【ライブレポート】A.B.C-Z、時を超えて伝える“CRAZYとROMANTIC!”

A.B.C-Z が10月29日にリリースした9thアルバム『CRAZY ROMANTIC!』(クレイジーロマンティック)を引っ提げ、11月3日の熊本・熊本城ホールからスタートし、大阪・オリックス劇場、東京・Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)、名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館と12月9日まで4か所12公演を回る<A.B.C-Z Concert Tour 2025 CRAZY ROMANTIC!>。
デビューして13年、キャリアを重ねながら落ち着いたコンサートを届けるのではなく、自分たちが受け継いできた伝統とパフォーマンスをCRAZY(熱狂)に、ROMANTIC!(ときめき)に届ける、熱量をテーマにしたライブが本ツアーだ。
『CRAZY ROMANTIC!』は、様々な時代の音楽やカルチャーをリバイバルし、ミクスチャーしたアルバム。数々のバックダンサーを務めてきたA.B.C-Zだからこそ、その文化と歴史を今のサウンドで表現できた1枚となっており、1曲目から最後の曲まで“時代(とき)を超え”ながら楽しめるアルバムとなっている。
今回は11月23日に開催された東京・Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)昼公演の模様をレポートする。
開演直前に客席からおなじみのA.B.C-Zコールが始まり、だんだんと会場の熱も高まっていくなかライブがスタート。モノクロのメンバー映像が流れるとメンバーの「クレイジーロマンティック!」の声とともに銀色のキラッキラのセットアップで4人がステージに登場。橋本 良亮が「行くよー!」と煽ると、ファンも息ぴったりに「イエーイ!」と盛り上がる。
1曲目の平成感のあるギラギラしたEDM「Go CraZy」では、丁寧に軽やかにダンスをパフォーマンス。演出の火花も起爆装置のようにライブを勢いづける。曲終わりのターンでは五関 晃一がロング衣装を美しくはためかせていたのも印象的だった。サウンドもダンスも事務所イズムを盛り込んだ王道J-POPの「NO MORE YOU」では、ピンスポットで1人ずつパフォーマンスするシーンや、2人向かい合って魅せるシーン、細かい振り付けをこなしていく姿と思わず見入ってしまうロックダンスをベースとしたダンスを披露。続けて90年代アシッドジャズな「Groove O’Clock」とリバイバルサウンドを畳みかける。戸塚 祥太が曲の合間に「東京ー!」と叫ぶと、ファンも声を揃えて「フゥー!」と反応し、勢いは止まらない。
そのまま4人はステージの端まで各々歩いていき、上の階までしっかり「声枯らしていけんのー!」と巻き込んで場を盛り上げ、約10年ぶり新体制初となる自己紹介曲「A.B.Cra-Zy」では大盛り上がりのコールアンドレスポンスを見せる。個人名に続きグループ名を呼ぶ≪A.B.C-Z≫の部分では、ひと際大きな歓声があがっており、ファンとメンバーとの一体感を感じた。かと思えばステージに赤い幕が下り、楽しい雰囲気から一転ムーディーに「すれ違う笑顔 さよならのキスを」をパフォーマンス。「Crush On You」では塚田 僚一がダイナミックなアクロバットをビシッとキメていた。

衣装を変え、スタジャンやカラフルなストリート風衣装で登場した4人。「言えない。」では口元で指を×にする振付も披露。「Call You Later」ではペンライトを使ってメンバーによる振付指導のコーナーもあり、初心者も置いてきぼりにならず楽しめるようなおもてなし精神を感じた。
「恋に落ちたんだ」では、メンバーが様々な場所で客席降り。お立ち台からしゃがんでファンに視線を合わせて歌ったり、通路を駆け抜けファンとハイタッチしたり。客席と座席の狭い通路を歩いたり、ファンにマイクを向け歌ってもらったりと、アリーナから第3バルコニーまで、4人がすべての階に顔を出した距離の近い特大ファンサービスに、客席からは悲鳴があがり、思わず腰が抜けてしまうファンもいた。
MCでは「今日はいつもより紙吹雪の量が多い」という話題から、五関が「みんなの声の大きさに比例して紙が増える」と言い、戸塚が「最後は滝沢歌舞伎並みになっちゃうかもね」と相槌を打っていた。塚田は「NO MORE YOU」について、V6の「Can do! Can go!」を思い出すような楽曲であることと、入所オーディションで急に踊らされたことを回顧。橋本は「俺は課題曲タッキー&翼の夢物語だった」とあわせてオーディションの思い出を語った。
さらに「男性とか子供のお客さんが増えた」という話題から、五関が客席にいた夫婦に「お父さんは誰推しなんですか?」と話しかけ、「お父さんは五関推し、奥さんは箱推し」との回答を経て、五関自身が「珍しいですね(笑)」と伝える場面や、5歳の女の子から「五関さまー!」と呼ばれる場面も。

「Beyond the Dreams」でしっとりデュエットを披露し、「16℃」では上下左右四つの空間にいたメンバーが中心に集まり優しく歌い上げ、「Cocktail」では中華街風ネオンの中カンフーポーズやシェイカーを振る姿を見せ、様々な世界観を一挙に表現していく。「Just Romantic!」では息ぴったりのパフォーマンスを見せ、黒ジャケットに白ラインの入ったお揃いの衣装がさらに動きに統一感を出しているように思えた。「鈍学塁功・DONGAKU-RUIKO」は激しいスモークと白い幕がひらめく中、立ち向かうように風を受けながら歌い、塚田は高めの壇の上からバク転したり片手で宙返りしたりと目を見張るアクロバットを披露。
「Crazy Accel」ではバリバリ踊り、続けて疾走感のある「Finally Over」をパフォーマンスし、エモさを感じる「変わりゆく季節の中で僕らは」ではラップも歌ってみせ、息つく間もなくライブは終盤へ向けギアを上げる。ステージが暗転し、赤チェックにヒョウ柄ミックスのパンクな黒衣装で火花散る中「Freak the Night」をパフォーマンス。勢いそのままに「残光」「FORTUNE」と客席を巻き込みファンもノリノリに。最後はサビのほとんどが≪Wow≫で構成された「Perfect Sky」でメンバーとファンとが一緒になって盛り上がったところで、カラフルな銀テープが飛び、幕が下りて本編が終了。やり切った顔をみせた4人の表情が印象的だった。
“セットに頼らず板の上で自分たちのダンスと歌でCRAZY(熱狂)とROMANTIC!(ときめき)を届ける”という意思が強く伝わってきたライブで、A.B.C-Zが老若男女から支持される理由がたくさん詰まっていた。12月10日のカップリングベストの配信リリースや来年1月31日のTBSチャンネルでの<A.B.C-Z Concert Tour 2025 CRAZY ROMANTIC!>放送と、この先のA.B.C-Zの活動も楽しみだ。
◆セットリストプレイリスト
https://abcz.lnk.to/ConcertTour2025_CRAZY_ROMANTIC_setlist
取材・文◎吉田 藍







