【ライブレポート】コブクロ、全国ツアー<KOBUKURO LIVE TOUR 2025 “THIS IS MY HOMETOWN”>完走「自分たちが生まれた場所に誇りを持とう、大切にしよう」

2025.11.12 12:00

Share

コブクロが、10月26日に神奈川・ぴあアリーナMMで<KOBUKURO LIVE TOUR 2025 “THIS IS MY HOMETOWN”>を開催した。

◆コブクロ 画像

今回のステージセットは、ツアーのキービジュアルにもなっている横断歩道をセンターに据えた街の中。大袈裟な演出などはなく、小渕健太郎と黒田俊介の2人がストリートライブに現れたかのような登場シーンが印象的だった。“THIS IS MY HOMETOWN”のロゴがネオンサインのように輝き、1曲目「彼方へ」からライブはスタート。この曲には<前だけ見て走り続けたら 始まりの場所に着いた>という歌詞があるが、25周年を記念したツアーを終え、新たなフェーズの第一歩を“MY HOMETOWN”、つまり始まりの場所から始めたいんだという2人の思いや本ツアーの根源を象徴しているかのようにも思え、選曲の妙に膝を打つ。またこの曲は2006年、コブクロが初めて日本武道館に立った時の記念すべき1曲目でもあることから、あの日の光景を思い出したファンも多かったのではないだろうか。躍動感に満ちたオープニングを経て、2曲目の「SNIFF OUT!」ではスモークや炎がド派手に吹き上がる。ビッグバンド風のサウンドがどんどんグルーヴしていき、「42.195km」ではメインステージから続く花道の先で2人はエネルギッシュなパフォーマンスと共に歌を届けた。

「ギター、コーラスの小渕健太郎です! 今日は最後までよろしく!」「ボーカル担当のノエル・ギャラガーです」と自己紹介の際、来日中のOasisネタで会場を沸かせた黒田は「みんなオアシスじゃなくてコブクロに来てくれたんや。今日はどっちが“心のオアシス”か勝負したろうやないか!」と気合いを漲らせた。バンドメンバーを紹介後、小渕は「コブクロは去年25周年を終え、今年は大阪・関西万博のアンバサダーもさせていただいた。大阪のストリートから万博の歌を歌わせていただけるようになるなんて信じられないようなストーリーだけど、改めて自分たちが生まれた場所に誇りを持とう、大切にしようという意味も込めた」と、ツアータイトルである“THIS IS MY HOMETOWN”について語った。

「願いの詩」、「Ring」とデビュー間もない頃に発表された楽曲を丁寧に届け、MCでは次に披露する「未来」について「庭先の大きな木の枝が2つに分かれているのを見ながら、遡って分かれ道に戻ることはできないし、もう一歩の道を歩けばよかったのかはわからないけど、たとえ別の道を歩くことになっても、気持ちを届けたい、また会いたいという気持ちがあれば、どこかで重なる日が来るかもしれないと思いながら作った歌」と小渕。言葉に思いを込めて歌い始めた小渕の声に黒田の深く優しい声が重なっていき、2人の歌がダイレクトに胸に響く1曲となった。そこから続いた「大阪恋物語」は、やしきたかじんのカバー曲。彼が生前に残していたメモの中に「この曲をコブクロに歌ってほしい」と書かれていたことを知り、2014年に大阪で行われた野外イベントで一度だけ披露された曲だ。小渕は、「大阪を盛り上げたい、どうすれば大阪が盛り上がるかと常に考えていたたかじんさんは、きっと今回の大阪・関西万博の盛り上がりを喜んでいらっしゃると思う。僕と黒田の声を重ねて、僕らのバンドで演奏すれば、この歌の魂に近づけるような気がして歌い継がせてもらっている」と、今回のツアーのセットリストに加えたエピソードを披露した。

あたたかい歌声が会場を包み込んだ「陽だまりの道」、そして小渕が地元・宮崎で感じた思いを歌にしたという「同じ窓から見てた空」と続き、今回のツアータイトルにもなっている「THIS IS MY HOMETOWN」へ。込み上げる思いをドラマチックに描くのではなく、肩の力を抜いて、故郷の景色や心の居場所を愛おしむような歌詞とレゲエテイストのサウンドのマッチングが心地よい。小渕はこの曲について「この歳になってくると、地元に対する思いもどんどん変わってくる。やっぱり生まれた場所があるっていいなって、2人とも実感しているんじゃないかと思う。でも、人生はいろんな場所を旅するもの。新しい街に住んで、その街が生まれた街よりも好きになることもある。そんな場所を見つけるのも、人生の醍醐味。皆さんも楽しい旅を続けてください」とコメントしていた。

恒例のロングMCでは、「THIS IS MY HOMETOWN」のMVに登場している小渕の友人のエピソードを披露。2人にオファーした時の反応や、本編では数秒しか使われていないが、実際は食事をしながら3時間ほど収録していたこと。MV公開後、顔バレを気にしながら見に行った宮崎でのライブで全然気づかれなかったとぼやいていたことなどが写真と共に披露されていたが、今日はその友人2人が会場に来ているとの報告も。小渕は「見かけても、絶対に声かけないで(笑)」と呼びかけ笑いを誘っていた。また黒田も、堺東の店を一緒に立ち上げた友人が体型を気にしたり、小綺麗になったりしていて「みんなちょっと様子がおかしい(笑)」と、それぞれのHOMETOWNにまつわるトークを展開していた。

