【インタビュー】10-FEET、NAOKIが語る独断ベースサウンド「この姿勢、一貫しています」

2025.09.24 12:00

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10-FEETが2025年夏も、凄まじいライブ本数と圧倒的なステージで全国各地のフェスやイベントを沸き立たせている。ライブシーンにおいては、人気や知名度、信頼感や爆発力の面で突出した感があるが、注目すべきは楽曲そのもののクオリティにあり、そのサウンドの心地好さこそ称賛に値する。たとえば、フェス等の彼らのステージ袖に多くのバンドマンが集結する光景はもはや定番だが、3人が放つ万感胸に迫るパフォーマンスはもとより、至高のサウンドを響かせるシステムもバンド仲間からの関心を集めている。

BARKSではTAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)が生み出す極上サウンドの秘訣に迫るべく、そのシステムに関するパーソナルインタビューを試みた。第二弾はNAOKI。トリオという必要最小限のバンドサウンドにあって、リズムを支え、旋律を彩るベーシストの役割は極めて最重要。加えて、コーラスはもとよりド派手なパフォーマンスは10-FEETになくてはならないものだ。そしてサウンド的にもルックス的にもNAOKIの代名詞と言えるベースがギブソンのサンダーバードである。さらに、アンプをはじめとするサウンドシステムの進化も進境著しい。現在のNAOKIが求める理想のベースサウンドについてじっくりと語ってもらった。

なお、10-FEETは本日9月24日、「第ゼロ感 (sequence ver.)」を配信リリースした。これはタイトル通り、「第ゼロ感」のシンセ等の同期音源であり、音源を流しながら生バンドでコピーすれば完全再現も可能となるというものだ。このリリースを記念して、インタビューの最後には全ベーシストへ向けたアドバイスも語ってもらった。

▲<10-FEET “helm’N bass” ONE-MAN TOUR 2024-2025>5月13日(火)@東京・Zepp Haneda

   ◆   ◆   ◆

■サウンドの趣向は若い頃から
■少しずつ変わってきているんです

──NAOKIさんといえば、“DOGMATIC GOURMET”(=独断グルメ人/NAOKIプロデュースのアパレルブランド)としても有名です。

NAOKI:いや、有名ではないですけど(笑)。

──<SATANIC CARNIVAL2025>のBARKSオフィシャルクイックレポで執筆させていただいたんですけど、楽屋裏のスタッフエリア脇の階段を昇ろうとするNAOKIさんをお見かけしたんですよ。そのとき、スタッフエリアに置いてあったお弁当を見つけて、おおっ!と一人で盛り上がってましたね。DOGMATIC GOURMETがそこまで反応するお弁当はなんだろうと思って、後で見に行ったらカレーで。

NAOKI:オーベルジーヌのね。有名なおいしいカレーですよ。最終的に余ったオーベルジーヌをスタッフさんにお願いしていただきました(笑)。

──グルメでも有名なNAOKIさんですが、ステージ上ではコマのごとくクルクル回るアクションや大股開きパフォーマンスもトレードマークになってます。そして、もうひとつのトレードマークが、サンダーバードです。Burny製NAOKIオリジナルモデルを含めて長らく愛用されているシェイプですが、もともとどういうきっかけで選んだんですか?

NAOKI:僕が25〜26歳のときかな。僕らの周りのパンクやメロディック界隈では、ミュージックマンのスティングレイがムチャクチャ流行ってたんですね。

──当時は、それ以外のジャンルでもスティングレイを使っているベーシストは多かったです。

NAOKI:僕も当時はスティングレイを使っていたんです。その後、新しいベースを購入しようと思ったとき、当時はサンダーバードを使っている人が周りにはあまりいなくて。サンダーバードといえば、イメージ的にはモトリー・クルーのニッキー・シックスとかですよね。楽器屋で試奏してみたら、スティングレイとはちょっと音的な特徴が違うなってところに惹かれて購入しました。

──スティングレイは、ドンシャリ気味のギラギラした音が特徴ですよね。

NAOKI:これぞ“ザ・アクティヴ”みたいな感じの音です。それに対してサンダーバードは、ミッドローが分厚くて、ローの帯域が地を這うようなイメージというか。まずギブソンのサンダーバードを購入して、しばらくしてからBURNYでオリジナルモデルを作ってもらうようになったんです。

