【鼎談】DAISHI(Psycho le Cému) × SATOち(元MUCC) × ヒィロ(元ν[NEU])が語る、音楽家と転身と“パーソナルジム × エステサロン”コラボ企画「100歳までライブ参戦するために必要なケア教えます」

2025.09.28 20:00

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■誰しも歳を取るし、現実を直視せざるを得ない
■前向きに対峙しながら、それに似合うケアを

──では、ヒィロさんが現在の美容業に辿り着くまでの経緯は?

ヒィロ:自分は小さい頃に太り過ぎてて。それが原因でイジメにあって、小学5年生の途中から中学3年生まで、一日も学校へ行かない時期があったんです。だけど、中学時代に音楽番組『Break Out』でJanne Da Arcを見て、衝撃を受けて、変わる決心をしたんですよ。僕の中ではka-yuさんが初恋の人みたいな感じです。ka-yuさんの担当してるベースにも興味を持ったし、“僕はka-yuさんになる”って決意して、ヴィジュアル系バンドマンになることを目指して、ダイエットを始めたんです。

──なるほど。

ヒィロ:高校は、自分が知らない場所に行きたくて、作文で入れる東京の学校に進学して。そこで念願のバンドを結成しつつ、高校卒業後もずっとバンドは続けて。最終的にν[NEU]というバンドを結成したんです。2014年にν[NEU]は一度解散したんですけど、解散が決まってからの半年間はラストワンマンツアーだけの日々だったので、それこそSATOちさんと同じように、有り余る時間の中で“何をやろう?”ってすごく考えたし、将来が怖くなったんですよね。そのときに姉から「暇だったら資格を取りなさい」って言われて。もともと美容オタクだったし心理学も好きだったんで、その二つに関する資格の勉強をしたんです。

DAISHI:心理学を勉強したっていうことは、今回一緒にお仕事させてもらっている中で垣間見られましたね。ブランディングとかマーケティングとかに関しても敏感だし。

──心理学に関する資格は、国家資格ほかさまざまな民間資格があります。

ヒィロ:それら資格勉強の合間に、ν[NEU]以外の作曲の仕事もしながら、最終的には美容に辿り着いたみたいな感じだったんです。

▲太ってた頃のヒィロ(プライベートサロンDearLily / 元ν[NEU])

──美容に辿り着いて、実際にはどんなことを?

ヒィロ:まず、僕が20代半ばの頃って、同期のバンドマンはあまりスキンケアとかしてなかったんですよ。僕が楽屋でパックとかしてると、「うわ!美容オタク」ってからかわれるような感じで。でも、20代後半とか30代になってくると、同期のバンドマンもやっぱり肌とか気になってくるのか、化粧水やサプリメントのことを聞かれ始めるようになったんですね。

──一度目の解散前からアドバイザー的なことはしていたと。

ヒィロ:しかもこれは、バンドマンに限らずバンギャルちゃんにも言えることで、美容や健康業はこれから先も需要があるかもしれないと思ったんです。年齢を重ねれば重ねるほどそうなりますよね。それで、エステだけじゃなくて化粧品も作るようになって。化粧品は遠隔で美容の役に立てるから、自分の分身を飛ばしていくみたいな感覚で作り始めたんです。それに、DAISHIさんと同じように、美容を学んでおけば自分にも使えるじゃん!って気持ちもありました。今は、楽しく美容業をやってますね。

──DAISHIさんもヒィロさんも、夢中になったり楽しいという気持ちになったことが大きいんですね。

ヒィロ:それでもやっぱり最初は、批判的な意見もありましたよ。僕はν[NEU]のリーダーだったから、「みんなの居場所は僕が守る」と言ってたんですよね。それなのにバンドは解散したわけで、解散発表したときも、バンド解散後に美容業をやると言ったときも、ファンからの誹謗中傷はありました。

DAISHI:MIROを立ち上げたとき僕も、Psycho le Cémuのファンから「バンドに集中してほしい」っていう声はもらったし。もしかするとメンバーもそう思っていたかもしれないですよね。だけど、今はもうそんな時代じゃないと思うんですよ。

──音楽の傍らでスタジオ経営や飲食店経営を営んでいるミュージシャンも少なくありません。

DAISHI:そう。音楽活動だけやっていればいいなんて時代じゃない。もちろんその美しさも分かっているんですけど、かなり忙しい時代を経験してきたミュージシャンとして言わせてもらえば、いくら多忙と言っても時間はありますから。その時間をどう使うか。僕の場合は、年齢を重ねるごとにトレーニングや朝の有酸素運動に時間を使うようになったわけで、実はそれってよりバンドのことを考えてるからなんです。バンド活動を持続するには健康が大切ですから。しかも、朝歩きながら考えているのはPsycho le Cémuのことですもん。だからメンバーは朝6時ぐらいから、僕が思いついたアイデアがバンドのグループLINEに送られてくるっていう地獄を味わってます(笑)。

▲ヒィロ(プライベートサロンDearLily / 元ν[NEU])

──思い立ったが吉日タイプのDAISHIさんらしいですね。SATOちさんはバンド活動を引退して、パーソナルトレーナーの道一本に絞っているわけですよね。

SATOち:絶対的に言えることは、バンド時代よりも健康になってるということ。バンドマンはだいたい昼12時とか午後1時くらいに起床する生活だと思うけど、今は朝の情報番組が放送されてる時間には起きてますから。

──逆に言えば、バンドマンを経験してきたからこそできるアドバイスもあるわけで。それは普通のパーソナルトレーナーにはできないことですよね。

SATOち:自分の経験をお客さんにお話できることはいいですよね。経験談には、教科書に載ってないけど間違いなく正しいこともあるので。だから、お客さんが難しく考えすぎてるところを、自分の経験談を交えながら簡単に教えてあげられるかもしれない。