「日頃のストレスは持ってきたかー!」「“コブクロパビリオン”を揺らす勢いで盛り上がってくれるやつ、手を挙げろー!」小渕の煽りで始まった後半戦。すでに盛り上がっている会場内に流れてきたのは「タオルヲ回シテクダサイ。タオルノ回転数ヲ測定中。一定ノ回転数ヲ超エルマデ演奏ハ始マリマセン」というアナウンス。「雨粒と花火」はタオルを回すのが恒例となっているため、ウォーミングアップを兼ねてみんなが一斉にタオルを回すと無事に曲がスタートした。横浜や鎌倉など神奈川県の地名を織り交ぜながら披露された「おさかなにわ」、疾走感あるロックナンバー「LOVER’S SURF」と続き、本編のラストは大阪・関西万博オフィシャルテーマソング「この地球の続きを」。各国の国旗がステージにずらりと並んだ開会式での演出が取り入れられ、小渕はコンサートバスドラムや木琴、黒田は銅鑼を鳴らすなど目にも楽しい1曲となった。

アンコールは、小渕お得意のミャクミャクくんコーナーから。この日は小渕が腹話術のようにミャクミャクを喋らせていると、おもむろに近づいてきた黒田が取って代わりトークを開始するという異例の流れに。ミャクミャクを奪い合いながらわちゃわちゃした挙句、「そんなこと言ってたら、もうアンバサダーの仕事来ないぞ(笑)」とオチが付き、客席は大爆笑となっていた。

アンコールでまず披露されたのは「STAGE」。小渕はずっと応援してくれているお客さんやステージを支えてくれているスタッフへの感謝を伝えた上で、「27年前、堺東の商店街で歌い始めた時は何もなかったけど、お客さんが少しずつ増えていったことで、段差ぐらいだった舞台がどんどん高く、大きくなった。今日もここに立てていることに誇りを持っています」と笑顔で胸を張る。また「10年先も僕等のSTAGEを支える柱はきっと君なんだ」という歌詞があるが、この曲を作って歌い始めた10年前にもコブクロのライブに来ていたという人が今日もたくさん来てくれているということに改めて感謝を伝え、「今日初めて来た方が、僕らと一緒に10年目を過ごす日が来るかもしれないという願いを込めて、誇りを持って歌います」と語り、2人は歌い始めた。曲の最後は、マイクを通さない小渕と黒田のアカペラ。感動的、そして圧倒的な歌声に痺れる演出だった。

最後の1曲は、このツアーのために書き下ろされた新曲「Starry Smile Story」。小渕は「カラッカラに乾いた心じゃなくて、嫌なことも悔しいことも嬉しいことも全部吸収できるような、プルプルの心で自分の行きたい方向に1歩踏み出してもらえるような曲を探したけど見つからなかったから作ってきました」と話し、曲を作るときにいつも思い浮かべるみんなの笑顔を星に例えてタイトルを付けたというエピソードも披露した。また小渕はここで「今日は布袋(寅泰)さんが見に来てくれてます!」と喜びの報告をし、気合いも新たに新曲を披露。思わず笑みがこぼれるような、青春の甘酸っぱさやキラキラ感をまとった前向きな曲であり、このツアーのエンディングにふさわしい多幸感溢れる1曲に仕上がっていた。

7月17日の三重・四日市市文化会館 第1ホールからスタートし、全国13都市22公演を巡った本ツアーは、11月11日の愛媛・松山市民会館でファイナルを迎えた。

文◎山田邦子

◾️ミニアルバム『THIS IS MY HOMETOWN』
2025年7月16日(水)発売
特設サイト:https://kobukuro.com/feature/thisismyhometown

○通常盤(CD)品番:WPCL-13658
2,750円(税込)※歌詞ブックレット 16P

○ファンサイト会員限定盤(CD+DVD+グッズ)品番:WPZL-60064/5
4,290円(税込)※歌詞ブックレット 16P / スリーブケース仕様

CD収録曲(2形態共通)
01.THIS IS MY HOMETOWN
02.この地球(ほし)の続きを       大阪・関西万博オフィシャルテーマソング
03.大阪恋物語-Refined the live take-
04.42.195km          大阪マラソン公式テーマソング
05.おさかなにわ
06.大阪SOUL          大阪マラソン公式テーマソング
-bonus track-
この地球(ほし)の続きを -Opening Ceremony, Expo2025 osaka, kansai, Japan-

ファンサイト会員限定盤のみ収録
DVD:「STREET LIVE Archive at 天王寺MIO 1999.11.12」
01.轍
02.雨あがりの夜空に (cover)
03.Bye Bye Oh! Dear My Lover
04.君といたいのに
05.Bell
06.ボクノイバショ
07.太陽
08.2人
09.坂道
10.桜
11.コンパス
12.夢唄
13.ストリートのテーマ
14.轍
15.ココロの羽
全15曲予定

前のページへ
1 / 2