いい人生を歩まれてますね。

KIRITO:そうですね、感慨深いというか。世界線を書き換えていくことが、生きるということだとしたら、ネガティヴでバッドエンドなほうに向かってしまう人もいると思うんです。自分は破壊的に生きざるを得なかった若い時代があって。すごく悲しかったし、辛かったし、痛かった。それが傷として残っている状態で、抱えたまま生きないといけなくて。その時間の中で、自分がどこに向かいたいのかを考えながら生きてきた。結果、少なくとも手放してしまった感情をまた取り戻したいとか、独りでいるよりたくさんの人と思いをシェアしたいと思うようになったんです。破滅的で苦しさや悲しさに溢れていた世界を笑って見られるような未来を作りたい、そういう思いがずっとあって、今、それを実現できているんじゃないかなと思います。

取材・文◎村上孝之

 

■KIRITOミニアルバム『SHIFT』
2026年4月22日(水)リリース
【初回限定生産盤(CD+DVD)】
IKCB-9592~93 ¥4,200(税込)
DVD収録内容:「蒼く浮かぶ⽉」Music Video +メイキング映像
【通常盤(CD)】
IKCB-9594】¥2,750(税込)
▼収録曲
01.PARADIGM SHIFT
02.SIGNAL
03.SOURCE CODE
04.蒼く浮かぶ⽉
05.SHUTTER WORLD
06.GEARS OF FATE

 

■<KIRITO Tour 2026「THE SHIFT COMPLETE」>
4月25日(土) 神奈川・YOKOHAMA Bay Hall
open17:30 / start18:00
4月26日(日) 神奈川・YOKOHAMA Bay Hall
open16:30 / start17:00
4月29日(水/祝) 東京・Spotify O-EAST
open17:15 / start18:00
5月02日(土) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
open17:00 / start17:30
5月03日(日/祝) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
open16:30 / start17:00
5月06日(水/振休) 宮城・仙台Rensa
open17:00 / start17:30
5月09日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
open17:00 / start17:30
5月10日(日) 愛知・名古屋ボトムライン
open16:30 / start17:00
5月16日(土) 福岡・福岡DRUM Be-1
open16:00 / start16:30
5月23日(土) 北海道・札幌PENNY LANE 24
open17:00 / start17:30
6月07日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI
open17:15 / start18:00

 

■<KIRITO Acoustic live 26’「Phantom Ⅻ – INNER SCREAM -」>
7月18日(土) 東京・KANDA SQUARE HALL
open17:00 / start17:30
7月19日(日) 東京・KANDA SQUARE HALL
open16:30 / start17:00
▼サポートメンバー
JOHN (Ag)、CERO (Ag)
詳細:https://kiritoweb.com/info/live/5308/

 

 

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