ヒィロ:確かに、みんな難しく考えすぎてるところはありますよね。美容も“これをしたらダメ”っていうところから入ると楽しくないですから。

DAISHI:そう思う。筋トレも王道の3つ(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)さえ押さえておけば、それなりにはなるから、食事も運動もシンプルなところからスタートしていけばいい。そして、それが趣味になってきたら自分なりにこだわっていけばいいんだよね。で、こだわってくるとさらにシンプルになる…っていう感じで一周することもあるので。

ヒィロ:難しいことを難しく伝えるのって、プロじゃないと思うんですよ。難しいことを噛み砕いて簡単に教えてあげることが、本当のプロの仕事なんじゃないかな。たとえば、美容に関して言えば、“意識が高くないといけない”とか“お金をかけなきゃいけない”とか、“食生活も炭水化物を食べたり間食したりする人は痩せる資格がない”とか、そういうことが敷居を高めている気がするんです。ところがDAISHIさんと話していると、「トレーニング中にお米を食べても大丈夫なんだ」と思えましたし、親しみやすいというか、これなら私でもできるかもしれないっていう入り口は大事だと思っていて。

DAISHI:僕は、お米ばっかり食べても体脂肪率を一桁にしますからね。お金をかけようと思えばかけられるけど、かけなくてもできることはあるんですよ。実際に、僕らの食事メニューは白米中心なので、コスパもいい。食事に関して勘違いしてる人だらけなので、今回のパーソナルジム × エステサロンのコラボでは食事の摂り方も教えたいと思っています。

▲プライベートサロンDearLily

──お話を聞いてダイエットや美容への敷居が下がりました。いろんな人がやってみようと思えるのではないかと。

ヒィロ:コミュニケーションが大切なんです。だから、施術中にだんだん心を開いてくれる人も多いんですよ。初めは警戒してるんだけど、施術しながらどんどん自分のパーソナルなことを話し始めてくれるというか。

DAISHI:メチャクチャわかりますよ、パーソナルトレーナーもそういうところあるから。マンツーマンで向き合っているから話をしやすいんでしょうね。トレーニングよりもコミュニケーションがメインで来てるんじゃないかな?っていう人も少なくない。

SATOち:うん、そうですね。そんな秘密まで話しちゃっていいの?ってこともあるし。

DAISHI:それでいいと思うんです。僕は、お客さんが帰るときに“MIROに行って元気が出た”と思って帰ってほしいから。これは、MIROの従業員みんなに言ってることなんですけど、スタッフが元気じゃないとできないことで。僕は元気じゃない人は絶対に雇わないですから。

ヒィロ:僕、DAISHIさんのパーソナルトレーニングを受けさせてもらったんですけど、きっと一人だったら挫折してただろうことも、できちゃったんですよ。正直、パーソナルトレーナーについてもらうことの理由が今までわかってなかったんですけど、実際に体験して実感したのが、隣で「大丈夫!できるよ!」って声をかけてくれることの大切さで。正しいフォームを教えてくれることも大事なんですけど、それ以上に「大丈夫」って言ってくれることが、単純にすごく嬉しいんです。“私なんか無理”って思っている人でも、楽しみながら自信をつけることができると思います。

──人に何かを与えるという点では音楽活動と近しいものを感じますし、続けることで成果が現れるという点ではバンドにも近いですね。

DAISHI:それこそ、ヒィロくんが考えた“100歳まで元気でライブに行けるように”っていう今回のテーマはすごくいいですよね。ヒィロくんは本気でそうさせてあげたいと思ってるし、そう思ってる人には敵わないんですよ。『ワンピース』のルフィーにみたいに“海賊王におれはなる!”って素直に真っ直ぐ生きてるやつの周りには、そういう人が集まるじゃないですか。だからこそヒィロくんはお客さんの心を掴むんだろうし、僕らにまで気持ちが伝わってくるんです。

ヒィロ:僕は極端だから、自分の味方以外には興味がないんです。でも反対に、僕のことを求めてくれる人を全員綺麗にしたいって思ってるんですよ。

──“100歳まで元気でライブに行けるように”って本気で思っているわけですね。

ヒィロ:はい。誰しも平等に歳を取っていくし、最近では有名ミュージシャンが亡くなったり病気を公表することも少なくない。みんなが現実を直視せざるを得ない場面が多くなってきたと思うんです。同時に、この先に不安を感じているようなバンギャルちゃんもいると思うんですよ。そこに寄り添う一つの方法として、“100歳までみんなで元気にライブに行こうよ”って。歳を取ることに前向きな形で向き合いながら、それに合うケアを考えていこうよっていうことでもあるんです。

DAISHI:そのためのお手伝いがエステでもトレーニングでもできる。本当に素晴らしいと思う。

──ただの理想論ではなくて、お三方には現実にするための武器がある。

ヒィロ:さっき音楽と一緒と言っていただきましたけど、そのとおりで、ヴィジュアル系バンドマンと同じなんです。やっぱり自分が綺麗でいたり、健康でいたりすることで、憧れられるような存在でいないといけない。そうでなければ、お客様に言う資格がないし、説得力がないと思うんです。

──たしかに。あえて“100歳まで”と掲げたことにも理由があるのでしょうか。

ヒィロ:人間は、年を取ると行動がだんだんエコになっていくんですよ。体力が落ちていくにつれて、意識も低くなってしまう。それでライブに行けなくなってしまったという人を何人も見てきたので。そういう人たちをリカバリーしたいと思っていたんです。身体が元気だと気持ちも高まって行くじゃないですか。根底として体を鍛えること、それがすごく大事だと思うんです。