【ライブレポート】マイケル・シェンカー、UFO加入50周年記念ツアー<My Years With UFO>アメリカ公演レポート

2025.09.30 09:01

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2026年1月に来日公演も決まっているマイケル・シェンカー。東京は武道館公演はソールドアウト、追加公演のNHKホールも発表されており、UFOに加入したデビューから50年という節目を記念する公演だ。2025年今秋、9月から10月にかけて開催されている、この<My Years With UFO>アメリカツアーは、ロック史に燦然と輝く名曲群を携えて全米各地を巡っている。

お馴染みのスティーヴ・マン(Key)、バレンド・クルボワ(B)、ボド・ショプフ(Dr)に加えて、欧州ツアーのシンガーはエリック・グロンウォール(ex H.E.A.T, SKID ROW)が務めていたが、アメリカツアーではミスティック・プロフェシーのR.D.リアパキスが抜擢。このラインナップでは日本公演は観られない為、アメリカツアーに駆けつけてみた。

メリーランド州アナポリスの会場はとても小さく、日本で例えるとブルーノート東京のような全着席のレストラン形式。また、ダウンタウンの街中でツアーバスもパーキングがない為、会場前に停まったままだ。こんな至近距離で神を拝めるのかという驚きと、永遠の名曲への期待が高まっていく。

ステージに現れたマイケルは、トレードマークの白いギブソン・フライングVを手に「Natural Thing」からのスタート。彼のギターから紡ぎ出される音色は、年月を経てもなお鋭さを失わず、むしろ円熟味を増して、いつ聴いても素晴らしく会場全体を包み込んでいく。

ニューシンガーのR.D.も予想を超えてバンドにマッチした歌声と雰囲気を持ち合わせており、全く違和感がない。今すぐにでも席から立ち上がりたい気持ちを抑えて観ていたが、アメリカのこういう座ってみるライブというのは何とも不思議な感覚である。それでも、観客は楽しみ、歌い、拳も高く掲げる場面もあり、特に「Doctor Doctor」では、観客を心底震わせているのがわかる。マイケルのギターソロは圧巻であるし、彼がなぜ “神”と呼ばれ、ジャンルを超えて崇拝されるのかを改めて証明する演奏だった。

小さな会場のせいか、ドラムセットをアクリル板で囲ってあり、遮音してステージに必要以上のモニターの音量を出さないセッティングがされていた。ドラマーのボドは、「Mother Mary」でのリズムセクションのジャム場面や、ドラムソロでもいつもながらタイトで安定したプレイ。そしてベースのバレンドも正確で力強く、この日はステージ上が狭い為、キックアクションは見られず(笑)。終演後にバレンド本人ともこれについては笑い合った。

中盤の「Lights Out」も観客は息を呑んで味わい、マイケル独特のメロディアスなギターソロは実に優雅で生き生きとしている。スティーブ・マンもギターとキーボードを所狭しとリズミカルに巧みなプレイ。定番曲以外では、軽快なシャッフルビートとブルース感あるギターが楽しめる「Can You Roll Her」やストレートなロックナンバー、「Reasons Love」が聴けたのは嬉しかった。

アメリカでもやはり「Rock Bottom」のパフォーマンスでは、盛大な喝采が贈られていた。この楽曲では、マイケルのギターテクニックが余すところなく披露され、彼の音楽への情熱と技術の高さが見事に融合するもの。長尺のギターソロでは、観客は完全に彼の世界に引き込まれ、終始見惚れていた。

代表的なクラシック曲に加え、UFO時代の隠れた名曲も織り交ぜたセットリストは、ファンの期待を完全に満たすものだった。欧州ツアーとはまた少し入れ替わりがあったと思う。各楽曲において、マイケルは完璧なパフォーマンスを披露し、時折の笑顔もまた観客を魅了していた。ラストの「Too Hot to Handle」は亡きピート・ウェイに捧げるものとしてプレイされたのもジンとくるものがあった。

時代を超越した名曲たちと、世界中のミュージシャンたちに影響を与え続ける伝説的なギタープレイは、毎夜、各所のツアーで確実に多くの人々の心に刻み込まれていくだろう。

70歳を迎えても衰えることのないマイケルの情熱と技術、そしてUFO楽曲の持つ不朽の魅力。この<My Years With UFO>ツアーは、まさに必見のコンサートなはずで、日本公演でも多くのファンに感銘を与えてくれるものに違いない。

文・写真◎Sweeet Rock / Aki

< Michael Schenker 〜 My Years With UFO Tour 2025 〜>

2025年9月16日
@Rams Head On Stage, Annapolis, MD, USA
1.Natural Thing
2.Only You Can Rock Me
3.Hot ‘n’ Ready
4.Doctor Doctor
5.Mother Mary
6.I’m a Loser
7.This Kid’s
8.Lights Out
〜Drum Solo 〜
9.Love to Love
10.Let It Roll
11.Can You Roll Her
12.Reasons Love
13.Rock Bottom
14.Shoot Shoot
15.Too Hot to Handle