【ライブレポート】懐古ではなく進化…マイク・トランプが歌い繋ぐホワイト・ライオンの名曲たち

アメリカのハードロックバンド、ホワイト・ライオンのデビュー作『Fight To Survive』のリリースから40年。1990年代初頭に解散後、シンガーのマイク・トランプは新しいミュージシャンたちとホワイト・ライオンの再結成を試みるが、2023年からはマイク・トランプズ・ホワイト・ライオンとして再始動。現在、欧米で精力的なツアーを行っている。
今回、ラスベガスのカジノリゾートホテルにて彼のライブを観るチャンスがあった。マイク・トランプの歌声は驚くほど良好な状態で、一部の楽曲ではキーが下げられてはいるものの、年月を重ねた声の深みがむしろ活かされているとも感じられた。




このツアーは過去のヒット曲の単純な再現ではなく、楽曲の再解釈にあると思う。2023年から始まった再録アルバム『Songs of White Lion』はパート1とパート2の2枚がリリースされており、このライブ当日にパート3がリリースになった。オリジナルに忠実でありながら、現代的な大人バージョンにアップデートされたこの再録バージョンをライブで披露し、過去の栄光に縛られることなく、楽曲に新たな生命を吹き込んでいる。

現在のメンバーであるマーカス・ナンド(G)は、1994年からマイクと断続的に活動してきたギタリストであり、ソングライター、プロデューサーとしても多くのキャリアを持っている。オリジナルギタリストのヴィト・ブラッタの象徴的なパートに新鮮な視点をもたらしていて、ヴィトのサウンドに非常に寄せていながらも、創造的なアプローチがあり、彼の存在がライブ全体の成功に大きく貢献していると思う。


マイクはステージが進行するにつれ、ホワイト・ライオン解散後にソロキャリアで成功すると確信していた事、しかしそれは実現しなかった事などを語ってくれた。さらに彼は、ツアーを続けるためにはホワイト・ライオンの楽曲を演奏する必要があるという現実についても率直に伝えてくれた。実際、観客たちは全ての楽曲を歌えていたし、素晴らしい楽曲たちを継承していく事は必要に思う。何と言っても後半の「Tell Me」「Wait」の盛り上がりは凄かった。

近年、1980年代バンドのツアーを改めて観ていると、そのほとんどが懐メロをプレイすれば集客が出来るという観客を利用するようなものではなく、バンドの遺産とも言える優れた楽曲たちを尊重しながらも現代に適応させ、可能な限りの最高のショウを見せてくれている。その時代を思い出すも良し、また新しい発見をするも良し。このライブは、過去への単純な回帰ではなく、時の流れと共に成熟した表現の場として機能していた素晴らしい体験となった。


文・写真◎Sweeet Rock / Aki
< Mike Tramp’s WHITE LION 〜 Songs of White Lion Tour 2025 〜>
2025年9月19日
@The Showroom at Golden Nugget Casino, Las Vegas, NV, USA
1.Out With the Boys
2.Hungry
3.All the Fallen Men
4.Living on the Eage
5.El Salvadar
6.Lonely Nights
7.Little Fighter
8.Broken Heart
9.Lights & Thunder
10.Tell Me
11.Wait
12.When the Children Cry
13.Lady of the Valley
14.Rader Love