──サンダーバードの入手が先だったんですね。そしてBURNY製NAOKIオリジナルモデルもサンダーバードシェイプでした。

NAOKI:はい。最初に作ったオリジナルモデルは、アクティヴピックアップ搭載で、スティングレイに近い音色だったんですよ。それを弾いていくうちに、今度はサンダーバードっぽいというか、パッシヴピックアップらしいミッド感とかを試したくなって。途中からオリジナルモデルのパッシヴバージョンを作って。それがいい感じに仕上がったんで、その後はパッシヴのほうをずっと使っていましたね。

▲Gibson Thunderbird Bass (MAIN)
▲Gibson Thunderbird Bass (SUB)

──そのとき、ギブソンのサンダーバードは?

NAOKI:10年以上、倉庫で眠っていたんです。ところが何枚目かのアルバムツアーのゲネプロのとき、倉庫で眠っていたベースを何本かスタジオに持ってきて、いろいろ弾いていたんです。そうしたら、10数年ぶりに弾いたサンダーバードの音が、当時の僕の好みにドンピシャだった。それでまたサンダーバードを使いたいとなったんです。

──10年以上、倉庫に眠っていたとのことですが、自宅で弾いたり、レコーディングで弾いたりもしていなかったんですか?

NAOKI:レコーディングのときにスタジオに持ってきて、ちょっと鳴らしたりしたと思うんですけど、ほぼ眠りっぱなしでした。買った当初、3枚目のアルバム『4REST』に入っている「LITTLE MORE THAN BEFORE」のレコーディングでは、ギブソンのサンダーバードで弾いているんですよ。音のイメージがドンピシャだったんで。それ以降はレコーディングで使ってなかったです。

──よく手放さずにいましたね(笑)。10数年ぶりに弾いたときに再び魅力を感じたのは、倉庫で眠らせていた期間にベースが熟成されていったのか、それともNAOKIさんの楽器に対する趣向が変わったのか、どちらですか?

NAOKI:サウンドの趣向は実際に変わってきているんですよ、若い頃から少しずつ。昔はスティングレイ特有の派手な金属音が鳴っている感じが好きだったんです。途中からは、パッシヴベース特有のボディ全体や木が鳴っている感じに惹かれていって。そう感じてからは、極端にアクティヴピックアップとかアクティヴ回路のベースを使わなくなっちゃったので。自分の中ではパッシヴベースのほうが、ニュアンスを表現しやすくて、感情が乗りやすいんです。

──ベーシストとして習熟して、ベースの鳴らし方が巧くなったことも大きな鍵になっていそうですね。

NAOKI:どうなんだろ。でも実際、パッシヴのほうがピックを弦に当てる角度や深さの違いによって、音の変化が如実なので。アクティヴはパワー感や太さ、金属音のようなギラギラしたカッコ良さはあるんです。でもタッチのニュアンスがパッシヴのほうが出しやすい。途中から、そこがおもしろくなってきたというのはあります。

──メインのサンダーバードは、オリジナルピックアップのままですか?

NAOKI:はい。ブリッジはメインもサブもバビッツ製FCH Bass Bridgeに交換してますけど。あとペグは、4弦のチューニングをすぐにドロップできるように、ヒップショット製に換えました。最初は4弦のペグだけをヒップショットに換えたんですけど、1〜3弦ペグもヒップショットにしたら、弦の鳴りも良くなったんで、全部換えてますね。

──以前のライブでは、ダウンチューニング用としてサブを使用していましたが、ツアー<helm’N bass>のZepp Haneda公演ではメインのみ使用していましたね。

NAOKI:前はドロップDチューニングの曲でサブベースに持ち換えていたんです。でもベース交換のためにライブ中に間が生まれてしまうことを避けたかったし、同じ仕様のサンダーバードでも個体差が絶対にあるんですよ。なるべく音色を変えずにドロップDにできたらな、ということでペグをヒップショットに交換したんですね。ドロップDチューニングの「第ゼロ感」や「SLAM」などは、ヒップショットでドロップDにしてます。

──サブのブラウンのサンダーバードも、ヒップショットに交換してありますね。

NAOKI:全く同じ仕様にしてます。メインのサンダーバードがトラブルで音が出なくなったときのサブとして、常にスタンバイしているので。今のツアーやライブでは、メインとサブのサンダーバード2本で事足りてます。

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